1冊目は松原惇子さんの「老後ひとりぼっち」(SB新書)。
帯には「結婚してても、子アリでも、最後はひとり。4割が『独居老人』の時代に!!」という衝撃的な言葉が並ぶ。いや、本当にそうなのですけれど。
まあ、私が老人と言われる年齢まで生き長ら得ることが出来るかどうかは神のみぞ知るだけれど、テンポよく読みやすく、頁を繰る手が止まらずにあっという間に読破した。
裏表紙には「ひとりぼっち時代の乗り切り方」とある。松原さんは老後ひとりぼっちといえども、寂しいひとりぼっちもいれば、幸せなひとりぼっちもいると言う。だからこそ、悲惨な老後ひとりぼっちにならないために、として最終章で「今から押さえておくべき20のこと」を挙げておられる。どれもこれも頷ける内容だ。
全編を通じて幸せなひとりぼっちになろう、という愛に満ちているように感じた。保証人なしでは入院・手術も出来ない日本という国を憂い、保証人がいないひとりぼっちの人は死ねというのか?!と問いかけながら、ひとりぼっち時代の問題点、乗り切り方を指南する。
おひとりさま女性を応援する団体を立ち上げて20年の松原さん。30年近く前に「クロワッサン症候群」などを書いておられた。相変わらず歯切れの良い元気な文章を書かれているが、ふと略歴を見れば47年生まれ。もうすぐ70歳だが、現役バリバリだから古希などという呼称はとても失礼だな、と思わずにはいられなかった。
2冊目は山岡淳一郎さんの「長生きしても報われない社会―在宅医療・介護の現実」(ちくま新書)。
3年前に義母を、先日父を見送ったこともあり、なんとなく惹かれるようにして手に取った。帯には「末期がん、認知症、寝たきり・・・。病院以外に行先はあるのか?大往生どころか、普通に死ねない。」とある。これまたなんと暗いこと・・・。
山岡さんは59年生まれで、80歳を超えたご両親は地方都市でお元気で暮らしておられるという。それでもご自身も50代後半になり、色々思うこともあるようだ。
健康長寿は何より素晴らしいことだ。けれど、平均寿命と健康寿命の間に歴然とタイムラグがあるのは厳しい現実だ。
内表紙には「長い療養が必要な病気にかかったとして、安静に過ごせる居場所はあるだろうか。『病院から地域へ』という掛け声のもと、地域包括ケアシステム、在宅医療が推奨されているが、その内実は患者をないがしろにするものが多い。そういった環境の中で、私たちは安心して長生きし、死を迎えることが出来るのだろうか」とある。その重い問いかけの中、身近な現場から地域、自治体、国へと枠を広げながら日本の医療の問題点とそこに残された可能性を探った本書は、読みながらしんどくなって何度も深呼吸をしながら読み進めた。
3冊目は小林聡美さんの「読まされ図書室」(宝島社文庫)。
帯には「ときに奮闘、ときに思案 14人の推薦本をめぐる小林聡美の読書日記 待望の文庫化 読書の愉しみが広がる1冊」とあり、迷わず手に取った。
そう、これは挿絵を描かれたさかざきちはるさんの言葉をお借りすれば、「小林さんが色々な方から薦められた本を読み、推薦者から投げかけられた本というボールを受け止めて、鮮やかに返球した小林さんのエッセイ集」である。
つまり、ご本人によるお薦め作品を紹介するものではなく、「職業いろいろ、老若男女から他人勝手に推薦された本から生まれたエッセイ集である。ときにそれは他愛に満ちた本、ときに偏愛に満ちた本、挑戦に満ちた本―。送り込まれる数々の難球を打ち返してきた小林さんによる汗と涙の記録でもあるのです・・・」と冒頭にご本人が書いておられるが、こんな機会がなければ一生手に取らなかっただろう本が沢山。
14人14色の個性豊かな様々な本たち。推薦人も豪華絢爛のラインナップ。井上陽水さん、群ようこさん、長塚圭史さん、酒井順子さんなどなど。恥ずかしながら告白すれば、この14冊のうち、私が読んだことのあるのは僅か2冊・・・であった。シュン。
そのうちの1冊、よしもとばななさんが推薦された佐野洋子さんの「死ぬ気まんまん」。小林さんは「元気にのん気に死ぬ方法」と書いておられるが、佐野さんが転移性乳がんを患っておられたこともあり、私自身とても興味深く読んだのを思い出した。
そしてよしもとさんと小林さんの「本から始まる生きる気まんまん!な話」と題されたスペシャル対談、これもまた面白くあっという間に読んでしまった。1冊なのになんだか14冊読んだかのように心豊かになった気分。
