創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

TSUTAYA TV

2014-03-31 18:02:01 | 映画・舞台
「TSUTAYA TV」ってご存知ですか? 映画やテレビドラマの動画配信サイトです。昔、DVDの宅配「TSUTAYA discus」に入ってましたが、やめました。その理由は、今はどうか知りませんが、①新作がなかなか借りることが出来ない。②観るものがなくなる。③月2000円弱の出費。です。それにくらべると、「TSUTAYA TV」は一本から借りることが出来(月額もあります)、新作云々もなさそうです。また、ipadでも観られたらと質問しました。マルチスクリーンというマークがついていればOKとの回答がサポートからありました。後は観たい作品が揃っているかどうかですね。ざっと見たところ、結構揃っていそうです。
とりあえず一本借りてみようと思いました。マルチスクリーンというマークは作品ごとについています。まずは入会。PCとiPadにアプリをダウンロード。どちらもアイコンが出来ます。
PCで前から観たいと思っていた「トランス」を検索。マルチスクリーンというマークもあります。525円か。明日からは8%でもう少し↑か。視聴期間は48時間か。見る日時を決めてからダウンロードした方がいいですね。
簡単にダウンロードできました。アイコンクリック(または、タップ)。PCはマイページからiPadは即始まりました(一本しかないからか?)。画像、動きともに問題は全くありません(eo光の1GとVAIO)。テレビでも視聴可能なようです。
これはレンタル映像の理想型ですね。
さて、「トランス」の感想はまた。

「一茶とその人生」・渡邊弘著

2014-03-26 10:08:03 | 創作日記
こころをよむ・NHKシリーズのラジオテキストを購入しました。放送は2014年三月に終了しますが、散歩の友で聞いています。テキストの最初のページに「一茶の俳句の特徴は、芭蕉の「道」、蕪村の「芸」に対して、「生」と表現されることがあります」と書かれています。「生」とは「生命観」とも言えると、作者は繰り返し言及されています。それは、子供であったり、蚊や蚤であったり、草木であったりします。私は、「生活」の「生」もあるのではないかと思います。一茶は生活の為に俳句を作らなければならなかった。生活の糧としての俳句。あちこち渡り歩き、俳句を切り売りする商人でもあった。一茶は超然とした芸術家ではなかった。求道者でもなかった。そこに、厳しい現実が彼を襲う。派閥と戦い、肉親と戦い、子を失い、妻を失い、運命に翻弄される一人の生活者。一茶の俳句の背景には、そんな人間一茶がいつもいるように思います。
一茶が長女「さと」と迎えた正月。初めての家族の喜び。

這へ笑へ 二つになるぞ 今朝からは

「さと」四百日で逝く。一茶親しく見ること百七十五日。半分以上仕事(俳句)をしていたのでしょうね。

露の世は露の世ながらさりながら

私の俳句修行はここ


一コマ小説

2014-03-24 16:09:12 | 創作日記
○ある夜
午前三時頃に目が覚めた。尿意があったが、邪魔くさいのでそのまま寝たら、朝方まで、トイレを探している夢をみた。
○仕事の夢
定年後七年にもなるのに、まだ、時々仕事の夢を見る。その事を妻に話すと、「他に考える事がないからよ」と、言われた。
○犬と猫についての考察
近所で犬が鳴いている。犬はどうして[ワン]としか鳴けないのだろう。猫はどうして「にゃン]としか鳴けないのだろう。たまには、「にゃン」と鳴く犬も「ワン」と鳴く猫もいてもよさそうなのだが。

