のどかな田園風景の中にポツンと佇み、鄙びた藁葺屋根がなじむ素朴な草庵が落柿舎です。
往時の風情が感じられる、なんとも心が安ぐ庵ですが、もともとは京の富豪が建てた豪華な別荘を、
松尾芭蕉十哲の弟子の一人 向井去来が1686年に譲り受けたもの。
その後、別荘を取り潰し、簡素な隠棲所にしました。
昔、庵の周囲を40本の柿の木が覆っていて、ある商人が立木ごと柿を買い取ろうとしたところ、
夜中に風が吹いて全ての実が落ちて破談になったことから「落柿舎」と名づけられたそうです。
去来は「柿主や こずえはちかき あらし山」と詠みました。今は柿の木も少なくはなりましたが、
紅葉にまじり、実る柿の木を愛でながら去来への思いを馳せてみるのもいいですね。
1691年(元禄4年)春、この庵に松尾芭蕉が滞在して「嵯峨日記」を著しています。
のんびりと物思いに耽るのにもってこいの庵です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます