回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

BREXIT合意

2020年12月25日 17時30分31秒 | 日記

イギリスとEU との離脱交渉が期限切れ寸前の昨夜、合意に達した。これによって、懸念されていた最悪の状態、すなわちイギリスとEU との貿易に関税が発生し物流が大混乱する、という事態は一応避けられた。来年1月1日以降もイギリスとEUの間の貿易(ジョンソン首相によれば年間6600億ポンド相当であり、カナダとの間の合意に似たもの、との表現)には関税がかからないこと、割り当てなどの制限のないこと、などが原則合意された。

手続き的にはEUが若干手間取るだろうが、双方で批准されることには疑問なく、これによって、コロナ変異種の拡大によって都市封鎖の続くイギリスにこれ以上の混乱をもたらす恐れはひとまず遠のいた。4年に亘り遅々として進まなかった離脱交渉が、最後の最後になって両者が政治決断を行うことによって、一応の合意を見たわけである。双方ともに妥協した結果であるがそこは政治家、お互いに自分の主張がある程度通ったとして自画自賛しているのはどこでも同じ。

ただ、モノの移動についての合意以外の点ではに多くの積み残しがある。今回の合意ではサービスについてはほとんど触れられていないし、金融部門やデータについてはこれから別途の合意が必要であって、これまでと同じような円滑な流通が本当に確保できるか、まだ手放しで喜べる状態ではない。

イギリスのEU離脱の動きには多くの紆余曲折があった。最近に限っても例えば、トランプがアメリカ大統領に再選されなかったことはジョンソン首相にとっては誤算だったろう。そういった政治家の思惑以上にコロナ禍が、イギリス、EU 双方を現実路線に引き戻したと言える。結局BREXIT交渉が妥結に至ったの最大の功労者は皮肉にもコロナ禍だったのかもしれない。こういった経緯に後世の歴史家がどのような評価を下すのか、興味のあるところ。

イギリス・インデペンデント紙が掲載した、クリスマスイブにサンタクロースの衣装に身を包んだイギリスのジョンソン首相とEU のウルズラ・ゲルトルート・フォン・デア・ライエン 委員長がBREXIT合意を釣り上げたとする漫画。この合意、大きなクリスマスプレゼントだと言えるのか、巨大すぎて少し不気味?。

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秘書

2020年12月24日 18時00分25秒 | 日記

別にコロナ禍のせいではないと思うが、このところ、大企業で来年4月からトップが交代する,という記事を目にするようになった。大幅な若返りをしようとするところには、年功序列から実力へ、と言ったコメントが付けられている。その脈絡で日本企業におけるいわゆる長老支配、歴代の社長経験者がいつまでも院政でも敷いているように非公式な影響力を保持していることがやり玉に挙げられることがある。実際に、そういった人々がどんな影響力を行使しているのかわからないが、最近のように株主の国際化が進めば、そのような慣行は不透明なものとして非難され、いつまでも続けてゆくことは出来ないだろう。

こういった長老たちが固執するのが、かつての栄光の象徴である、個室、運転手付きの専用車、そして専属の秘書なのだという。会社側としても正式な肩書や権限も持たないのにかつての上司に対する義理から(あるいは後ろ盾を期待して)そういった待遇をするのだろう。外部には引退したように見せかけてもそういった待遇をするというのはある意味日本的な企業文化と言えようか。発展途上国のことは知らないが、自分が実際に駐在したイギリスとアメリカでは、退職後にそのような取り扱いをしているというのは聞いたことがない。そのかわり、トップ経験者に対する退職金は莫大だ。あるいはそのため、日本のような要求はしないのかもしれない。

長老(?)が要求する3つの待遇の中で面白いと思うのは秘書だ。特に仕事も権限もないのに果たして秘書が必要なのか甚だ疑問だが、見栄のためには、何かあれば秘書を通じて、などと言いたくなるのかもしれない。こういった秘書なら仕事としては随分と楽なようにも思われるが。逆にもし秘書が忙しいというならそれこそ不透明な影響力を持っている事になりそれはそれで大きな問題。

事程左様に日本では秘書がいる、と言うことはいかにも大層な役職にあるという印象をあたえるのだが、イギリスやアメリカではあくまで秘書としての、仕事上の必要性から与えられるものであって、肩書や権限などとは直接には関係がない。つまり、秘書の行うべき仕事があるか否かなのであって肩書に付随する象徴的なものではない。たまたまだが、自分がイギリス、アメリカに駐在しているときにはまだ若輩にもかかわらず秘書がいた。確かに言葉の問題や習慣の違う外国では、スケジュールの調整や膨大な書類の整理には専門的な知識と経験のある秘書がいなければ仕事が回らない。特に口述筆記などを頼む際には秘書の実力がいかんなく発揮された。

