自分の顔 2018-10-29 14:03:57 | エッセイ 自分の顔は鏡や写真でしか見ることが出来ない。 それもしょっちゅう見ているのではない。 私は歯を磨く時に見る。 いよいよ父親に似てきた。 顔の造作ではなくて表情である。 しかし、鏡を離れれば、自分の顔がうまく頭の中で像を結ばないことがある。 自分の顔とはそんなものだと思う。 果たして自分の顔は、他人にはどのように見えているのだろう。 意外と自分の顔は知らない。 他人も私が認知しているのと違う顔を自分の顔だと思っているのかもしれない。 群衆の中に自分がいたら、気づかずに通り過ぎてしまうかもしれない。
今日の一句 2018-10-23 16:19:19 | 俳句 今日の一句 今年また母の埴輪に小鳥来る 母が亡くなって十年経ちます。 母の遺品を整理していた時、高さが40㎝ぐらいの埴輪が出て来ました。 重そうで誰も手を出さないので、庭にでも置こうかと貰って帰りました。 7、8年前から、小鳥がやって来て埴輪の頭の上に止まります。 いつも同じ色の小鳥です。 今日も一瞬止まり、こちらを見てから飛んでいきました。 ふと、母が来ているのかもしれないと……。
『銀河鉄道の父』門井慶喜著 2018-10-22 10:51:19 | 読書 とても面白く読んだ。 知っているようで知らない宮沢賢治がいる。 全く知らない父の政次郎がいる。 宮沢賢治を俯瞰しているような気分になる。 赤痢患者の病室に泊まり込み子を看病する父。 大人になり「……おらは、おとうさんになりたかったのす」と告白する子。 二人は離れ、密着し、交錯する。 巨大なトランクの中から、 「どっどどどどうど、どどうど。どどう。ああまいざくろも吹きとばせ、すっぱいざくろもふきとばせ。どっどどどどうど、どどうど。どどう……」 風の又三郎が飛び出す。 地下でマグマのように渦巻いていた才能が吹き出る。 それは、父と子の共作のようだ。 どっどどどどうど、どどうど。どどう