創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

源氏物語 第一巻・大塚ひかり著(5)

2008-11-30 16:19:35 | 読書
読了。この時代の社会で、基本となるのは身分と結婚と思った。政略結婚もまかり通った。正妻が別にいても三度通えば妻になる。一夫多妻だが、女が夫以外の男と関係を持つと、不義になる。源氏の御代の人は身分や結婚にがんじがらめに縛られながらも激しく生きていた。桐壺の更衣の母が、娘の死を悼み、天皇さえも非難する場面は圧倒される。源氏ナビがなければふん、ふんと読み過ごしただろう。源氏は、天皇がらみの不義を二度行う。こんなタブーを書いた紫式部とはどんな女性だったのだろうか。権力者の後ろ盾が窺えるのは私の妄想だろうか。その他には悲しいときは悲しいような文字を書く。歌も字体も気持ちを伝える重要な要素であった。この本によって、「源氏物語」が身近になった気がする。こんな本を熱望していた。第二巻が楽しみだ。

源氏物語 第一巻・大塚ひかり著(4)

2008-11-27 20:12:24 | 読書
本に書き込みはやらない主義なのだけど、この本はマーカー片手にどんどん汚している。すると全体の構図と、登場人物の微妙な心の細部が見えてくる。ふっと通り過ぎてしまう原文の一言を光ナビが見事に解説する。ああ、あの時代、人々はこのように生きていたのだなあ。本質は今と少しも変わらない。恋も政治も人間も。「葵」の六条の御息所は生霊か?それぞれの心の幻影かも知れない。ここはとても深い。オカルト映画の「わぁ、お化け」じゃないんだよ。

映画「赤目四十八瀧心中未遂」

2008-11-21 10:19:34 | 映画・舞台

なぜか次の展開が気になる作品。2時間30分の長さも気にならなかった。主人公の生島と綾(綾の兄も)が描けていて、周りは変わった人達という感じだ(奇抜な行為だけで人物の背景が描けていない)。黒澤明の「七人の侍」、「とですかでん」は実に登場人物の背景がよく描けていた。原作は読んでいないが車谷さんの世界観はよくでていると思う。赤目四十八瀧も美しい。近鉄八木駅で別れる。三七年間ここから仕事場に通った駅だ。とにかく、ここ数年の邦画でトップクラスの作品である事は間違いない。

源氏物語 第一巻・大塚ひかり著(3)

2008-11-18 20:29:52 | 読書
何回読んでも、素晴らし描写だ。「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしたの。伏せ籠(ふせご)の中に閉じこめておいたのに」。若紫の巻、紫の上の登場。原文では「雀の子を犬君が逃がしつる。伏籠のうちに籠めたりつるものを」。参照はすごいホームページです。この巻では、13帖明石の入道も登場します。この構成力は世界文学の最高峰と言えると思います。

源氏物語 第一巻・大塚ひかり著(2)

2008-11-17 16:30:00 | 読書
「夕顔」を読み終えた。この訳はすらすら読める。ナビゲーションも適切だ。登場人物の心理描写も巧みだ。要約版では省かれていた細部がとてもよい。この本を読みながら、「輝く日の宮」・丸谷才一著を思い出した。「輝く日の宮」の巻をめぐる小説で、とても面白くて、二度読んだ。主人公の安佐子と大塚ひかりさんが重なった。

源氏物語 第一巻・大塚ひかり著(1)

2008-11-13 20:14:55 | 読書
「源氏物語」は有名だが、読み切った人は少ないと言われている。私もその一人。今度は読み切ろうと自前で買った。セブンアンドワイ(セブンイレブンで受け取ります。手数料0。1500円以下はこっち。以上はアマゾン使い分けています)。源氏物語・大塚ひかり全訳である。初めは快調だ。いつもだけど。斬新な新訳だ。ひかりナビはとても分かりやすい。御息所(みやすどころ)が帝がお休みになる所の意味だと初めて知った。梗概もグー。二巻が一二月、三巻以降隔月刊行。焦らずに読もう。

NITENDO DS で読む「夏目漱石」

2008-11-10 20:02:29 | 読書
長い間読みかけだった「行人」を読んだ。「それから」「門」「明暗」と読破出来たのはDSのおかげである。他者と自己との葛藤と不義。「門」では自分が門の中に入れない人間である事を悟る。「行人」でも、狂ってしまうか、死ぬか、宗教に入るかしか選択肢がないと書く。そして自分は神だと語らせる。その問いかけは今でも十分に新しい。そして答えはない。いやその問いさえ、今は失われている。

四国八十八ヶ所感情巡礼・車谷 長吉 (著)

2008-11-07 16:14:02 | 読書
文學界で毎号楽しみだった。今回は単行本として読んだ。旅の先々での人物観察が鋭い。ほとんど歩き通した作者に感服する。巡礼は死ぬためだという。私は彼の嫌うバスでのお参り。地獄に堕ちる。まだ、旅の半ばだ。その様子は四国遍路に書いていますのでよろしく。