創作日記&作品集

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歌集『滑走路』・萩原慎一郎著

2018-09-22 15:59:12 | 読書
人はいつも生と死の境界線を漂っているのではないか。
歌集『滑走路』・萩原慎一郎著を読み終えた時、不意に浮かんだ言葉です。
「死」は、病死、事故死、老衰、餓死、戦死そして自死。
この六つに殆どが入ってしまう。
「生」は多様なのに、死は画一的です。
心の襞を歌う31文字は切なく悲しい。
575で否定し77で立ち上がる。
つまらない仕事を否定して、
でも、誰かがやらなければならないと起き上がる。
片思いの歌がある。
怒りの歌がある。
歌は愛であり、飛ぶための手段。
何処へ?
何回か出てくる牛丼。
しかし、その旨さを歌うことはない。
歌は私達の日常と重なる。
誰もが、生と死の境界線を漂っている。
私が好きなのは一番最初の歌
メモ帳
いろいろと書いてあるのだ 看護師のあなたの腕はメモ帳なのだ
客観的な「生」が息づいている。
肉感的でもある。
君はもっと見ていたいのだろう。
何が書いてあるのか。
腕のメモ帳には仕事が一杯書いてあるのだ。