当時の女性雑誌に書かれた作品を年度順に並べたアンソロジーである。
高校生の時乱読した太宰治は50年以上経っても新鮮だった。
私も何も変わっていないということでもある。
青臭いまま進歩していない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cat_3.gif)
ただ青臭い老人になった。
二十歳の頃、私の読む小説は、太宰治から三島由紀夫に変わった。
友達の妹に三島由紀夫が好きだと言うと、「私は嫌いです」と即答され、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cat_6.gif)
付き合いは初対面で終わった。
三島由紀夫と太宰治の一度きりの出会いを少しフィクションをまじえながら書いてみよう。
三島由紀夫が震えながら太宰治に、
「僕はあなたの文学が嫌いです」
と、言った。
太宰治は、キョトンとしていた。
「まあ、そんなことはいいじゃない。会いに来たんだから」
と、酒を勧めようとして、相手が子供みたいに小さいのに気づいてやめた。
三島由紀夫は、愛想笑いを浮かべ、ぺこりと頭を下げた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/cat_1.gif)
言うことは言った。
三島由紀夫の最晩年に、
「それじゃあ、太宰治と一緒だよ」
と、友人に指摘されて、
「俺と太宰は同じだよ」
と、三島由紀夫は真顔で言った。