情報を見て動かして発想を豊かに
「手は脳の出店」というくらい、さまざまな働きをしている。その手に、キーボード打ちという日本人にとってまったく未経験の仕事が加わった。
「手の記憶」も、将来は変わってくるかもしれない。すでに、漢字が書けなくなってきている。
これはやや困ったことではあるが、それを補ってあまりあるものを、ワープロはもたらしてくれている。
それは、つまるところ、指先での思惟活動支援の制約を取り払ってくれたところにある。
紙も鉛筆も消しゴムもいらない。思いつくことは何でもキーボードから打ち込んで、見ることができる。さらに、それを動かすことで、思惟活動が刺激されて、新たな発想が生まれる。
そうはいっても、過度にワープロに依存するのも危ない。
ワープロがないと作文一つ書けないのでは、たとえば、試験のときに困る。
さらに、思惟活動の後半の段階では、「見てー動かしてー発想して」のサイクルをあえて中止して、頭の中だけで思惟をめぐらして一段高いところに思惟活動を導く必要もある。
そんなときは、ワープロからあえて自分を引き離してみることも必要である。