孫の健斗(28才)から見た祖父(87才)が描かれている。
三人称の「健斗」を一人称の「ぼく」に置き換えても通じそうだ。
むしろその方がすっきりするように思う。
祖父には五人の子供がいるが、たらい回しされて、
今は、上から二番目の長女(健斗の母)の家にやっかいになっている。
母は定年後嘱託で働いている。
健斗は七ヶ月前から失業中だ。
祖父の行動や言葉は書かれているが内面はほとんど書かれていない。
祖父の方から見てみよう。
一部屋与えられている。
杖歩行だがトイレにも食事にも介助はいらない。
一人で留守番も出来る。
週三回のディサービスと月末の三日間のショートスティに行っている。
やれることは自分なりにやっている。
それなのに娘に怒鳴られる。
誰が育てた!
でも、それは禁句だ。
思わず叫んでしまった。
「仕事なんか行かんで、家におれ」
「仕事に行くなら、いっそ殺して行け」
一人でいるのが不安だった。
若い女性ヘルパーの腕や胴体を、祖父が触っていた。
健斗は性欲だと思うが、
生身の人間に触れたい。
大人しい老人を演じなければ。
孫は優しいが、時々人間じゃないものに見える。
あいつは宇宙人か?
とにかく淋しい。
「早う迎えにきてほしか。毎日、そいだけば祈っとる」。
そんな日は必ずやって来る。
若さ溢れる君にも。
楽しい日々も苦しい日々も全て過去だ。
前には『死』しかない。
面白いもんは何もなか!
人は過去に生きられない。
少し前向きになろう。
祖父の「ゴボウの切れ端みたいなペニス」に健斗が自分の存在を重ねるシーンがあったと思う。
その箇所を探すが、見つからない。
最初からなかったんじゃないかと不安になる。
電子書籍の活字を追っていると、小説に、祖父の名前がないのに気づく。
母の名もない。
祖父は母を「お母さん」と呼ぶ。
そして怒られる。
「お母さんって呼ぶな!」
三人称の「健斗」を一人称の「ぼく」に置き換えても通じそうだ。

祖父には五人の子供がいるが、たらい回しされて、
今は、上から二番目の長女(健斗の母)の家にやっかいになっている。
母は定年後嘱託で働いている。

祖父の行動や言葉は書かれているが内面はほとんど書かれていない。
祖父の方から見てみよう。
一部屋与えられている。
杖歩行だがトイレにも食事にも介助はいらない。
一人で留守番も出来る。
週三回のディサービスと月末の三日間のショートスティに行っている。
やれることは自分なりにやっている。
それなのに娘に怒鳴られる。
誰が育てた!
でも、それは禁句だ。
思わず叫んでしまった。
「仕事なんか行かんで、家におれ」
「仕事に行くなら、いっそ殺して行け」
一人でいるのが不安だった。
若い女性ヘルパーの腕や胴体を、祖父が触っていた。
健斗は性欲だと思うが、
生身の人間に触れたい。
大人しい老人を演じなければ。
孫は優しいが、時々人間じゃないものに見える。
あいつは宇宙人か?
とにかく淋しい。
「早う迎えにきてほしか。毎日、そいだけば祈っとる」。

若さ溢れる君にも。
楽しい日々も苦しい日々も全て過去だ。
前には『死』しかない。
面白いもんは何もなか!
人は過去に生きられない。

祖父の「ゴボウの切れ端みたいなペニス」に健斗が自分の存在を重ねるシーンがあったと思う。
その箇所を探すが、見つからない。

電子書籍の活字を追っていると、小説に、祖父の名前がないのに気づく。
母の名もない。
祖父は母を「お母さん」と呼ぶ。
そして怒られる。
「お母さんって呼ぶな!」