北海道書道連盟顧問で、ことし101歳を迎えた道内書壇の長老、宇野静山さん(小樽)が代表を務める社中。隔年で展覧会をひらいています。
先日の毎日新聞の記事によると、宇野さんの師匠は、なんと比田井天来だそうで、なんだかすごい歴史を感じさせます。
出品者の中には、「書峰社書道」を起こして道内を代表する書道教育家というべき存在になった加藤秋霜さんなど、そうそうたるメンバーが名を連ねています。
総じて言えば、漢字の創作が多いようです。近代詩文も何点かあります。
いちばん気になったのは、土田静峯さん「明暗」。
いずれの字も、扁(へん)が、丸のなかに点を打ったようなかたちをしています。また、「明」のつくりは三角形です。
余白のとり方にも独特のものがあります。或る意味で、非常に明快な、抽象画のような作品です。あるいは、こないだ東京で見た仙の「○△□」を思わせないでもありません。
この社中の書に対するアプローチが、ひたすら中国の古典に忠実に行きそれを墨守するというよりも、もうすこし造形主義的というか、純粋なかたちの追求という側面をはらんでいることの証左ではないかという気がするのです。
もうひとつ感じたのが、バランス感覚です。
顔真卿スタイルというべきかどうなのかは筆者にはわかりませんが、どの作品も、力強い「はらい」でも、終筆がまるみを帯びていて、肝心なところでは勢いにおぼれていません。
杉田小華さんの漢詩「紗窓月落花無影 只有鐘聲到枕辺」は、まさにそういうスタイルの作品で、漢詩と行書の醍醐味をたっぷり味わえる1点だと思いました。
鈴木繁樹さん「胡雁一聲」はふしぎな作品。
紙が破れるのではないかと思えるくらいたっぷりと墨をつけていながら、後半の「一聲」になると、しっかり潤渇が表現されているのです。筆のつかいかたに、なにか秘密があるのでしょうか。
宇野渓雪さん「夢幻空華」は、篆書のアレンジでしょうか、ほとんど直線で構成された独特の作品でした。
また及川泉石さん「風来雲去月当頭…」は、無駄な力のない、一種の余裕のようなものが感じられる清新な作品だと思いました。
(一部をのぞき、正字は新字にあらためています)
07年11月6日(火)-11日(日)10:00-18:00
スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階 地図B)
■03年 (11日の項)
■01年
先日の毎日新聞の記事によると、宇野さんの師匠は、なんと比田井天来だそうで、なんだかすごい歴史を感じさせます。
出品者の中には、「書峰社書道」を起こして道内を代表する書道教育家というべき存在になった加藤秋霜さんなど、そうそうたるメンバーが名を連ねています。
総じて言えば、漢字の創作が多いようです。近代詩文も何点かあります。
いちばん気になったのは、土田静峯さん「明暗」。
いずれの字も、扁(へん)が、丸のなかに点を打ったようなかたちをしています。また、「明」のつくりは三角形です。
余白のとり方にも独特のものがあります。或る意味で、非常に明快な、抽象画のような作品です。あるいは、こないだ東京で見た仙の「○△□」を思わせないでもありません。
この社中の書に対するアプローチが、ひたすら中国の古典に忠実に行きそれを墨守するというよりも、もうすこし造形主義的というか、純粋なかたちの追求という側面をはらんでいることの証左ではないかという気がするのです。
もうひとつ感じたのが、バランス感覚です。
顔真卿スタイルというべきかどうなのかは筆者にはわかりませんが、どの作品も、力強い「はらい」でも、終筆がまるみを帯びていて、肝心なところでは勢いにおぼれていません。
杉田小華さんの漢詩「紗窓月落花無影 只有鐘聲到枕辺」は、まさにそういうスタイルの作品で、漢詩と行書の醍醐味をたっぷり味わえる1点だと思いました。
鈴木繁樹さん「胡雁一聲」はふしぎな作品。
紙が破れるのではないかと思えるくらいたっぷりと墨をつけていながら、後半の「一聲」になると、しっかり潤渇が表現されているのです。筆のつかいかたに、なにか秘密があるのでしょうか。
宇野渓雪さん「夢幻空華」は、篆書のアレンジでしょうか、ほとんど直線で構成された独特の作品でした。
また及川泉石さん「風来雲去月当頭…」は、無駄な力のない、一種の余裕のようなものが感じられる清新な作品だと思いました。
(一部をのぞき、正字は新字にあらためています)
07年11月6日(火)-11日(日)10:00-18:00
スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階 地図B)
■03年 (11日の項)
■01年