連載小説トリップ 12回 音の旅 「柳亭(夜)」

2014-03-21 08:56:24 | 創作日記
連載小説トリップ 12回 音の旅 「柳亭(夜)」

 『ジャンヌの肖像』=モディリアーニ

ー作者が誰なのか? モデルは誰なのか? いつ描かれたのか? 全ての分析は無意味に。ただ対峙するだけで、女はあなたに近づいてくるー

 田中さんと僕は、柳亭のカウンター席に腰を下ろした。僕たちを車で送ってくれたウェイターは、「お呼び頂いたら、お迎えに参ります」と言って、ホテルに帰った。
 柳亭は、朝はコーヒー、夜はコーヒーが酒になるだけのシンプルな店だった。アルコールの種類もすくなかった。酒は二種類(熱燗、冷酒)、ウィスキー、焼酎、ビールはそれぞれ一種類だった。
 カウンターは直線的で余分なものがなくすっきりしていた。それに清潔だった。多分人差し指でどこを擦っても埃一つないだろう。僕の部屋みたいに。客は僕たちの他に四人。女二人は僕から二つ席を空けて、男二人は、また、二つ席を空けて腰かけていた。誰もが静かに酒を飲んでいた。会話もなかった。知り合いではないのかもしれない。十席のカウンターでは、最良の配置かもしれない。客が増えれば一席詰める。十席埋まれば誰かが帰る。そんなルールを僕は空想した。
「ホテルに泊まっている四人は観光客です。観光は二日以内ですから、明日帰りますよ」
 田中さんが言った。食堂で見かけた人々だろう。
 マスターは、注文を聞いても頷くだけだった。話しているのは、僕と田中さんだけだった。だから、二人はとても小さな声で喋った。
「町の住民が何人いるのか、私は知りません。だけど、元の町民は誰もいません。みんな、原発が爆発した後にやって来た人間ばかりです」
 僕は、彼らが何故この町にやって来たのか考えた。放射能で汚染された帰還困難な町に。理由はある筈だ。ただ、みんな同じだとは思わない。
「国との約束が一つあるのですよ」
「国との?」
 僕は聞き返した。少なくとも僕は、約束をした覚えがない。父が勝手にしたのだろうか。
田中「不思議ですね。ご存知ないとは。密入国者が一人増えた。アメデオと君と」
僕「父がしたのかもしれません」
田中「お父さんが……。確かに、密入国者はホテルに泊まれませんね」
僕「約束って何ですか?」
田中「子供を作らないということですよ。子孫は作らない。百年もしないうちにこの町には誰もいなくなる」
 マスターがレコードの針を落とすのが見えた。ホテルのロビーで聞いた曲だった。
「シューマンのトロイメライ」
 田中さんは、水割りを一口飲んだ。
「ご存知ですか?」
「知りません」
 僕は素っ気なく答えた。
「素晴らしいピアノ曲でしょう」
「ええ」
 それには全く異存はなかった。僕はピアノを弾いていた女性を思い浮かべた。何故か切ない曲に聞こえた。これは子守歌なのだ。多分的外れだろう。だが、そんな気がした。
「アメデオ君が燈台の灯を入れる頃だよ」
 田中さんは、ぽつりと言った。

小川洋子の陶酔短篇箱・小川洋子[編著]8

2014-03-20 06:37:17 | 読書
読み終えた。読後感はいつもと違う。このアンソロジーは一人の作家の意識の棲家を覗くようでもある。もう一度目次を見直す。
「河童玉」・川上弘美、「遊動円木」・葛西善蔵、「外科室」・泉鏡花、「愛撫」・梶井基次郎、「牧神の春」・中井英夫、「逢びき」・木山捷平、「雨の中で最初に濡れる」・魚住陽子、「鯉」・井伏鱒二、「いりみだれた散歩」・武田泰淳、「雀」・色川武大、「犯された兎」・平岡篤頼、「流山寺」・小池真理子、「五人の男」・庄野潤三、「空想」・武者小路実篤、「行方」・日和聡子、「ラブンツェル未遂事件」・岸本佐知子。どれも味わい深い短編小説である。眺めているだけで一つ一つの小説世界が蘇ってくる。独自の世界を持った作家の短編が、珠玉の輪のように繋がっている。繋いでのは小川洋子さんの感性である。素晴らしい作品群をありがとう。さあ、私たちも思いきり想像の輪を広げよう。


小川洋子の陶酔短篇箱・小川洋子[編著]6

2014-03-18 09:45:01 | 読書
「流山寺」・小池真理子
小池さんの小説を初めて読んだ。怖い小説らしい。アンソロジーで楽しいのは、自分からは多分読まないだろう作家も読めることである。この小説も怖い。短篇だから読めたと思う。結構楽しめた。幽霊になってもマイホームに帰ってくる夫が悲しい。
解説エッセイは誰にでも経験のあることですね。私は、今でもあります。弟は、間違って燻っている方に手を入れてやけどをしました。私は、床の一点を睨んで笑いをこらえました。
焼香の長い列。やっと、焼香の番になった少女を、遺影の男(初めて見る顔である)が、「定められた手順を間違えないかどうか、見張っていた」。小川さんらしい感性ですね。「葬られようとしているのはお前の方なのだ」。少女期の死に対する恐怖が伝わってきます。

