ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2017.1.4 採血後診察、カドサイラ(T-DM1) 32回目(減量22回目)これで打ち切り

2017-01-04 20:04:06 | 治療日記
 昨夜は親子3人で最後の夕食を囲んだ。その後、2人に最寄り駅まで送ってもらって病院最寄り駅に移動、前泊した。

 今日は御用始めである。再発以来、仕事始めと通院始めが重なったのは何回目だろう。今朝もいいお天気。穏やかな三が日が終わり、3月下旬並みという暖かさも今日まで。明日からは冷え込むという。夫は今日まで休暇なので、モーニングコールはなし。1人で起きて、熱めの浴槽足湯を済ませる。有機野菜たっぷりの朝食を摂り、病院へ向かった。

 今日は2年前に旅立ったNさんの3回忌だ。これからもずっと仕事始めの日、彼女のことを思い出すのだな、と思う。そして昨日はKさんの訃報にも接した。こうして9年近く再発治療を続けている私は、これまでいったい何人のお友達を見送ったのだろう。細く長くしぶとく、とスローガンを掲げて自分を鼓舞してはいるが、いつどうなるかわからない、という気持ちはいつもどこかにある。

 さて、お正月休み明け、混雑を覚悟して早めに病院に到着したものの、自動再来受付機では殆ど待つことなくちょっと拍子抜け。採血受付でも並ばず、スムーズ。電光掲示板を見ると、今、私が取った整理券番号が既に「室内へどうぞ」になっている。荷物を整理しながら、そのまま採血室へ入る。今日は2本の採取。初めての男性検査技師さん。まあまあの出だしだ。

 止血しながら腫瘍内科受付に。月初めの保険証チェックを終え、定位置の待合椅子に先客がいたので、少し後方に腰かけ、読書を開始。

 今日は文庫本を2冊読んだ。1冊目は阿刀田高さん、あさのあつこさん、西加奈子さんら10名の人気作家によるアンソロジー「眠れなくなる夢十夜」(新潮文庫)。
 漱石の没後100年、生誕150年ということで、「こんな夢を見た。」で始まる10篇はどれも面白かったけれど、あれれ、またやってしまった。

 奥付に「本書は2009年6月に新潮文庫より刊行されたものを加筆、修正したものです。」とあった。こういう間抜けな失敗をよくするので、敢えて新刊だけを買うようにしているのだけれど、さすがに6年半後に同じ本が別の装丁で新刊として出るなんて、トホホである。しかも、最初の一話で気づかなかった私はますますトホホである。加筆修正とあったけれど、帰宅して本棚を確認したら、全く同じ10名の全く同じお話だった。

 1時間半も待たずに、“中待合へどうぞ”の番号が電子掲示板に出たので、慌てて血圧測定。116-75、脈拍は78でちょっと高め。
 中待合に入って、10分ほどして先生がお顔を出された。大荷物を置いて、「おはようございます。」の後に「今年も・・・」と、新年のご挨拶をしようと思った矢先に先生の方から、「今年もどうぞよろしくお願いいします。」と言われてしまった。トホホ、こちらこそ、である。

 「さて、いかがでしたか?」と問われ、投与後3日間ドンペリドンを飲んだこと、年末には京都に出向き、年越しで温泉に出かけたこともご報告。寒さと疲労で胸痛や頭痛があったりしたが、おかげさまで概ね元気だったことをお話する。

 「次回からの薬を決めなくてはならなかったですね」と言われ、「看護師さんたちにも様子を伺ったところ、ハラヴェンは(白血球が下がって)なかなかスケジュール通り治療出来る方はいない、ということでしたので、最初はジェムザールで行きたいですが、いかがでしょうか。」と訊くと、「いいと思いますよ」と。

 2週間後の造影CTの後、3週間後からハーセプチンとジェムザールのレジメン開始となる。
 ジェムザールも人によっては白血球や血小板が下がるので、減量して行うこともありとのこと。いずれにせよ、いったん開始すれば効果測定のために3か月程度は続けることになるので、年度末年度初めの繁忙期は、どちらかといえばマイルドな副作用といわれているジェムザールで乗り切りたいという希望だ。

 「3週間後がランマーク注射のタイミングですが、その時に新しい薬剤ジェムザールを投与するので、慎重に様子見するということで、ランマークは、4週間後のジェムザール単独(ハーセプチンは3週間に1度)投与の際に行った方がよいでしょう。」とのこと。確かに今後はそこが起点となって6週間毎とに注射することになるから、治療時間も2種類の点滴の時より短いし、負担も少ない。納得だ。診察室での検温は6度7分。

 それにしても、カドサイラ(T-DM1)は今日で最後の32回目、ほぼ2年の間、副作用もそれほどきつくなく、よく頑張って奏功してくれたと思う。これまでの9年にわたる再発治療の中でハーセプチン+ナベルビンの1年9か月が最長だったから、それを越したではないか。

