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■早川季良 77年生命の歩み展 (2015年11月4~28日、札幌)

2015年11月27日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 早川季良(きよし)さんは空知管内上砂川町の画家。
 病床にありながら「色紙なら描ける」と言って、この個展に臨んだ。結果、病を押して描いた新作が30点以上に上った。色紙に描いたとは思えないほどの重厚な描写に驚かされる。道内各地でかつてデッサンしたものをもとにした風景画や、花の絵などで、色彩も鮮やかだ。

 早川さんは「石炭画家」を名乗っている。
 わたしたちが通常見る黒い石炭をそのまま画材にするのではなく、ズリ山で拾ってきた石炭灰を、絵の具(ポスターカラー)に混ぜるらしい。
 だから、ふつうに黄や赤、青なども絵に用いられる。ただ、石炭灰を混ぜているせいか、発色は鮮やかだ。

 左の絵の端は「氷海」。
 群れ飛ぶカモメと、斜めにそそり立つがけが、動感を増している。
 このほか、神威岬、屈斜路湖、羊蹄山、硫黄山、流氷のオホーツク海、利尻山、ローカル線(上砂川)など、北海道の名風景シリーズのようだ。
 円空仏や、マーガレット、あじさいなど花を描いた作品もある。

 さらに、会場には、ふくろうの木彫、書、地元・上砂川で開いてきた野外展の記録(1994年の「アサヒグラフ」誌)などもあり、幅広く早川さんの世界にふれることができる内容になっている。


 オホーツク管内遠軽町丸瀬布から山あいに入った谷間に「マウレメモリアルミュージアム」という施設があり、早川さんが石炭画で描いた仏画が大量に展示されている。
 早川さんは自らじん肺で苦しみながら、同じ職業病で仲間が苦しみ、命を落としてきたのを、見てきた人だという。
 たくさんの仏画には、じん肺で倒れた仲間への鎮魂の思いがこめられているのかもしれない。今にして思う。



(なお、ギャラリー北のモンパルナスのブログによると、早川さんは24日に亡くなられたとのことである。ご冥福をお祈りします)


2015年11月4日(水)~28日(土)午前11時~午後6時、日月祝休み
ギャラリー北のモンパルナス(札幌市西区二十四軒4の3)


関連記事へのリンク
マウレメモリアルミュージアム
上砂川・北の創造者達展07
北の創造者達展'03



・地下鉄東西線「琴似駅」5番出口から約390メートル、徒歩5分
・同「二十四軒駅」から約790メートル、徒歩10分
・JR琴似駅から約900メートル、徒歩12分

・ジェイアール北海道バス「山の手1の1」から約890メートル、徒歩10分
(札幌駅バスターミナル、北1西4から、手稲方面行きに乗車。快速、都市間高速バスは通過)


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