保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

保津川の復旧作業始まる!

2004-10-21 12:17:20 | 船頭
今年否私が知る限りでは最大級の超大型台風23号は、
私達の仕事場である保津川下りの乗船場にも、
被害の爪あとを残して去って行きました。

昨夜は氾濫していた保津川の水も、朝には引き始めたことから、
私達船頭及び社員一同で乗船所の復旧作業に入りました。

乗船所の状態は、1Fの事務所と売店が床上まで浸水しているのと、
前の駐車場がすべて冠水していました。
まさに保津川下りの乗船所すべてが沈んだという形です。

作業は、堤防につないである舟を片付ける班、売店の整理をする班、
駐車場の泥を洗浄する班の3班に分かれ進められています。

今は昼休みを利用して書いておりまして、昼一時から作業再開です。

この状態では川下りの営業再開に付いても、まだ数日かかると思われます。

今後の動きについては、逐一この掲示板でご報告いたしますので、
川下りを予定されている方は参考にしていただければ幸いです。


写真は乗船所横の駐車場の泥を掃除している様子。

保津川大氾濫!決死の舟上げ!

2004-10-20 23:07:50 | 船頭
台風23号(トカゲ)速報

ただいま保津川が大氾濫!
私達船頭は全員が出動しての決死の舟上げを遂行!
寸前のところですべての舟の確保に成功し、下流へ流れるという
最悪の事態は免れました。

出動要請を受けた5時過ぎ、もうすでに第一堤防が決壊寸前の状態に。
第一堤防裏に避難させていた川下りの舟は、既に浮き上がった状態で、先に到着した
船頭が舟を流されないよう必死で押さえているところでした。

最後の堤防である第二堤防の下もすでに川の水が回ってきている状態で、
その堤防から見ると、舟を守っている船頭達は川の真ん中に
孤立した状態にも見えました。

しかしこのまま手を拱いていては舟が流され、
船頭達の命まで危機に瀕することに!

大袈裟ではなく初めて‘死'というものを確かに意識しました。

「この堤防を降りて川に入れば、もしかしたら二度と帰れないのでは?」

でも思案している時間はありません。

遅くなればなるほど事態は悪くなる!
意を決して川に飛び込み、舟が浮かんでいる所まで
歩いていったのでした。
舟までたどり着く道中、腰まで川に浸かりながら進み、
「運が悪ければ終わりだな!」
という思いが脳裏を横切りました。

舟は最初の避難の際に、2雙もしくは3雙と
積み重ねてあったので、引っ張るのも
大変重いうえ傾きも激しく、困難な作業となりました。

そうしている間にも水量は既に胸の辺りまで!
このままでは、足がつかなくなるのも時間の問題です。
自然と声も荒立ってきます。
「なにぐずぐずしてるんや!」
「ぼ~っとしてんとこっちを手伝えや!」
日頃、温厚なはっちんも声が枯れてきました。

船頭達の決死の作業のかいもあり、3時間後には
すべての舟を堤防のガードレールにつなぐ事が出来ました。

作業最中、台風は真上を通過していきました。
作業を終えた時にはカッパの中は水まみれでしたが、
なにはともあれ先ずは一安心!
とりあれず、「解散指令」がでました。

しかし話はここで終りではありません。

決死の作業を終えてホッと一安心したのもつかの間、
今度はあまりにも増水が激しく、橋が通行止めに!
しかも迂回道も土砂崩れで通行止めらしい!
対岸にある我家に帰ることが出来ない、
という情報が飛び込んできたのです。

びしょ濡れの状態で強風の中、冷えた体を暖めることも出来ないとは!
「どうにかして帰らねば!」いろいろコースを考えます。
一つだけありました。田んぼ横の農道を抜ければ、通行可能な橋に出られるはず!
一か八か行きましたが、途中で道に迷い川近くの農道へ入ってしまいました。
前方はすでに川が増水し道が途絶え、両横は川と化しています。
幅の狭い農道を車でバックしながら戻る時はドキドキものでした。

