感想の断片１．―何故自分はここにいるのだろう―
いつも私は思う。
物心ついてからずっと考え続けてきた。
小説を読んでまた考え込んでしまった。
２．彼らは何故逃げないのだろう。
３．物語と言う言葉はとても便利な言葉である。
「これはこういう物語なんだよ」としたり顔に言う。
物語のための物語といったら言い過ぎだろうか。
４．読了した後、ふっと頭をよぎったのは、
「生まれて来なかった子供達」というフレーズ。
生まれてしまった子供たちである私達は、この物語をどう読むか？
５．私達はある意味両親のコピーである。
父親が黒なら母は白。灰色に黒が多く出るか白が多く出るかの違い。
無から有は生じない。
６．主な登場人物は三人。それ以外は、ストーリーを運ぶためのエキストラ。
７．
よくこなれた翻訳である。推理小説やＳＦ小説を楽しむように読むことも出来る。
しかし、そこに生と死の問題が深く関わっていると気づくと、
底のない井戸を覗くような暗澹とした気持になる。