今回も、早めの発行にします。テーマは短めの三本立て。
●大手屋台、黒赤の調和
最近は、播州の三段平屋根の布団屋根屋台でも、赤地ではなく、金色の地をもつ水引幕が増えてきています。
また、布団締めも四国の太鼓台の影響をうけて太いものになり、赤地が目立たなくなってきました。
そんな中で、見事な黒と赤の調和を見せている屋台が三木に残ります。
それが、大手屋台です。
シンプルだけど、しっかりとした龍や獅子の金の刺繍は、黒の淵と赤地にこそ生えてきます。
大手のシンボルともいえる、黒白の綱と黒の布団締めとも非常にマッチしています。
これらのシックな色合いがあるからこそ、垂木と雲板の彫刻、井筒の彫刻や、おかめさんなどの井筒金具、欄干の螺鈿など、稀に見る見事な工芸が生きてくるのでしょう。
黒と赤の絶妙のバランス 屋根裏から井筒にかけての見事な彫刻群も、シックな色合いにこそ生えます。
●神輿を先導する屋台
播州東南部(加古郡、明石市、神戸市西部など)では、御先太鼓と呼ばれ、神輿を先導する屋台があります。
加古郡播磨町の阿閉神社や、加古川市の神吉八幡神社には、三段布団屋根の屋台(御先太鼓や太鼓と記されている)が江戸時代の絵図に描かれています。
これは、大阪天神祭の神輿を先導する催太鼓の影響をうけていると思われます。
三木市では、吉川町の若宮神社屋台が「お先だんじり」と呼ばれ、御神輿を先導していたそうです。
神輿を先導する本荘屋台(加古郡播磨町 阿閉神社) 神輿の行列の先頭を切って、御旅所から大阪天満宮に戻る催太鼓
●気合だけではあがらない屋台
屋台を担ぐ時に必要なのは、「気合」ですが、「気合」さえあれば上がるものではありません。
特に、全長が8mほどある杉棒の場合、中央に近づくほど棒は沈むのでそこを背(肩)の低い人が担ぎ、前後の端を背が高い人が担ぐと、多くの人が腰を伸ばせるので担ぎ易くなります。それをしない場合、腰を曲げている人や、斜めに棒に持たれる様に担ぐ人が増えて、屋台はすぐに落ちます。
本当に落としたくないときは、「気合が足りない」と周囲に八つ当たりすることはあまり重要ではありません。肩の高さなどを修正したり、下に棒端の綱を引くのを改めるだけで、随分担ぎ安くなるようです。
ただ、肩の高さをあえて合わせずに落として、「ドナイションドイッ」という怒号が聞こえる祭も悪くはないと思う今日この頃です。
↑図のように、8mほどの杉棒や、檜棒でも細いものであると、本体に近いほど棒の高さは低くなります。
●編集後記
今回も随分早めの寄稿になりました。
10月末で、すでに12月号を出してしまいました^^;
ただ、祭月が終わると、あっという間にその年が暮れてしまうように感じるようにもなってきています。
「気合だけではあがらない屋台」の例で触れたとおり、祭での不満や争い事をなくすためには、合理的な話合いや対策が不可欠です。その一方で、そのような合理性をもちこんで、システマチックに祭を行うことが本当に楽しいのかという疑問も出てきます。その辺は祭りをする人たちにとっての永遠のテーマなのかもしれません。
本年もご愛読くださり有難うございました。少しずつ、ご愛読?ご通過?してくださる方が増え、一日100IPくらいからのアクセスがあるそうです。
来年は、アクセスをさらに十倍にすることを目標に! するのではなく、とにかく、毎月一回の発行のペースは死守したいものです。
あとは、1韓国語の上達 2今までの取り組みを形にする などが出来ればと考えています。
●編集後記2
秘密保護法案が衆議院を通過したそうです。この国も少しずつ西北隣の国に似てきているきがします。
自分たちのやばいところは隠したい。うるさい奴はだまらせたい。
洋の東西、右左問わない為政者の本音なのでしょう。