『こちらあみ子』・今村夏子著の二回目の読書は二時間足らずで終わった。
「こちら」にいるあみ子の世界は豊かである。
だが、「あちら」の心を知ることは苦手である。と言うより関心がない。
キモイと言われても気にならない。
家族を破壊したのが自分であることも知らない。
人を傷つけたことも知らない。
反省なんかは彼女の中に存在しない。
そんなあみ子を知っているから、「あちら」はあみ子に優しい。
だが、あみ子に対する負の感情が頂点に達した時、「あちら」は爆発する。
それをあみ子は理解出来ない。
ただ、
こちらの「あみ子」があちらの「のり君」が好きなのは、あみ子にはよく分かる。
「好きじゃ」
と満を持していった言葉と同時に
「殺す」
体調が最悪な「のり君」が爆発する。
最後に坊主頭が登場する。
「あちら」の典型的な人間で通行人みたいにあみ子が無関心だった同級生。
その心にそっと触れる。
「卒業しても忘れんなよう」と言って去って行く。
でも、すぐに忘れてしまう。
だが、誰かが少しずつ「あちら」からあみ子に近づいてくる。
竹馬に乗って少しずつ。