ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2017.1.26 昨日通院日に読んだ2冊とジェムザール投与翌日の体調のこと

2017-01-26 21:36:45 | 読書
 昨日は2冊目が途中までで、今日もまだ読みきっていないのだけれど、記録のために。
 1冊目はさだまさしさんの「ラストレター」(朝日文庫)。
 帯には「真夜中に1枚のはがきが奇跡を呼び起こす。抱腹絶倒&感涙ポロポロの長編小説」とある。裏表紙には「聴取率0%台。人気ゼロの深夜ラジオ番組を改革しようと、入社4年目の新米アナウンサーが名乗りを上げる。何という無謀!しかしファクスやメールでなく、リスナーからの「葉書」に頼るという方法が、小さな奇跡を起こし続けて・・・」とある。

 深夜のラジオというと、私は大学受験時になんとなく聞いたラジオ講座等を思い出すけれど、今の若い人たちはラジオなど聴くのだろうか。昭和は遠くなりにけり、なのだけれど何分懐かしい。オヤジギャグにダジャレに、シモネタ満載。放送禁止用語が炸裂しながら、気づけば最後はウルウルさせられてしまった。さださんも実に筆が達者である。解説は劇団ひとりさん。

 6月から葉書は62円に値上げだという。ただでさえ年賀状さえ書く人も減っている中、また葉書が売れなくなるのかもしれないという記事をどこかで読んだ。それでも私は葉書が好きだ。封書で手紙を書くよりもずっとハードルが低く、自筆をしたためることが出来る。

 今はSNSが全盛で、その場で即反応する世の中だけれど、ツイッターなどでの投書(いわゆる呟き)はここでも言われているとおり、その場での率直な思いを短く表すことは出来るだろうけれど、当然揉んだ感じ、推敲された感じはしないし、自分なりに受け止めて消化して、それを言葉にして、という一連の“間”のようなものがない。だからなんだかどんどん流れていくように思う。

 その点、葉書に書く、文章にする、という作業はその人の中で整理され、こなれてくることではないだろうか。だからあまり生々しすぎず、奥行きのある投書が生まれるのでは、と思うのだがどうだろう。

 2冊目は加藤陽子さんの「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」(新潮文庫)。
 帯には「日清日露から、敗戦までー。なぜ、人々は繰り返し戦争に熱狂したのか?近現代史講義の決定版、第九回小林秀雄賞受賞作」とある。裏表紙には「膨大な犠牲と反省を重ねながら、明治以来、4つの対外戦争を戦った日本。指導者、軍人、官僚、そして一般市民はそれぞれに国家の未来を思い、なお参戦やむなしの判断を下した。その論理を支えたものは何だったのか。鋭い質疑応答と縦横無尽に繰り出す史料が行き交う中高生への5日間の集中講義を通して、過去の戦争を現実の緊張感の中で生き、考える日本近現代史」とある。

 読みながら、ああ、中学高校時代にきちんと日本近現代史をやっていればなあ、と思った。結局、昨日は(点滴中にあれこれあって集中できず)読み終わらずじまいだったが、2007年当時の中高一貫男子校の中1から高2の歴史研究会メンバーの質問は鋭く、面白く、それに答えながら話を膨らませる加藤先生の知識の豊富さと話術にもワクワクして読み進めた。

 こうして通院日が倍になってしまったことは決して嬉しいわけではないが、一つだけプラス思考で考えれば、こうして読書の時間が倍になったことだろうか。

 そして、ジェムザール投与翌日である今日の体調のこと。
 昨夜はステロイドの副作用である不眠よりもジェムザールの副作用である気持ち悪さが勝って、4時間くらい連続して眠ることが出来た。だるくて気持ち悪くて、冴えない朝だ。それにしても、デキサート既定量6.6mgでここまで吐き気がするのだから、減量はとても無理そうだ。食前にはドンペリドンを飲まなくてはとても口に入れられない。

 昨夜は薬を飲むためにインスタントのカップスープだけ飲んで眠った。今朝も紅茶とインスタントスープと果物を一切れ、ロールパンを一口とバナナとブルーベリーのスムージー。殆ど水分のみ。いつもの朝食の3分の一程度か。これで吐き気度が軽い抗がん剤といわれると本当にあ~あ、と言う感じだ。とにかく水分補給だけはしなくては。
元気な細胞まで絨毯攻撃されるというのはこういうことだなあ、と今更のように思い出す。

 夫が、何してあげればいい?と訊くので、「①そっとしておいてほしい、②食べろ食べろといわないで欲しい」と答えた。そう、食べなければダメというのは生物として生きている以上良く判るけれど、無理して食べて嘔吐して、それが記憶に残ってしまうと、ますます気持ち悪さが酷くなりそうだ。だから抗がん剤治療中は食べられるときに食べられるものを少しずつ、が鉄則だ。

 だんだん収まってくれば当然お腹は空いているのだから、食べられるようになる。ここに至るまでに水分もたっぷり摂らないと便秘が酷くなる。そうなるとますます食べられなくなるから悪循環。何度にわたる経験で少しは賢くなったような気がする。

 とはいえ、一旦出勤してしまえば、そうそう気持ち悪いとも言っていられない。年度末の繁忙期に入るし、メールも書類も1日休めばそれなりに溜まっている。そして今日の分が加わるのだから、大車輪である。
 お腹がグウグウ鳴っているのに食べられない。気持ち悪いけれど、出汁の利いた醤油の汁物が飲みたい、とうどん屋さんに行って、一番小さいうどんを注文し、うどんは一口、スープだけ飲み干した。お腹は十分空いているのに・・・。

 夕方までの講習が終わった後は、窓口であれやこれや。なんだかだんだん熱っぽくなってきた。ジェムザールを使用する方へ、というパンフレットどおり、気持ち悪さは投与後数時間後から始まり、発熱する方もいます、というお題目どおり。本当にわかりやすい身体である。
 ロキソニンを飲んで凌いだ。明日は仕事が片付けば午後はお休みしたいのだけれど。
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