難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

地上デジタル放送の懸念 解説放送

2007年10月13日 18時16分13秒 | 生活
070908_2313~001.jpg地上デジタル放送では、解説放送のための音声チャンネルが確保され、「視聴覚障害者向け放送の普及行政の指針」(案)でもNHK、民放などの目標値を10%としている。

アナログのテレビの解説放送が進まなかったのはステレオ放送が解説音声のためにモノラルになってしまい、音の広がりを再現出来ないので実施しなかったという「技術的問題」があったからだ

この技術的問題は確かに地上デジタル放送ではなくなるが、解説音声のためのチャンネルが確保されているのだろうか。
地上デジタル放送では5.1チャンネルサラウンドの音が放送出来るようだ。


解説放送をする場合音声に1チャンネル割り当てて音響は残り4.1チャンネルサラウンドで再生されるものなのか。
まさか、5.1チャンネルには解説音声が放送や受信機の規格には入っているんだろうねと心配になる。

そうならば、デジタル放送の電波産業会ARIBの規格は当事者を加えて作られた規格ではないので、作り直しをしなければならなくなるかも知れない。


ラビット 記



視覚障害者の放送・メディアのバリア

2007年10月13日 10時19分54秒 | 放送・通信
071012_2125~001.jpg071012_0844~001.jpgI様
今日はせっかく東京にまでおいで頂きましたのに、夜までご一緒出来ずにすみませんでした。

放送バリアフリーの進め方について、視覚障害者の方からのご意見、それも高い立場からのお考えで感服しました。百万人の味方を得た思いです。

視覚障害者の放送バリアは私にも良く理解出来ますが、社会的公器である電波を使う放送事業者が解説放送を1%にも満たないままかくも長く放っておいたことには怒りを禁じえません。

視覚障害者の放送バリアを放置してきた理由は、放送事業者の説明では解説放送の台本の制作者が少ない、時間がかかるというものでした。
しかし、本当の理由はステレオ放送で解説放送を行うとモノラルになり、一般視聴者に不都合を生じるからというものです。
手話放送を行うとワイプ画面が一般視聴者の妨げになるのと同じ言い分ですね。
これは明白な「差別」ではないでしょうか。

先月、名古屋で視覚障害者のための映画の音声解説をしている方にお目にかかりました。
シーンに合わせて状況を解説した音声を微弱なFM電波で飛ばし、FMラジオ(受信機)で聞くという仕組みです。
フィルムの送られる速度が映画館によって違うので、いつも生で話すのだそうです。
これは元アナウンサーだった方が中心になってボランティアで行われていますが本来映画館や映画制作会社や配給会社の行うべきことです。

障害者権利条約の第30条第1項(b)には明確に「利用可能な様式を通じて、テレビジョン番組、映画、演劇その他の文化的な活動を享受すること。」とあります。
今日の視聴覚障害者の情報アクセス権を巡る状況は、著作権問題や放送バリアフリー問題に鋭く表れています。
私たちはこれらの問題を統合的に整理をして分かりやすく訴えて行く必要があります。


視覚障害者と聴覚障害者、学習障害者など多くの障害者が連帯して、権利条約の内容を反映した情報バリアフリー法が必要になると思います。


お話する時間がなかったのですが、私は来月にも人工内耳の手術を受けることにしています。
しかし、決める上で幾つもの「悩み」、「課題」が出てきました。
医療を受ける側が持っている情報が非常に少なく、十分な判断が出来ません。

医師の話も十分な説明をしているとは感じられません。
これは医療と情報の二重のバリアです。

ラビット 記



Webアクセシビリティの翻訳本とアクセシブルデータの提供

2007年10月13日 08時57分09秒 | 権利
webアクセシビリティの翻訳本が刊行されるメールを転載する。
この本がアクセシビリティを取りあげているだけに、視覚障害者等がデータの提供も考慮されている。

出版社と編者などが理解すれば、こうした取組みができる。

今話題になっている著作権法の複製権、公衆送信権の問題も、著作権者側がアクセシブルな形で提供すれば何も問題がないのだ。

ラビット 記
========================
Webアクセシビリティのエヴァンジェリスト仲間と共に1年がかりで取り組んで
いた翻訳本が、10月26日に毎日コミュニケーションズから出版されるので
お知らせします。