 前回同様2種類の漢方とデノタスチュアブルを3週間分、ロキソニンも通常通り、吐き気止めドンペリドンは3日分の残りがあるので、内服薬のみ4種類の処方。ご挨拶をして診察室を後にした。

 化学療法室へ移動。待ち時間はいつものように夫やお友達に報告LINEやメールを打つ。ほどなくして、Okさんから内側のリクライニング椅子に案内される。針刺しに来てくださったのは、いつもお名前のとおり静かに衝撃なく刺針、抜針を行ってくださるSさん。幸先の良い治療始めだ。

 混んでいるとみえて、座ったものの、なかなか薬が届かない。30分近く待って一番のニューフェイスのMさんが「薬が届きました。」と見える。点滴をセットして頂き投与開始。すっかり慣れた感じですね、と言うと「いえ、一杯一杯です。」とのこと。「温泉にいらしたのですね。」と仰る。先生がそんなこともしっかりカルテに書き込んでおられたのだ。

 「次回からはハーセプチンとジェムザールになりますが、ハーセプチンは初回90分かけて行います。ジェムザールは30分くらいなので2時間ちょっとですね」と説明がある。ハーセプチンは初回発熱の副作用があるが、前回も大丈夫だったし、ロキソニンも毎朝飲んでいるので、心配はなさそう。

 採血結果では、マーカーの測定はしておらず、特に何もコメントがなかったので、化学療法室で念のためプリントアウトを頂くことにした。結果白血球は4000台あり、好中球はLマークだったが、リンパ球、好塩基球、AST(GOT)、LDHはHマーク。

 生理食塩水で満たした後、最後のカドサイラ(T-DM1)を開始。
 2冊目は道尾秀介さんの「貘の檻」(新潮文庫)。“「向日葵の咲かない夏」超えの衝撃!この悪夢から抜け出せるか。史上最強&最驚の長編ミステリ”という帯のとおり。結構眠かったのに面白さが勝って、頁を繰る手が追い付かない感じ。

 ところが、これまた、あれれ、既読感が、と思うと、ビンゴ。「夢十夜」で出てきた「盲蛾」がそのまま第1部、第1章になっていた。初“夢”繋がりの新春読書である。その後順調に点滴も読書が進み、1時間半弱で無事終了した。

 終了時の血圧測定と抜針はOkさん。116-68、脈拍は63。やはりちょっと高めな感じ。抜く時もあまり衝撃がなく、治療始めは針のラッキーデーだった。
 看護師さんたちにご挨拶して化学療法室を後にする。計算時間を見計らって自動支払機へ移動。採血と点滴、3割負担、12万円弱をカード支払い。病院は会計待ちの人たちで溢れている。

 外に出ると、本当に春のようなポカポカ陽気。前泊して早い到着が出来たので、最初の受付もスムーズだったせいで、まだ4時間半も経っていない。化学療法室では「激混みで」と待ち時間が長い患者さんに謝っていたので、本当にラッキーだった。

 スタートが遅れると、終日押せ押せになり病院を出られる時間が1時間、2時間はすぐ変わってくる。薬局に入ると、そこそこ混んでいたので「かなり待ちますか」と訊くと、「30分は待たないと思います」とのこと。

 明後日から授業開始の息子が京都に帰るというので、新幹線の乗車駅である病院最寄り駅で、見送りの夫と3人で待ち合わせしてランチをする約束をしていた。予定より大分早いので、LINEでその旨連絡していたが、薬局でも30分も待たずにびっくり。
 「今日は新しい治療だったのですか」と訊かれ、「明日から仕事なので、3週間後からにしました。」と馴染みの薬剤師さんとお話。前回同様2,000円弱の現金払い。

 病院と薬局の滞在時間は合わせて6時間弱。2人はお寿司が食べたかったようだが、既に気持ち悪さがあり、生ものはパスということでイタリアンレストランに入った。ドンペリドンを飲んで気持ち悪さが落ち着くのを待ってゆっくりランチ。

 ここは2年前に旅立たれたNさんとクリスマスに夕食をご一緒したレストランでもあり、この駅ビルの別のレストランでは、昨日旅立たれたKさんとランチをご一緒した。色々思い出のある場所である。

 私は一番ボリュームの少ないランチセットにしたが、夫も息子もコースにして見事な食べっぷり。食後、新幹線の切符を買い求め、改札に消えていく息子を見送った。
 夫と2人でJRに乗り、帰宅した頃には息子は早くも名古屋である。

 彼が帰った後には大量の洗濯物。2回洗濯機を廻した。忘れ物はないと言っていたけれど、部屋には書類が残っていた。訊けば宅急便で送るほどではないが、あれこれを教えてほしいと、どこまでも世話の焼ける坊ちゃんである。

 治療の翌日、明日が私の仕事始め。会議もあり、明日明後日は残業もあり、なかなかゆっくり休めない。今日も早く眠って明日からに備えよう。
コメント (2)
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