結局、引き返して正しい道を見つけ何とか家に
辿りついた時は9時を回っていました。

このような凄く氾濫した保津川を初めてみました。
亀岡駅周辺も水は回ってきています。
秋の行楽シーズンを前に、保津川下りはまさに沈没した!という気持ちです。

おそらく明日も舟の後始末が待っているはずです。
「今晩はもうこれ以上降らないでくれ!」と祈るような気持ちであります。

台風23号ただいま接近!舟上げました!

2004-10-20 17:13:27 | 船頭
いよいよ、台風23号が関西にも接近してきました。
風はまだ弱いですが、雨の激しさが一段と増してきました。
京都・亀岡の保津川も一気に警戒水位にまで増水してきています。
私達、船頭も急いで川に係留してある川下りの舟を陸地に上げました。

今、乗船所のある亀岡・保津流域では指定水位2,80mをはるかに上回る、
3,51mまで増えてきています。大体、1時間で約1mという猛烈な勢いで
川の水は上昇してきています。
保津川渓谷でも、既に警戒水位を超えており、5,16mという
今年一番の高水位を記録しています。
嵐山でも渡月橋に迫らん勢いで水位が上がっています。
秋の雅やかで優美な嵐山の姿も今日は一変、牙をむいた獣のような景色です。

台風はこれからが本番!
この先、今以上の豪雨になれば、川の氾濫が心配です。
乗船所も浸水する可能性も考えられることから、
私達も気を抜けない夜になりそうです。
河川流域の人達も十分注意してください。



本日の保津川下りは運行を中止しております。

2004-10-20 08:17:39 | 船頭
本日20日の保津川下りは、台風23号接近の為、
運行を中止しております。

今日に保津川下りに予約いただいた方には
誠に申し訳ございません。
またの機会でのお越しを心からお待ち申し上げております。

今回の台風は今年最大級の大型台風です。
これから接近する事が予想される地域の方は
くれぐれもお気を付けください。

はっちんもこれから舟に溜まった雨水を掻き出しに行ってきます。



やっぱり来ますか!台風様!

2004-10-19 21:45:58 | 船頭
今日は天気予報で言われていた通り、台風23号に刺激された
秋雨前線が刺激され、1日中、雨となりました。

前日は川作(かわさく)に出なくてはならない程の
浅かった川底も、今では増水して1mを越え、川止めの水位となっております。
おそらく明日の川下りの運行は無理でしょう。
それどころか、この台風が近畿に上陸するようなことがあれば、
今年3回目となる舟上げをしなくてならない事態になる可能性も出てきました。
舟上げとは、川に浮かばしてある舟をクレーン車で吊り上げ、
運送用トラックに積み込み、安全な陸地に避難させることです。

舟上げなどというのは、今までは数年に一回あるかないかの作業
だったのに、今年はもう3回目ですよ。
今年の異常さが分かるというものです。

しかし、この23号がやって来れば、台風の本州上陸は
10個目となり、日本新記録達成です。
今年、日本全国で受けた被害も相当なものになりますね。
毎回、台風で被害者がでていますが、今回も心配です。
台風も通り道になる地域の人は十分気を付けてください。

もちろん、私達船頭も先ほどの舟上げや舟中の雨水出しなどの
作業を、強風と豪雨の中で行わなくてはならないかも知れません。
怪我や事故のない様に、十分注意して掛かりたいと思っております。

またしても舟を守る当番に当っているはっちんは、
今も係留してある舟に溜まった雨水を掻き出しに行っきたところです。
今晩は警戒態勢にはいっていますので、眠れないかも?
雨さん、夜中に出動しなくてはならない程、降るなよ~たのんます!

明日からしばらく休みになるかな?
休みは何をして過ごしましょうか?
みなさんよかったらコメント入れておいて下さい。
お話しでも付き合ってください!