小川洋子の陶酔短篇箱・小川洋子[編著]5

2014-03-17 10:03:10 | 読書
「雀」・色川武大
素晴らしい短篇である。最後の数行は、唸った。役に立たない男。世間にも家庭にも無用の父親。この描写が秀逸である。多分実体験だろう。戦時中、無職の父親は、青年団長とか町会長とかいう役に狩り出される。張り切って彼は、町民名簿みたいなものを作る。某という所帯が話題になると、そのページをあけて、全てのデータを一瞥する。
「見ろ、ここにちゃんと書いてある」
というが、それだけのことである。
太宰治も、青年団長とか町会長になって張り切っていたらしい。彼らの心の底には、戦争に行っていないという引け目と、自分も戦争(世間)に参加したいという気持が複雑に絡んでいたのだろう。
さて、そんな父親をもつ兄弟だが、兄(私)は電車の妄想にとらわれ、弟は、電車のマニアになっている。父親の血が兄弟に潜んでいる。
弟が、死んだ父親が「雀の戸籍」を作っていると言う。初めて、「雀」が出てきて、小説は閉じられる。
解説エッセイも面白い。「何の役にも立たないことをするのが、こんなにも困難とは意外だった」。そんなに困難なんかなあ。僕は小説を書いたり、ブログを書いたり、「何の役にも立たないこと」ばっかりしていますよ。

「11/22/63」・スティーヴン・キング

2014-03-16 14:57:47 | 読書
「イチイチ・ニイニイ・ロクサン」と読みます。1Q84みたいですね。1963年11月22日(金)。ケネディ大統領が暗殺された日です。主人公は1958年にタイムスリップする。二つポイントがあります。一つは暗殺の日まで、5年と数日あると言うこと。もう一つは、現代に帰り、もう一度過去に行くと過去はリセットされることです。うーん、難しいなあ。頭の悪い私は最後まで混乱してました。でも、読み終えました。
慣れないせいか翻訳は読みにくい。もう少し意訳を使って読みやすくして欲しい。直訳だと思う。句点の入れ方もよくないと思う。それにアメリカ人って、あんなにしょっちゅうびろうな言葉を使うのだろうか? 登場人物も多いし。枕にでもなりそうな二段組みは年寄りに辛い。
それでも、読むのは、やはり抜群に面白いからです。
50年前のあの日、僕は三宮のガード下にいました。珍しく家の商売を手伝ってました。17才。唐突な感想です。「私たちは生きてきた分の自分史を背負っている」。



「青春の殺人者」〈1976年〉 2

2014-03-12 06:38:24 | 映画・舞台
その後、連合赤軍事件を描いた作品が二つ作られた。
立松和平の小説「光の雨」をベースにした「光の雨」・高橋伴明監督(2001年公開)と「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」・若松孝二監督(2008年公開)である。
どちらも、秀作である。しかし、かえって長谷川和彦監督の「連合赤軍」が観たいという気持が募った。しかし、その噂さえ聞こえてこなかった。今は、「連合赤軍」という映画そのものの制作が可能かどうかを考えている。人は年をとるし、事件は風化する。しかも、観客は流動し続ける。今の若い人にアピールするだろうか? また、私たちの年代の郷愁をよぶ事件だろうか? やはり、あの時にしか作れない作品であったように思う。「光の雨」は現代から観た作品になっていたし、若松孝二作品は、彼だから出来た力業だった。やはり、「連合赤軍」は、長谷川和彦という名前をしても無理な時代なんだと思う。
ただ、監督の構想の中には「超能力」がある。講演の時に何回か出てきた。その時は、社会派ドラマに合わないなあと思っていたが、監督は真剣だった。「青春の殺人者」、「太陽を盗んだ男」の二作に共通するのは疾走感である。青春の疾走感と言ってもいい。「超能力」が「連合赤軍」を蘇らせるかもしれない。シナリオは完成していると思う。もうしばらく待ってみようか。しかし、監督も私も、残された時間はそんなに多くない。訃報が突然新聞に出るなんて嫌ですよ。
私には、「超能力」から連想する作品が一つある。半村良の傑作「岬一郎の抵抗」である。夢の夢だが、この原作を監督が撮ると思うだけで胸が高鳴る。