タイトルのセリフは、この「予告編」では出てきませんが、その場に導く宮本信子扮する絹代の赤ん坊を背負った姿は見られます。
いつも使わさせてもらっている佐藤利明さんの『みんなの寅さん』ではその場面に向けてこう書かれています。
長崎の大波止の船着き場で、赤ん坊を背負って呆然としている絹代(宮本信子)に優しく話しかけ、宿賃を持たぬ彼女の面倒をみます。
(略)
寅さんの親切に、ほっとしたのか、息せき切ったように話をする絹代の姿に、彼女が過ごしてきた修羅の日々が見えてきます。やがて絹代は気まずそうに、子供の横で服を脱ぎはじめて「金ば借りて、何もお礼ができんし、子供がおるけん、電気は消してください」。この時の寅さんの表情について、山田洋次監督のシナリオには「哀れみとも、憤りともつかぬ、やりきれぬものがこみ上げて来る」と書いてあります。
「俺の故郷にな、ちょうどあんたと同じ年頃の妹がいるんだよ。もし、もしもだよ、その妹がゆきずりの旅の男にたかだか二千円ぐれえの宿賃でよ、その男がもし妹の身体をなんとかしてえなんて気持ちを起こしたとしたら、俺はその男を殺すよ。」
明日のテレビではこの場面を注視しようと思います。