2015年2月3日(火)
内憂外患という言葉があったな。ちょっと違うけれど。
人質事件の見出しの下は、秋葉原事件で死刑確定の報。2008年6月8日、秋葉原の歩行者天国にトラックで突っ込んで5人、ナイフを振り回して12人を殺傷した事件だった。
これについて、いつも思い出すことがある。
事件の前後にアジア学院の留学生が、教会員宅にホームステイすることがあった。毎年恒例で、この年はアフリカ人のムクワナさん、ケニアだったかな、国籍を忘れてしまってごめんなさい。
何しろムクワナさんと、Tさん宅で夕食をいただいて寛いでいた時のことである。
TVで事件のことが報道された。Tさんのお嬢さんから英語であらましを聞きながら画面を見ていたムクワナさんが、隣の僕を不思議そうな顔で振り返った。
「トラックで突っ込んだの?」
「そうらしいね。」
「トラックは彼の?借りたの?」
「借りたらしい」
「トラックを借りるお金、もってたんだよね?」
「そうだと思うよ」
「だったら、食べ物を買うお金もあったよね?」
ぼんやり受け答えしていた頭が、ふと覚醒した。ムクワナさんの黒い顔が、当惑したように悲しむようにこちらを見ている。
「食べ物が手に入るのに、何が不満なの、何で人を殺すの?」
一言もない。