創作日記&作品集

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春宵十話 岡潔著 光文社

2008-02-05 10:04:03 | 読書
去年、光文社文庫・岡潔著「春宵十話(しゅんしょうじゅうわ)」を買った。読まずにいたが、少し前から読み始めた。意外と難しくない。岡潔先生とは、40年近く前に一度お会いしている。私としては一番の有名人だろう。お会いしたといっても、岡先生の頭の片隅にも残っていないだろう。友人?のMがこれから世界的な数学者岡潔に会いに行く。お前も来んかということでついていった。その前に、小林秀雄と対談「人間の建設」を読んでいたので、少し興味はあった。奈良の家は小高い所にあった。たぶんM はアポイントメントを取っていなかったのだろう。会える時は会えるし会えないときは会えない。アポイントメントに意味がなかった。居間に通されると、小さな老人が出てきて、尻を正座の足の間にぺたりとつけて話し始めた。挨拶も何もない。未開ので奉仕活動をした人の話だ。自他別について話された。悟った人間は、足を踏まれても、足の上に足があると感じる。そんな話だったと思う。一時間ほどの話の間、煙草のハイライトを一本、指でもんでおられた。吸うことはなかった。話し終わるとやっと火をつけた。それから世間話のようなものをした。裕仁天皇に治めてもらわなければ日本は駄目になる。近々三島由紀夫と対談する。とても楽しみにしている。(三島由紀夫は同年市谷に行ってしまった)。最後にMが「妻をめとらば」を熱唱し、それを目を細めて聞いておられた。