JF4CADの運用日誌2.5

アマチュア無線局JF4CADの活動内容紹介ブログです。

「下流老人」にならないための老後資金の作り方①

2015-08-11 | シャック便り
夏休みに入りましたのでいつもとは毛色の違ったお話をしたいと思います。


先日新幹線の車内でガソリンをかぶって火を付け自殺した男性が大きなニュースとなりました。巻き添えになって亡くなった方が出てしまい大変痛ましいことだと思います。

この犯人は月12万円の年金だけで生活しており、生活ができないとして犯行に走ったとされています。またこの事件の直前から「下流老人」という言葉をよく見かけるようになり、高齢者の貧困が取り上げられるようになっています。

今回はこの問題について取り上げ、下流老人にならないためにはどうすべきか考えてみたいと思います。


[年金月12万円の理由]
一般的なサラリーマンだった夫婦のモデル世帯の年金額(月額)は

基礎年金(国民年金) 6.5万円×2で13万円
厚生年金       9~10万円(夫の部分のみ支給)

となり、22~23万円となります。60歳以上無職世帯の平均的な生活費(2014年総務省調べ)では27.7万円でしたので「年金だけでは切り詰めて生活しないと非常に厳しい」と言うことが分かると思います。多くの場合は退職金を取り崩したりして月4~5万円を確保しています。

報道によるとこの犯人が一人暮らしであり、「年金を35年払った」と言っていた模様です。これらが事実であれば保険料を支払った期間のみが評価される基礎年金部分(国民年金部分)は約6万円となり、差し引きで厚生年金として6万円が支給されていたことになります。

この厚生年金部分は先に挙げたモデルの2/3程度しか支給されていません。恐らく厚生年金部分は支給期間の下限である25年に近い期間しか加入していなかったか、平均よりもかなり低賃金であったと考えられます。低賃金の職を転々としている場合にはあり得る額だと思います。

なお一部の中小零細企業の中には厚生年金の対象事業所になっているにもかかわらず厚生年金に入っていないケースや、厚生年金の保険料を従業員から天引きしているのに国に納めていない会社、給与を実際より低く申告して保険料を軽くしようとする会社もあるようです。いずれも違法行為ですので給与明細と「ねんきん定期便」とを照合し、おかしい場合は年金事務所などに相談に行かれることをお勧めします。


[12万円で生活できるか?]
この犯人のように年金だけの月12万円で一人暮らしをするとすれば
家賃+光熱費等 6万円
食費・生活用品 5万円(週1万円)
で11万円ですから税金等を考えると極めて厳しいことが分かります。

犯人はパチンコ屋などに通っていたとされますが、そういったお金はこの年金額では出せないことが分かります(借金をしていたとの報道もありますのでそういうことでしょう)。自転車のパンク修理とか庭木の剪定など現役時代の特技があるのならシルバー人材センターの仕事で若干の収入は得られますがこれも限られるでしょう。

持ち家があることに加え、野菜を(できれば米も)ある程度自給できるのなら12万円でも生活できると思いますが、都内では古い風呂なしアパートでも上記の費用がかかりますから生活は困難だと思います。


[12万円で生活するのなら]
とは言っても過去に戻ってやり直せないのが人生です。持ち家がなく月12万円の年金で生きてゆく方法は限られると思います(ここでは生活保護は考えないことにします)。

地方(中山間地など)の自治体では月1~2万円で空き家を貸してくれるサービスを行っているところがあります。これを利用すれば住居費が軽くなります。加えて庭で野菜などを栽培することで食費も少し減らすことができます。

犯人はJR中央線沿線に強いこだわりをもっていたようですが、生きてゆくことが大切なのかこだわることが大切なのか一度真剣に考えてもよかったのではないかと思います。


ご覧の通り、特に現役時代に世間平均以下の給与で働いていた場合には老後に年金だけで生活することは困難です。何らかの形で自己資金を作ってゆかないと老後の生活が成り立ちません。ということで次回はサラリーマンを例に無理なく老後資金を作る方法に触れてゆきたいと思います。
コメント
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