イギリスでの経験を言えば、かつて今のようなワードなどの無い時代、手紙や書類をタイプを打つのは大変な仕事だった。もし少しでも文章を変えるとなると初めから打ち直さなければいけなかったからだ。そのせいか、その時の秘書は二人とも年齢的には相当上のベテラン秘書だった。彼女らはこれまでもいくつもの修羅場を乗り越えてきた秘書だったからいろいろな意味で頼りがいがあった。

それがアメリカではでほぼ今のような仕事環境(ITの発達した)になっていて、普段のやり取りは秘書にやらせるのではなく自分でEメール等で行うようになり、秘書には公式な手紙や書類の作成、ということになった。一般的に言ってアメリカでは秘書を自分で選ぶようなことはしない。人事部門が面接して採用するのが基本で、こちらが口をはさむことはない。人事部門としては慎重に採用試験をしていたのだろうがそれでも、秘書の能力は千差万別、自分の任期中何人かの秘書に仕事をしてもらった、そのうちの一人に秘書として抜群の能力を持った人がいた。

日本人でまだ若く、いつも質素な身なりの人だった。当時、それまでの秘書が手の付けられなかった、歴代の前任者の残した膨大な書類があったのだが、それを着任して間もなく自分から進んで整理を始め、しばらくすると見事なファイルに纏められていた。それによっていつでも必要な書類を取り出すことが出来るようになり、こちらの仕事が随分と楽になったことは言うまでもない。

しかし、彼女には婚約者がいて1年ほど経って彼と共にテキサス州のサンアントニオ市に引っ越すと言ってやめてしまった。自由学園を卒業した彼女は時折母親と電話で話をしていたことがあったのだが。親子と言えどもきちんとした言葉遣いで、多分それはその学校の伝統のなせる業なのだろうかと感心したことがある。こういった人を伴侶に持つ男は幸せだ。彼にはひょっとするとプレッシャーにもなるかもしれないが、そんなことを感じさせない賢さががあった。

と言うことで自分は秘書には恵まれていたように思う。ただ間違っても引退後にまで秘書に固執するようなことだけはしたくない。

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孤立

2020年12月23日 15時11分27秒 | 日記

イギリスで急拡大しているコロナ変異種。首相自ら国民に呼び掛けている通り感染力は極めて強力で、イギリスの一日の新規感染者数は3万6千8百人と過去最高を記録している。これを受けて既に40か国以上がイギリスからの入国制限を強化した。具体的には航空便の到着禁止やトラックでの貨物の運搬停止などの処置。

イギリスがEUから脱退すること(Brexit)の目的の一つは、自らの判断で国境の管理を強化して不法移民の流入を防ぐことだったが、コロナ変異種の拡大およびそれに対するEU 諸国からの反応は皮肉にも、そんな国境管理を不要なものにさえしている。各国が今や競って(コロナ変異種の)侵入を防ぐためにイギリスとの門戸を閉ざしているからだ。これほど効率的な国境管理は他にないだろう。なにしろ、イギリスは何もしなくても国境が完全に閉じられてしまったのだから。

意図しない形での国境封鎖はイギリスの市民生活に甚大な影響を与えはじめている。春先と同様、供給に不安を持つ消費者の買いだめにより、スーパーマーケットなどの小売り店からは生鮮食料品が姿を消している。早急に再開されなければ深刻な事態になるだろう。さすがにこの事態に直面してイギリスとフランスの間では、感染していないことの証明と引き換えにある程度の(トラック等による)生活必需品の物流をみとめることになったようだ。一方で、すでにトヨタは英仏の工場のクリスマス休暇の前倒しと言う形で工場閉鎖に踏み切っているし、産業界・経済界への影響は今後極めて大きくなるものと思われる。

イギリスは世界でいち早く産業革命を興し、かつ、七つの海を支配して世界中に植民地を獲得して日の沈むことの無い大英帝国を築き上げた。それは、今に至っても英連邦と言う形で残っているから、どこかに世界国家としての名残がある。そんなかつてのイギリスの非同盟政策が栄光ある孤立、と言う言葉につながったのだろう。この栄光ある孤立は世界情勢の変化とイギリス国力の低下によって19世紀末には維持することは出来なくなり、その終焉の象徴が、日英同盟だとも言われる。

BREXIT をにらんで日本はいち早くイギリスとの日英包括的経済連携協定(FTA)交渉を取りまとめた。そこには微かにかつての日英同盟の名残のようなものを見ることもできようが今回のコロナ変異種の発生によって、日本もイギリスからの入国を一時停止することを余儀なくされたし、イギリスへの渡航自粛を要請することになっている。イギリスへの道は暫くは遠いままのようだ。

