難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

Webアクセシビリティには手話も必要 DAISYの最新規格 

2007年10月24日 23時14分52秒 | バリアフリー

071024_0829~001.jpgWebアクセシビリティの普及のためのセミナーが開催される。
Webアクセシビリティと言うと、視覚障害者のアクセスが中心だが、文章(書記日本語)にアクセスしにくいろう者のアクセスはどう解決するのだろうか。

文章にはその意図がある。その概念を文章ではなく手話言語で理解することが出来るようにすることも「アクセシブルなWeb」には必要なことではないか。

障害者の権利条約で、言語に手話言語が音声言語等と並んで対置された。手話言語でアクセスする権利が生じたことになる。教科書や新聞、その他のメディアの音声、文字の出力、表現を手話言語で理解できるようにすることも課題になる。

DAISYデイジーが新たな機能を持ったバージョンが出るらしい。

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ラビット 記
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「Webアクセシビリティ」出版記念セミナーのご案内
きたる10月26日、「Webアクセシビリティ 〜標準準拠でアクセシブルなサイトを構築/管理するための考え方と実践〜」が出版されます。
UAI研究会では、本書の出版を記念してセミナーを開催いたします。

<書籍の概要>
 Webアクセシビリティ
 〜標準準拠でアクセシブルなサイトを構築/管理するための考え方と実践〜
  Jim Thatcher, Michael R. Burks ほか著
  渡辺 隆行、梅垣 正宏、植木 真 監修、UAI研究会 翻訳プロジェクト訳
  ¥3,990(税込)毎日コミュニケーションズ刊 ISBN- 4839922209
  10月26日発売
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  http://book.mycom.co.jp/book/978-4-8399-2220-7/978-4-8399-2220-7.shtml

<セミナー概要>
 * 対象:Webアクセシビリティに関心のあるサイト運営者、Web制作者
* 日時:11月9日(金)13:30〜17:30(13:00受付開始)
* 会場:(株)ミツエーリンクス・セミナールーム
    http://www.mitsue.co.jp/company/access.html
* 主催:ITRC UAI研究会
* 協賛:(株)ミツエーリンクス
* 定員:50名(先着順)
* 参加費:
* ITRC会員:1,000円(ITRC会員組織ごとに,本を1冊進呈します.)
* 一般(書籍込み):6,000円(書籍持参の方は,2,000円)
* 情報保証:必要に応じて準備する予定ですが、ご希望にこたえられないこともございますので、ご了承ください。

※ 詳しくはサイトをご覧ください、お申し込みもこちらからどうぞ

http://www.comm.twcu.ac.jp/~nabe/UAI/20071109/

<セミナープログラム>
監修者の3人が、本書の内容に即して解説します。また、フリートークでは主要な翻訳者がそろい、Webアクセシビリティについて熱く語ります。
会場からの質問にもこたえます。

司会:山口 俊光(国立特別支援教育総合研究所)
* 13;00 会場
* 13:30〜13:40 あいさつ:渡辺 隆行(東京女子大学)
* 13:40〜14:30 第一部:梅垣 正宏
 『アクセシブルなコンテンツ、ナビゲーション、フォーム』(第6章〜第8章)
* 14:30〜14:40 休憩(10分)
* 14:40〜15:40 第二部:植木 真(インフォアクシア )
  『アクセシブルなPDFとFlash』(第11章と第12章)
* 15:40〜16:10 第三部:渡辺 隆行
 『アクセシブルなJavaScript』(第10章と研究紹介)
* 16:10〜16:30 休憩(20分)
* 16:30〜17:30 フリートーク&Q&A
 主要な翻訳者がそろってフリートーク、会場からの質問にも答えます
* 17:30 終了
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UAI研究会翻訳プロジェクト
本件の問い合わせ先:seminar@accessibility.jp

※ この案内の転載を歓迎します。



障害者権利条約の内容 政府仮訳の問題点

2007年10月24日 06時08分13秒 | 権利
障害者の権利条約の政府訳は、日本障害フォーラムの川島、長瀬訳とかなり違う。
原文は、国連のサイト参照
http://www.un.org/disabilities/default.asp?id=61