小林さんの緩急極めたエッセイ力に脱帽である。
帯には「結婚してても、子アリでも、最後はひとり。4割が『独居老人』の時代に!!」という衝撃的な言葉が並ぶ。いや、本当にそうなのですけれど。
まあ、私が老人と言われる年齢まで生き長ら得ることが出来るかどうかは神のみぞ知るだけれど、テンポよく読みやすく、頁を繰る手が止まらずにあっという間に読破した。
裏表紙には「ひとりぼっち時代の乗り切り方」とある。松原さんは老後ひとりぼっちといえども、寂しいひとりぼっちもいれば、幸せなひとりぼっちもいると言う。だからこそ、悲惨な老後ひとりぼっちにならないために、として最終章で「今から押さえておくべき20のこと」を挙げておられる。どれもこれも頷ける内容だ。
全編を通じて幸せなひとりぼっちになろう、という愛に満ちているように感じた。保証人なしでは入院・手術も出来ない日本という国を憂い、保証人がいないひとりぼっちの人は死ねというのか?!と問いかけながら、ひとりぼっち時代の問題点、乗り切り方を指南する。
おひとりさま女性を応援する団体を立ち上げて20年の松原さん。30年近く前に「クロワッサン症候群」などを書いておられた。相変わらず歯切れの良い元気な文章を書かれているが、ふと略歴を見れば47年生まれ。もうすぐ70歳だが、現役バリバリだから古希などという呼称はとても失礼だな、と思わずにはいられなかった。
2冊目は山岡淳一郎さんの「長生きしても報われない社会―在宅医療・介護の現実」(ちくま新書)。
3年前に義母を、先日父を見送ったこともあり、なんとなく惹かれるようにして手に取った。帯には「末期がん、認知症、寝たきり・・・。病院以外に行先はあるのか?大往生どころか、普通に死ねない。」とある。これまたなんと暗いこと・・・。
山岡さんは59年生まれで、80歳を超えたご両親は地方都市でお元気で暮らしておられるという。それでもご自身も50代後半になり、色々思うこともあるようだ。
健康長寿は何より素晴らしいことだ。けれど、平均寿命と健康寿命の間に歴然とタイムラグがあるのは厳しい現実だ。
内表紙には「長い療養が必要な病気にかかったとして、安静に過ごせる居場所はあるだろうか。『病院から地域へ』という掛け声のもと、地域包括ケアシステム、在宅医療が推奨されているが、その内実は患者をないがしろにするものが多い。そういった環境の中で、私たちは安心して長生きし、死を迎えることが出来るのだろうか」とある。その重い問いかけの中、身近な現場から地域、自治体、国へと枠を広げながら日本の医療の問題点とそこに残された可能性を探った本書は、読みながらしんどくなって何度も深呼吸をしながら読み進めた。
3冊目は小林聡美さんの「読まされ図書室」(宝島社文庫)。
帯には「ときに奮闘、ときに思案 14人の推薦本をめぐる小林聡美の読書日記 待望の文庫化 読書の愉しみが広がる1冊」とあり、迷わず手に取った。
そう、これは挿絵を描かれたさかざきちはるさんの言葉をお借りすれば、「小林さんが色々な方から薦められた本を読み、推薦者から投げかけられた本というボールを受け止めて、鮮やかに返球した小林さんのエッセイ集」である。
つまり、ご本人によるお薦め作品を紹介するものではなく、「職業いろいろ、老若男女から他人勝手に推薦された本から生まれたエッセイ集である。ときにそれは他愛に満ちた本、ときに偏愛に満ちた本、挑戦に満ちた本―。送り込まれる数々の難球を打ち返してきた小林さんによる汗と涙の記録でもあるのです・・・」と冒頭にご本人が書いておられるが、こんな機会がなければ一生手に取らなかっただろう本が沢山。
14人14色の個性豊かな様々な本たち。推薦人も豪華絢爛のラインナップ。井上陽水さん、群ようこさん、長塚圭史さん、酒井順子さんなどなど。恥ずかしながら告白すれば、この14冊のうち、私が読んだことのあるのは僅か2冊・・・であった。シュン。
そのうちの1冊、よしもとばななさんが推薦された佐野洋子さんの「死ぬ気まんまん」。小林さんは「元気にのん気に死ぬ方法」と書いておられるが、佐野さんが転移性乳がんを患っておられたこともあり、私自身とても興味深く読んだのを思い出した。
そしてよしもとさんと小林さんの「本から始まる生きる気まんまん!な話」と題されたスペシャル対談、これもまた面白くあっという間に読んでしまった。1冊なのになんだか14冊読んだかのように心豊かになった気分。
小林さんの緩急極めたエッセイ力に脱帽である。