ところで、数日前からの頭痛がおさまらない。耐えられないほどの痛みではないのだが、鈍い痛みが額に張り付いたようで離れない。そのせいか、あるいは逆なのかはわからないが首にも痛みが広がってきたようだ。例えていえば、二日酔いの時の痛みに似ている。もちろん、酒を飲んだ訳ではないのでそれがこの頭痛の理由ではない(二日酔いなら大体昼頃には痛みが治まるものだ)。丁度半年前、かなりひどい眩暈に襲われたことがあった。その時は数時間もしないうちに回復したので大したこともないと思いそのままにしておいたのだが。年末も近づいてきて(と言ってもコロナ禍で例年よりは予定が大幅に減ったし、周辺でも特になにか変わったことがあったわけではないが)少し疲れがたまってきたのかもしれない。長引くようだと医者に診てもらう方がいいかも・・・

11月14日から来年1月4日まで点灯される恒例のロンドン、リージェントストリートのクリスマスライトは都市封鎖の影響で今年はほとんど見物する人のない異例なものになっている。ライトの明るさはいつもの通りでも、閑散とした目抜き通りには寂しさだけが漂う。

 

(リージェントストリートのHPから)

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ツインタワー

2020年12月21日 15時06分18秒 | 日記

年の瀬も押し迫ってきて、本棚の整理をしていたら、2001年の同時多発テロで倒壊してしまったニューヨークの世界貿易センタービル(WTC)を追悼する写真集、「World Trade Center Remembered」がでてきた。かつてWTCは、ほぼ同じ超高層ビルが2本、少し筋違いに並んで建っていた。そのデザインと建築地点は、さまざまな方向から見て一番美しくかつ威厳に満ちたものになるように選ばれたものだった。

WTC がアメリカ資本主義の象徴だとすれば、おなじような建物にはドイツ、フランクフルトのあるドイツ銀行本店ビルがある。この、総ガラス張りのビルは、高さこそWTCには及ばないもののいかにもドイツ金融(にして金融資本主義)の総本山と言うのにふさわしい、機能的で清潔、人を寄せ付けないような冷たさを放っている。一時はドイツ産業を支配する、世界最強の銀行と言われたドイツ銀行だが、最近では国際戦略・証券業務での失敗や、いくつかの不祥事にまみれ、さらにはドイツ産業の銀行離れによって公的な救済や経営危機さえうわさされているから、まさに祇園精舎の鐘の音、盛者必衰を地で行っているようだ。同じような建物には、マレーシアのペトロナスタワーが挙げられる。

こういった独立した二つの建物でなくても例えば教会建築ではパリのノートルダム寺院やロンドンのウエストミンスターアビー、ケルン大聖堂など、ふたつの塔を持つ教会建物には枚挙にいとまがない。東京都庁舎を設計した丹下健三も、あの、二つの塔状のタワーのデザインはノートルダム寺院を参考にして8角形のゴシック調のイメージを膨らませたことは良く知られている。

更に、ツインタワーではないが、同じものを同時に二つ作るというのは他にもあるようだ。たとえば、氷山に衝突して処女航海で沈没した「タイタニック号」は「オリンピック号」と同時に竣工されたし、三菱重工業が建造した大型客船「ダイヤモンド・プリンセス号」は、(名前が入れ替えになったという数奇な経緯をたどったが)「ダイヤモンド・サファイア号」と同じ船体。同じものを同時並行的に建造することによってより効率的になるからなのだろう。

効率とは違った理由で、同じものを二つ必要とするものがある。一時期ロンドンで骨董品に興味を持ち、家の近くの骨董品店に何度か足を運んだことがあった。ときどき顔を出しているうちにある時、陶磁器で気に入ったものが見つかった。ただ、かなり高い値段だったので、一つだけ買おうかとして店の主人に話しかけたところ、こういったものは必ず対で買わなければだめだ、一つだけでは全く意味がないよ、と諭された。

ヨーロッパでは、建物でも室内装飾でも何事にも左右対称の物が好まれるから、例えば装飾品などでは一つでは飾ることがむつかしいという事情がある。もちろん彼としては一つだけ売ったのでは後に残った品物を売るのに難儀するということや、高く売りたいという思惑もあったのかもしれないが確かにそう言われていれば、一つでは何か欠けているように思われてきた。結局、少し値引きしてくれたので無理をして対の物を買ったのだが今になってみればその骨董屋の主人の忠告は実に正鵠を得ていたのだということがわかる。一方、日本では厳格な左右対称にはこだわらず、むしろ、全体として流れていくようなところに雅を感じるという美意識があるようだから、こういうことは言われないのかもしれない。

