保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

LOVERSを見に行ってきました。

2004-10-02 21:51:32 | 映画・芸能界
保津川下りの運行中止による休日は、今日で4日目に突入してしまいました。

さすがに暇を持て余したはっちんは映画館へと行ってきました。
鑑賞したのは以前から行きたかった「LOVERS]。

感想はまさしく衝撃の一言に尽きます。
最近の中国映画の躍進ぶりには注目はしていましたが、これほどとは!

映像の美しさ、特撮をミックスしたアクションの迫力はもちろんのこと、
以前は感じていたストーリー性の弱さなどまったく感じない完璧の作品に仕上がってました。

あくまで私見であるが、この映画に流れているテーマは‘偽りと真実の対比’
であり、人は真実に心動かされるものであるということ。
そして真の自由の中で生きることと死ぬことの美学だと思います。

組織や大義の為に命を賭ける男女と手柄を立てて出世を目論む男の三人が
繰り広げる謀(はかりごと)LOVERS。

お互いを偽っている間に、真実の愛に心が大きく揺さぶられ、
3日で惹かれあうようになる敵同士の二人。
そして組織が企画した謀から3年来の恋人の心を奪われてしまう内偵者の男。

人を好きになるのは瞬間的な出来事で、何故好きになったかなどの理由や理屈
などいらないのだ、というパッションな感情がストレートに伝わってきました。

擬似的な演出が、いつしか本物の愛に変わってきた時、
人はどのような生き方を選択するのか?
この作品は東洋の美学で答えていると感じました。

人は真実の愛の前には自らの命すら惜しくなくなり、その人の為に命を賭ける。

そこには真の自由があり、その前には大義や組織は消滅する。また消滅してこそ
本当の自由があり幸せがある。人が生きる価値あるものだとこの映画は教えてくれる。

西洋では人の人生は一度っきりで死ねば、天国が待っていると信じられてきた。
逆に東洋では人は死んでも、またこの世に生まれ変る輪廻の死生観があり、
全てが森羅万象によって支配されるという考え方があります。

西洋映画はどんなに悲惨な終末的映画でも、最後はボロボロになりながらも主人公が生き延びる。
新たに希望を残そうとする。
しかし東洋は死ぬことにも価値を見出すことを美徳と考える所があり
そこが必ず大衆の心を打ち、ストーリーが完結する。

そこのところをこの映画は余す所なく描いてくれている。
昔は日本映画にもこの美学が生きていたが、最近では私の視界には入ってきていない。

映像技術、アクション、俳優の演技力、そしてスケールの大きさどれをとっても
今の日本映画では遠く及ばないことを確信させられた映画でもありました。

少し寂しい思いでありますが、日本の俳優・金城武、中国の女優・チャン・ツィィー、
香港の俳優・アンディ・ラウというアジアスターの共演の中に、今後の映画界の
未来を感じることが出来たこともまた事実であります。