Amazonでも予約可能ですので、ご購入の上、皆様のお役に立てていただければ
幸いです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4839922209/

=====================================
『Webアクセシビリティ −標準準拠でアクセシブルなサイトを構築/管理する
ための考え方と実践』
Jim Thatcher/Michael Burks/Christian Heilmann/Shawn Lawton Henry (著),
渡辺 隆行/梅垣 正宏/植木 真 (監修),
UAI研究会 翻訳プロジェクト (翻訳)
¥ 3,990 (税込) 656ページ
毎日コミュニケーションズ
ISBN-10: 4839922209 ISBN-13: 978-4839922207


毎コミのサイトにある本書の紹介文を引用します
http://book.mycom.co.jp/book/978-4-8399-2220-7/978-4-8399-2220-7.shtml
<引用開始>
世界の専門家11人が執筆し、日本の第一人者たちの翻訳した、Webアクセシビリ
ティ解説書の決定版の登場です。

「Webアクセシビリティ」というとき、基本的な考え方や理論から、実際の制作
の場でどうすればよいかという問題、さらにそれがビジネスや法制度的にどう
なっているのか、などなど非常に広範な内容が含まれます。
本書はテーマや内容ごとに、それぞれの分野の専門家が執筆することで、質量と
もに「Webアクセシビリティ大全」とでも呼ぶべき、本格的な書籍となっており
ます。
大きく3部構成となっていて、第1部でWebアクセシビリティの基本を解説し、第2
部で技術に関する具体例を豊富に提示し、第3部で米国と世界各国の法律と政策
を詳細に説明しています。
特に第2部では、スクリーンリーダーやブラウザなどの話から、コンテンツ、ナ
ビゲーション、データ入力をアクセシブルにする方法、さらにCSS、
JavaScript、Flash、PDFに関するアクセシビリティ、アクセシビリティ・テス
ト、WCAG2.0など、様々な話題を扱っています。

「本書は、Webの専門家が、Webアクセシビリティを本格的に勉強する際に最適な
本である。したがって、本書が想定する主な読者は、Web制作者、 Webサイトの
管理者、地方自治体や企業をはじめとする各組織のWeb担当者など、何らかの形
でWebサイトの制作や運営に関わる方々である。しかし本書は、それ以外に、授
業やセミナー、あるいは社内勉強会のテキストとしても有用であろう。アクセシ
ビリティ担当ではないからこの本は必要ないと考えるのではなく、是非まず第1
章を読んで欲しい。そして、机の横に置いて、必要に応じて残りの章を読んでい
ただきたい。Webアクセシビリティは、画像に代替テキストを付与することでは
ないし、チェックツールでテストして合否を判定することでもない。Webアクセ
シビリティは、多様なユーザー、さまざまな技術、ガイドラインや政策や法律、
などを総合的に考慮しなければならない複雑なプロセスである。この本を日本語
で出版することで、日本のWebアクセシビリティ向上を促進できればと願ってい
る。」(「日本語版翻訳者による序文」より)

2006年7月に米国で出版された「Web Accessibility: Web Standards and
Regulatory Compliance」の日本語版。
サイトの運営者/制作者双方必携のガイドブックです。

---------------------------------
・本書を購入したことが分かる領収書のコピー
・障害者手帳のコピー
の両方を,Fax又は郵送で出版社に送っていただければ,折り返し,電子データ
を送付することになる予定です.電子データの形式は,テキストデータかPDFに
なると思います.

電子データ提供方法は,出版社のサポートページで公開する予定です.
http://book.mycom.co.jp/support/e2/wdb/

電子データを必要とされる皆さま,HYML形式は別として,テキストデータとPDF
(どこまでアクセシブルに出来るかは打ち合わせ中.PDFファイルからテキスト
データを取り出せるのは確実)だったら,どちらがよいのでしょうか?


なお,1章は,(最終バージョンではありませんが),下記で公開しています.
http://www.comm.twcu.ac.jp/~nabe/UAI/Chapt1/
# 出版後,このサイトをどうするかは,出版社と協議中です.