ニューヨークのワールドトレードセンターのツインタワーが崩壊した跡地には今度は巨大な一つの「One World Trade Center」ビルが建設された。ひょっとしたら、あの、テロを想起させるツインタワーからの決別と言えるのかもしれない。一方、ドイツ銀行本店ビルは、まだツインタワーではあるけれども、ソーラーパネルを壁面に設置したということでかつての太陽の光を反射して輝いていた印象からは少し変わってきたようにも思われる。

それに比べれば教会の塔は健在だ。ノートルダム寺院は去年四月に火災にみまわれたが、二つの塔は火災の被害を免れた。やはり、どこかに神の加護があるのかもしれない。

今はなきWTC

 

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絶滅危惧種?

2020年12月20日 17時53分19秒 | 日記

今、道路を走っているバスやトラック以外の車を見ると、そのほとんどはワゴン車やSUVと言われる、人間の乗車しているところと貨物室が一体となったものだ。そのなかでも、最近は背の高い、大柄な車が目につく。このくらいのサイズの車であれば乗り降りに体をかがめる必要もなく、子供であれな車内で立ったまま移動することもできそうだ。さらに、何か大きな買い物をした時や、ちょっとした家具を運ぶときなどにも無理なく積むことが出来る。これまで主流だった、前にボンネット(エンジンルーム)があり、後部にはトランク(リアデッキ)があるいわゆるセダン型と言うのは今や非常に不人気なのだそうだ。家族が車で移動する時には荷物を沢山収容することが出来て乗り降りしやすいワゴン車が便利なことは言うまでもなく、このタイプに人気が集まるのは当然のことだと思う。

自分はと言うといままで、日本でも海外でもかなり多くの車に乗ってきたが、それらはどれもいわゆるセダン型だった。しかし、ではこれからワゴン車やSUVに乗りかえるだろうかと言うとそうはならないように思う。セダン型を好む人は、一部には高齢者だという話がある。それは必ずしも否定はしないが、年齢にかかわらず、自分にとっては、人間の乗る部分と、荷物のある部分は分けたい、と言う気持ちがある。乗員のスペースは、家に例えれば居間か応接間のようなもので(特に他人を乗せるというような場合)、荷物の利便性や乗り降りの便利さだけでは割り切れないところがあるからだ。

例え乗り降りの際に少しばかり窮屈に感じても一旦車内に落ち着いてしまえば、むしろ走行時にはその落ち着いた乗り心地、安定感が好ましく思われる。さらに、人間の乗っているスペースだけとなると、しっかりと包まれる感じがあるし、会話や音楽を聴いている時も自然で、静かな雰囲気を保つことが出来るように思う。もっとも、荷物のスペースと同居することに抵抗感があるというのがそもそも年齢のなせる業なのかもしれないが、やはり、荷物はしかるべきところに収容されるべきと言うような感じか。こういった意識は、普段から荷物の多い、例えば子育て中の家族から見れば単なる見栄、として失笑されるだろうが。

何度か知人や友人を自分の車に乗せたことがある。一緒に買い物に行ったときなどには、買い物をトランクに収めておけば、途中、例えばレストランに入るようなときには通りすがりの人に車の中の荷物を見られてしまうようなことはない。さらに、堅牢なトランクに収められているという(防犯上の)安心感もある。ニューヨークに駐在したある時、知人の女性を乗せて郊外のショッピングモールに案内したことがある。大体の店を紹介したのち、彼女が一人で少し歩き回りたい、と言うので、こちらは、BOSEの店で時間をつぶして待ち合わせ場所で落ち合った。その間、その知人は当時日本でも人気だったある女性ブランドの店でたくさんの買い物をしてきたのだった。その買い物袋はピンクでとても目立ったのだが、その時にはトランクが大いに役に立ったものだ(もっとも誰もこれだけの理由でセダン型を選ぶわけはないか・・・)

自分が子供の頃は乗用車といえば、4枚ドアのセダンを意味していたように思う。しかし、こうもワゴン車やSUVと言われるタイプの車が道路を席捲してしまい、かつての伝統的な車の数が減ってしまうと、今の子供たちにとっては、車と言えばセダン型ではなく、ワゴン車を意味するということになるのかもしれない。時代とともにものの見方は変わってゆくものだからそれも当然と言うべきなのだろう。セダンは絶滅危惧種、なのかもしれない。

セダン型の典型ともいえるひとつを。

 

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