創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

『乳と卵』・川上未映子著

2017-07-23 09:33:09 | 読書
一回読んでも何が書いてあるかようわからんかった。
二回目は意外とすらすら読めた。
これ男には絶対わからへん小説やと思う。
特に卵(らん)は何にもわからへん。
ひと月に一回の生理も想像でけへん。
せやけど、それが妊娠→出産と続くとなると、うーんと考え込んでしまう。
乳もようあんな重たいもんくっつけて大変やなあと思う程度や。
男と女はちがうと思い知らされた。
せやけど年とって卵も精子もなくなったら同じか……。
いや、ちゃうなあ。
人間って何なんや。
なんぼ年いっても分からへん。
今日七十一才の誕生日。

『ミミズクは黄昏に飛びたつ』 村上春樹(語る)・川上未映子(訊く)

2017-07-11 09:13:44 | 読書
共感するところが多々あった。
勿論世界の村上氏と町の作家とは比べるべきものはないだろうが、物語を書くという点でささやかな共通点はある。
私もテーマ主義ではない。
私小説的なものは書かない。
(書けない。読むのはそれほど嫌いではない。素晴らしい作品も沢山あると思う)
物語はどこから来るのだろう。
多分私という人間の全てからやってくるのだと思う。
それがあるきっかけで動き出す。
それは村上さんも同じだ。
学生時代に書いた私の最初の小説は、『雨の風景』という物語だった。
雨をぼんやりと眺めていた時、私の中で二人の19才の女性の会話が聞こえ始めた。まざまざと、目の前にいるように。

「えらい雨やわ。瓦の上を波打って流れてる。うわぁ、樋が溢れそうや。ねぇ、真理ちゃん」
夢からまだ覚めぬ物憂い頭を振って、真理子は、小さく寝返りをうった。
「あっ、近鉄の前行く人の傘、あっ、あのおっさんの傘、逆さまになったよ。風もきついねんねぇ。えらいあわててるわあのおっさん」
傘が並び、その先の鉄に雨滴がつたい、埃っぽい通路に、雫となって点々と落ちるのだろう。真理子はその風景をぼんやりと考えていた。

自費出版した本は手元に残る一冊だけになった。
このささやかな物語も、やがて消えてしまう運命にあるのだろう。
今まで気づかなかったが、『雨の風景』の後記に昭和44年11月25日とある。
その1年後、三島由紀夫が市ヶ谷で散った。
彼の遺作となった『豊饒の海』も壮大な物語だった。


今日の一句

2017-07-09 10:27:26 | 俳句
今日の一句
撫子は小首傾げる妣の笑顔
撫子は亡き母の好きな花でした。
家紋が撫子だったせいもあります。
また、母は小首を傾げて相手を見る癖がありました。
土に植えた撫子も小首を傾げて私を見ているようです。

『眠り』・村上春樹著

2017-07-07 17:12:17 | 読書
『ミミズクは黄昏に飛びたつ』をゆっくりと読んでいます。
その中で、
こんな女の人、今まで読んだことがない
と、ポイントが大きくなって『眠り』という小説が話題に上がります。
短篇集『TVピープル』に収録されているという。
私にも「眠っている間に」という小説があります。
小説1に入っています。
ひょっとしたら『眠り』に触発されて書いたのかもしれない。
『TVピープル』の埃を払いながら読み始めました。
「眠っている間に」とまるっきり違ったので一安心。
町の作家でもオリジナリティーは大事です。
『眠り』の内容は全く忘れてました。
28年前の作品だから当然かもしれません。
改めて村上氏の凄さを感じました。
これは自分にとってとてつもなく怖い小説です。
私は金縛りによくあいます。
悪夢もよく見ます。
『眠り』は恐怖です。
あっちへ行ってしまうと帰ってこれない恐怖があります。
「眠り」は異界への入り口のような気がします。
「死」とよく似ています。
村上氏は「眠り」が失われた世界を提示します。
これも怖い。
金縛りの私の足に水差しで水をかける老人。
よくこんなことを思いつくなあ。
目を開けた時、彼女から「眠り」が失われていた。
日常が動き始めると、
彼女は思います。
「眠りなんて必要なかったんだ」
全てがうまくいっている。
「眠っている分、自分は充実した時間を持つことが出来る」
だが……。

今日の一句

2017-07-06 10:47:50 | 俳句
今日の一句
宮参り嬰児泣かずに祝詞聞く
三女の長男(長女がいます)の宮参りに春日大社に参詣しました。
10人以上の嬰児が集まっているのに、控室から神殿まで泣き声が一つもしない。
30分以上このくらいの子供が泣かないのはとても不思議でした。
写真館では泣きっぱなしだったのに。
神秘な力を嬰児は感じているのかもしれません。

今日の一句

2017-07-01 17:26:15 | 俳句
今日の一句
讃岐冨士七山ありて青嵐
四国に行きました。
高松道を走っていると、次々に富士山みたいな山が現れます。
僕「あれ讃岐冨士か?」
妻「ちゃう」
僕「あれ讃岐冨士か?」
妻「ちゃう」
僕「あれ讃岐冨士か?」
妻「そう、裾野がきれているの」
あとで調べると、よく似たのが七つもあるのだそうです。
でも、一番美しいのはよく分かります。
べっぴんさんです。
飯野山(いいのやま)。
いいの。