2015年5月23日(土)
「だいぶ調子はよくなって、落ち込むことはもうゼンゼンないんです、ただ、逆にちょっとイライラするようになって、ウツの後によくあるんですけど」
ちらりと上目を使って口ごもり、顔全体で小さくニヤッと笑った。
イライラの件、双極Ⅱ型とみたてたのもそのあたりなんだが、それよりもですね。
この女性は確かネコ嫌いだと言ったが、今のニヤリは何だかネコに似ている。悪さを隠しているニヤリだ、ひょっとして・・・
「イライラして彼氏に暴力しちゃうとか?」
「え~先生、わかります~?」
わかるとかいうんじゃなくてね、あなたがそう言ったんだよな、フンイキで。
「殴ったりなんかしたの?」
勢いよくかぶりを振った。
「ゲンコツで殴ったら、自分の指が痛いじゃないですか。だから・・・」
「思いとどまった?」
「いえ、肘で」
「・・・」
白鵬だよ、それじゃ。
ものの見事にアバラに決まり、肋骨2本ヒビが入ったというのだが、
「彼氏ったら、その時すぐ言わないんです。後になって言うもんだから」
「怖くて、とても言えなかったんでしょう」
「言わないから訳がわからなくって、何ヘンなかっこしてんのとか、荷物持たせたりいろいろしちゃって。何しろ、ウツはすっかり良くなったみたいです、はい、私のウツです。」
「一度お話を聞きたいって、彼氏にお伝えください、ね。」