新しい品種というと、最近では”遺伝子組み換え”を想像する人が多くなってきましたね。
新しい品種をやたらと敬遠する方もいますが、何が敬遠する理由なのかよくわかりません。
基本的に新しい品種は、
メンデルの法則によるところの「雑種第一代(F1)」です。
遺伝子組み換えも細胞融合もしていません。
純粋に掛け合わせをして発現した”形質”です。
”虫に強い品種”が発表されると、虫に強いと言うことは、”害ではないか?”と思う人がいますが、
私に言わせてもらえばそれは、残念ながら”知識不足”と”思い込み”からでる誤解だと思います。
まず言葉の響き。
”虫に強い”とは、虫が食べて死ぬということではありません。
例えれば、「病気にならないよう体力を付ける」と同じと考えてください。
体力があれば、例え感染しても”発症しない”こともあるし、感染しても”症状が軽い”ということってありますよね?”虫に強い”とはこのたとえと同じことだと考えてもらうと当たらずとも遠からずだと思います。
このように掛け合わせによる”品種改良”は、生産性の向上に大きく役立っているのです。
我々が口にする多くの農作物・畜産物は品種改良がなされています。
「食べやすさ」と「生産性」の向上は、これに寄るところが非常に大きいのです。
これらのものを毛嫌いする方には、こんな説明はどうでしょうか?
”インフルエンザ”などの予防接種。
これは基本的に、”抗原”となる病原体(ウイルスが多い)から”抗体”を作り、
それを”不活化”してワクチンとします。
要するにザックリ言えば、”病原体を殺して、身体に注射するもの”これがワクチンです。
これのお陰で、世界中でたくさんの命が救われている(今までも救われてきた)ことは、ご存じの通りです。
これを、悪と称する人はまずいないでしょう。
新品種も同様のニュアンス(実際は不的確な例えですが)で考えてもらうと安心してもらえると思います。
新種(F1種)は、種を取る方には向きません。
F2では、形質が半分違ってきます。その土地の風土に合わなかったりすることもあるので、無農薬栽培をするなら”その地でとれた固定種”が理想とされています。
これは代々同じ環境・風土で育つため、その環境に順応しているために生育が良くなる:虫がつきにくくなる:虫に強いということがあります。
でも実際は、他品種などとの交雑が起こることが多いので、よほど隔離でもして種を何年も取り続けない限り”固定種”は完成しません。
最後にすべてが、メンデルの法則で説明がつくわけではありません。
遺伝や遺伝子の研究は日々進歩しています。
私たちが心がけなければならないのは、「正しい知識を持つこと」だと思います。
ウワサや評判に惑わされ、真実を知らないなんてことの無いよう、ある程度の知識はぜひ持ちましょうね。