まず、辞書にない「謹訳」という言葉に戸惑います。だけど、少し読めば分かるのですね。「謹」はつつしん‐で【謹んで】 の意味。謹んで訳します。「です・ます」調ではなく「である」調で訳しています。そのため文章が硬質になっていますがとても分かりやすい。文章は短く簡潔です。敬語ほとんど使われてません。これらの三つの要素が「謹訳」という言葉に含まれていると思います。本当にすらすらと読めます。物語を楽しむという作者の意図が反映されていると思います。
六条御息所の視点で源氏物語を描く小説です。六条御息所は生霊(生きている人の怨霊)で「源氏物語」に登場します。作品では、六条御息所は成仏できないまま死霊となりさ迷っています。作者としては本意ではないでしょうが、源氏物語のあらすじとして読むこともできます。物語を整理することができます。ふん、ふんと人間関係なんかは分かりやすいですね。六条御息所の女の性(さが)と心情が見事に描かれています。読みながら、源氏物語は色々な登場人物から物語を紡ぐことができるのだなあとあらためて思いました。そういう意味でも源氏物語は希有な作品ですね。
奈良の三輪神社にささゆりを見に行きました。新聞に載っていました。近くに住んでいながら知りませんでした。とても可憐な花です。葉は笹のようです。平日で人も少なく、神社はとても静かです。荘厳な感じがします。園芸店では見たことがありません。やはり野に咲く花なのでしょう。