ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2020.4.13 土砂降りの月曜日に思うこと

2020-04-13 20:59:04 | 日記

 夫は今日が在宅勤務デビュー日。そんなわけで、昨夜は夜更かし体勢万全(!?)だった。一方の私は今日、通常通りの出勤である。
 朝食の支度をしていると夫が起きてきた。なんとなくまったりしたペースに引っ張られてしまうと遅刻である。外は大雨。朝から気が重い月曜日である。
 そんな中、家を出る直前に今月1回目のお花が届いた。配達のお兄さんには土砂降りの朝早くから本当にお疲れ様である。奇しくも土曜日に父の墓前に供えたカラーが包みから顔を出していた。

 金曜日は初めての在宅勤務だったから、今日は覚悟して出勤したつもりだったけれど、予想通りメールは溢れ、各種通知が入り乱れ、午前中はお手洗いに行く暇もなく、マグボトルに淹れてきた紅茶で喉を潤す暇もなく、ひたすら目をつり上げて諸々の処理に追われた。

 気づけばあっという間に4時間以上が経過。昼食を用意していかなかったので、やむなく調達に事務室を出たが、先週までは昼だけ細々とオープンしていた生協購買部も、今日から完全閉店である。結局、学外で一番近いカフェまで行ったが、悲しいほどの土砂降りと低温、傘が飛ばされそうな強風である。レインブーツを履いていてもレインコートを着ていても、びしょ濡れの濡れネズミになった。

 外はあたかもゴーストタウンのごとく人通りはない。ごくたまに食料品の買い物袋を提げた人がちらほら。非常事態なのだと改めて思い知らされる。が、事務室に戻れば今日はまだ7割超の職員が出勤しており、このアンバランスは一体・・・という状況である。

 最高気温は12度という予報だったが、体感気温はもっと低い。10度に満たない冬の日といった様相だ。ところが、勤務する建物は既に今月初日をもって暖房から冷房への切り替えが終わっており、天井の送風口からは冷たい風しか入ってこない。寒くてたまらないので送風を切ると、今度は換気が悪くなるという。窓を開ければ冷たい雨風しか入ってこない。これで皆の免疫力が下がって風邪が流行らないことを・・・と切に願う。

 息子も今日からは週1日の勤務で、週4日は在宅勤務だという(これこそ推奨される8割減である。)。
 3月中旬から5月末に延期された、彼が所属する社会人合唱団の初めてのコンサートは、責任者による苦渋の決断で中止に決まったとの連絡があった。なんとか歌わせてあげたかった、と切なく思う。皆で集まって練習が出来なかったので、各人が練習をした声をウエブで重ね合わせるなど、私たち世代には考えられないような練習方法を試みていたようだ。
 大学時代の友人たちの所属する合唱団も、今はどこも練習見合わせとのこと。声を出す(当然飛沫感染がある)活動をする人たちにとっては前代未聞の逆風である。

 国の新型コロナウィルス感染対策チームの特別番組を見たら、人との接触を8割減らさない限り、感染は1か月で収束方向には向かわない、とのこと。6割減らしても今と同じ数の感染者が出続けるという。
 9年前、3.11の東日本大震災が起こって、日本という国の震災前、震災後という区切りを感じざるを得なかったが、今回は全世界的に新型コロナ前、新型コロナ後となるのだろう。つくづく凄い瞬間に生きているのだと、思う。

 有効なワクチンが出来るまでは、今ほどの厳戒態勢ではないにせよ、引き続き自粛は免れないし、今まで当然のように享受していた日常の暮らしが戻ってくるとは思えない。
 私がこれまで、自分の身体にあるがん細胞と共存してきたのと同じように、世界中の人々はこの得体のしれない感染力を持った新型コロナウィルスと、全世界の叡智を結集してうまく共存していかなければならないということなのかもしれない。

 私が12年前、タキソテール治療の折に、好中球減少症による感染症で死にかけた時以来、夫は感染症の恐ろしさをずっと気にかけていた。けれど、公衆衛生行政の感染症対策は、花形である高度医療やがん治療のようにストレートにお金に結びつかない。結果、国にとっても自治体にとっても優先順位が低く、ないがしろにされてきたわけだ。そのツケを今、一気に払っているのではないかと彼は言う。

 人との関わり、人との直接の会話が飛沫感染の原因となって、この新型コロナウィルスの感染を広げるのであれば、コミュニケーションはウェブによるものに頼らざるを得ない。けれど、私たちは本当にリアルの付き合いを放棄して、ウェブ世界にだけ住むことが出来るのだろうか。
 これまで当然のように必要だとして行ってきた出張を伴う会議も、会議室で一同に会してのミーティングも、全てメールやウェブ会議で取って替えることが出来ることが明らかになれば、本当に必要のない会議は淘汰されていくのだろう。

 土砂降りの雨の中、思う事の多い週の始まりである。

 記録のために。今朝届いた今年度初めてのお花は、白いカラーが3本、ブルーパフュームが2本、オフホワイトとオレンジ色のアルストロメリアが1本ずつと、大きくてつやつやなアンスリウムの葉。花言葉はそれぞれ「華麗なる美」、「くじけない心」、「持続」だという。
 あれこれ考えるとともすれば塞ぎ込みそうな気持ちを、すっくと咲く花たちがちょっとだけ上向きにしてくれた。
コメント (2)
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