政府訳は、カタカナ語が極端に少なく、意味が違ってしまっている部分が多い。

例)第一条 目的では、第二段落の最初の障害のある人の「障害」はdisabilitiesであり、その後のsensory impairmentsは感覚的な機能障害だ。
政府訳では両方とも「障害」になっているが、これは国際生活機能分類でも、国際障害分類でも、impairmentは「機能障害」となっている。
「機能障害(構造障害を含む)(impairments)とは,著しい変異や喪失などといった,心身機能または身体構造上の問題である。
 活動(activity)とは,課題や行為の個人による遂行のことである。」厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html

この「障害」の違いは、障害が種々のバリアーの相互作用によって起こるという理解の上でも必要だ。機能障害は医学的な障害を指し、ディスアビリティは社会参加を妨げられている状態を指すからだ。

Article 1
Purpose

The purpose of the present Convention is to promote, protect and ensure the full and equal enjoyment of all human rights and fundamental freedoms by all persons with disabilities, and to promote respect for their inherent dignity.

Persons with disabilities include those who have long-term physical, mental, intellectual or sensory impairments which in interaction with various barriers may hinder their full and effective participation in society on an equal basis with others.

【政府仮訳】
第一条 目的
この条約は、すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。
障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な障害を有する者であって、様々な障壁との相互作用により他の者と平等に社会に完全かつ効果的に参加することを妨げられることのあるものを含む。

【川島、長瀬訳】
第1条 目的
この条約は、障害のあるすべての人によるすべての人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し及び確保すること、並びに障害のある人の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。
障害〔ディスアビリティ〕のある人には、種々の障壁との相互作用により、他の者との平等を基礎とした社会への完全かつ効果的な参加を妨げることのある、長期の身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害〔インペアメント〕のある人を含む。

例)第二条 定義に「コミュニケーション」があるが、政府訳は「意思疎通」となっており、このコミュニケーションは、人の意思だけではなく、様々な情報の交換も含まれているはずで、幅が狭くなっている。

「audio」が「聴覚」(政府仮訳)、音声装置(川島、長瀬訳)
となっている。様々な補助的、代替え的様式、手段が列挙されていることから、聴覚の補助的な様式というと拡声、あるいは補聴システムを指すものと思われる。

non spoken languagesが、政府仮訳では(言語とは、音声言語、手話言語、その他の形態の)「非音声言語」となっている。
複数なので「非音声言語等」としておきたい。
読話や指文字、点字その他の言語的表現があり、ノンバーバル
コミュニケーションも含まれると思われるからだ。

Article 2
Definitions

For the purposes of the present Convention:

"Communication" includes languages, display of text, Braille, tactile communication, large print, accessible multimedia as well as written, audio, plain-language, human-reader and augmentative and alternative modes, means and formats of communication, including accessible information and communication technology;

"Language" includes spoken and signed languages and other forms of non spoken languages;

【政府仮訳】
第二条 定義
この条約の適用上、
「意思疎通」とは、言語、文字表記、点字、触覚を使った意思疎通、拡大文字、利用可能なマルチメディア並びに筆記、聴覚、平易な言葉及び朗読者による意思疎通の形態、手段及び様式並びに補助的及び代替的な意思疎通の形態、手段及び様式(利用可能な情報通信技術を含む。)をいう。

「言語」とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう。

【川島、長瀬訳】
第2条 定義
この条約の適用上、
「コミュニケーション〔伝達・通信〕」とは、筆記〔文字言語〕、音声装置、平易な言葉、口頭朗読その他の拡大代替コミュニケーションの形態、手段及び様式(アクセシブルな情報通信機器を含む。)とともに、言語、文字表示、点字、触覚伝達、拡大文字及びアクセシブルなマルチメディア等をいう。

「言語」とは、音声言語、手話及び他の形態の非音声言語等をいう。


ラビット 記