もう、ご勘弁願います!

2004-10-18 22:31:23 | 船頭
なんと、またしても台風様がこちらをお向きになられました。
しかも日本列島をすっぽり隠す程の超大型!なのです。

台風はまたもや東シナ海で急カーブし、お約束の日本コースへ!
今日の午後、宮古島の南東約300キロの海上を時速約15キロで北西へ進んでいます。
沖縄本島は19日朝には暴風域に入る恐れがあるらしく、
20日にも京都に接近する可能性が高まってきました。
この台風接近で、前線が活発化し大雨の恐れもでてくるなど、
私達船頭には最悪の事態になってきました。

もう本当に勘弁して欲しいです。

22日には時代祭、23日には鞍馬の火祭と大きなイベントも
控えており、京都の秋はこれからが本番という時に!

保津川でも今年最高の予約数を頂いているのに
この台風が接近するのでは、目も当てられませんよ~

台風が発生した限り、日本に接近しないことを願うことは
他の国に行くことを願うようで褒められた思考ではないことは
承知してはいますが、今回だけは逸れてくれることを願わずにはいられません。

今はただ、祈ることしかできない、無力感いっぱいのはっちんなのでした。



斉宮夢行列

2004-10-17 23:13:03 | 船頭
この週末は天気にも恵まれ嵐山もたくさんの人で賑わってました。
保津川下りにも多くのお客さんがお越しいただき、充実した週末でした。

秋になると京都はいろんな所で、イベントがいっぱいです。

今日、嵐山でも野々宮神社の「斉宮(さいおう)夢行列」を行っていました。
平安絵巻から飛び出してきたような雅やかな衣装に身をまとった
行列が、野々宮神社から竹林を通り、JR嵯峨駅前から天竜寺、
渡月橋を渡って行きました。

「斉宮」とは、天皇が新たに即位するごとに、天照大神の御杖代(みつえしろ)と
して伊勢神宮に遣わされた斉王(未婚の内親王もしくは女王)のこと。
御杖代とは大神や天皇の御杖となって助け奉じる者のこと。

歴史は飛鳥時代の天武天皇の頃にはすでに確立されており、南北朝時代まで
およそ660年間で、64人の姫君が遣わされたといわれています。

この斉王に任命されると、都から伊勢の斎宮へ遣わされ、到着するまで
5泊6日もかかったそうです。

その旅の斉王群行の往来の夢を再現したのが、今日の「斉宮夢行列」です。
行列は斉王以下官人、監送使、女官など約百人。

はっちん達はJR嵯峨駅前でこの行列と遭遇しました。
華やかな装束に身をまとった斉王はとても美しく、
急いで駅に向かう足を、しばし止めて見とれてしまいました。

古き日本が息づきそして出会える街京都。
400年の伝統ある保津川下りも、京都文化の一つとして
数えられるよう頑張って守っていきたいと思うはっちんなのでした。

保津川の秋、到来!

2004-10-16 23:19:00 | 船頭
温度の差はあるものの、爽やかで気持ちのいい天気が続いていますね。
おかげさまで、保津川下りもたくさんのお客さんで賑わっております。

今日も80雙の船が保津川を流れていきました。
明日はなんと60雙もの予約が入っています。

いよいよ今秋の行楽シーズン到来の予感です!

今の保津川は年中で一番、川水の透明度が高いときです。
青く澄んだ川水は、前を立ち塞がる巨岩に砕け、秋の日差しにも照り返されて
あたかも白竜のごとく光輝き、山々の緑をより一層、深緑に演出してくれています。

峡間では、木々から生み出される出来立ての空気が
思わず深呼吸をしてみたくなるほどの爽快さで、心癒される思いがします。

はっちんは秋の紅葉の時以上に、この時期の渓谷がなんともいえず好きです。
新緑にない深みのある緑の息遣いは、強い生命力の主張にすら感じられます。

毎日この環境を味わいながら仕事ができるはっちん達船頭は
この上なく贅沢な人生を過ごしている楽園の住人なのでしょうか?

天気予報では明日も暖かくてよい天気らしいです。
わずか一時間半の時間ではありますが、都会の喧騒や多忙な日常を
一時忘れ、保津川の渓谷に身を預けてみてはいかがですか?

明日は正午あたりでかなり混雑が予想されます。
予定されている方は早めのお越しをオススメします。

また、2時半以降を予定されている方は、渓間が少し
肌寒くなってくることもありますので、一着羽織るものを
お持ちいただくといいと思います。




今の若い者は・・・

2004-10-15 23:45:35 | 船頭
「最近の若者はダメだ・・・」古代ローマ時代の壁画に書かれた言葉です。
私達大人は、自分の若かりし時の姿と今の若者の姿を比較し、
欠点・不満をあげつらう事が好きなようです。
明確な根拠の裏づけもない、大人特有のノスタルジーに支えられた
この言葉は、人社会の有史以来、語られていたようです。


はっちん達、伝統ある船頭の世界でもこのノスタルジーは明らかに存在してます。

「今の若い者は正念が入ってない、今の若い者は技術がない、今の若い者は・・・」
まさに今の若者への不満のオンパレード。

はっちんはこの視点のはっきりしない一般論があまり好きではありません。
あまりにも若いということをイメージ的でとらえ過ぎ、
本当に指摘が必要な問題に肉薄して行かないからです。

本来、知識や技術というものは、一般論で語られる問題ではなく、
個人的な資質として語られるもののはずです。

同世代がその思考や能力において、まったく同一ということはありえないことです。
これは時代に関係なく、人には得て不得手というものが歴然と存在し
それぞれの特性、個性、考え方があって面白いのです。

人生や仕事の先輩である大人は、その個人にとって欠けているもの、必要なものは何か?
それを見切り、厳しく指摘・指導することがほんとに意味のある事だと思います。

また、自らの若い頃の体験と比較することも、その仕事に対する厳しさや
心構えを理解し易くする為なら、その体験談も生きてくることでしょう。

ただ、「今の若者・・・」をすべての落し所にするのは避けたいことです。

そういっているはっちんにも、いつの間にか多くの後輩が出来き、
先輩と呼ばれるようになってきました。

あくまでも、他者との比較ではなく、自らが定めた満足感の
達成の為、技術の研鑚に励む船頭でありたいと思っています。



この温度差で風邪かな?

2004-10-14 22:29:10 | 船頭
本当に1日の温度差が激しすぎますね~

朝方はジャンパーがいるほどの寒さと思えば、
午前から昼過ぎに掛けてはTシャツでもいいくらいの暖かさ。
夕方からは夜に掛けてはまたジャンバーに逆戻り!

さすがに体調も崩れだしてきました。
こんな時の船頭の仕事は大変です。

思った通りの力が出ないし、スタミナも切れてきます。
お客様とのトークーすら話すのが辛いことも・・・
しかし、そんな素振りを気付かせてはプロとして失格です。

何事もないように元気一杯の船頭さんで通してこそプロ。

今では手の抜き方を心得ていますが、新人の時は大変でした。
少しの風邪引きなど病気としては見てもらえないし、
下手したら仮病と疑われる始末!
本当に倒れるまで全力を出し切ったものでした。

この世界に入って師匠に最初に言われた言葉。
「死んではいかんが、死ぬ一歩前まで気張って仕事しろ!」というものでした。
職人気質な職場というのは覚悟してましたが、さすがにこの言葉には度肝をぬかれたものでした。

しかし今から思えば、人の命を預かるこの仕事の真剣さ、厳しさ、心構えを教えられた気がしてます。

すこし体調を崩したはっちん、秋の夜長に新人の頃などを思い出したりしました。