今日12日「しんぶん赤旗」三面 中祖寅一記者
検察官の定年延長に内閣が権限を持つようにする検察庁法改定案の衆院審議入り強行、採択の動きに激しい国民の批判が起きています。
8日の与党による審議入り強行を受けて、9日の夜から10日にかけて広がった 「 #検察庁法改正案に抗議します」 とするツイッターデモ。歌手や俳優など著名人も投稿し、10日にはリツイートも含め470万を数え、11日には500万を超えて広がっています。
改定法 「反対」 のアピールを発し、記者会見を開くなどしてきた 「法の支配の危機を憂う弁護士の会」 の島田広事務局長・弁護士は」「審議入りするまではほとんど波風のない状態だったが、8日の審議入りを知らせると、急速に反応が広がった」と指摘。「何で今やるのか、誰のために? みんなが苦しんでいるときに、政権に都合のいい検察をつくるという私利私欲の姿勢に批判が爆発した」 と語ります。同会の「アピール」 には11日時点で1977人の弁護士が賛同しています。
検察内部や裁判官からも批判の声が上がり、自民党の国会議員からも「とんでもない」 という発言が相次ぎます。
ベテラン衆院議員の一人は 「警察や検察と政治の関係には、政治は口を出さないという不文律があるのだ。政治が検察を握ったら独裁になる」 と述べます。中堅参院議員の一人は「「同じ公務員でも、人事の上で一般公務員と検察は別だというのは常識だ。(担当大臣の)森雅子法相は大丈夫か」と語気を強めます。
しかし、その森法相が法案審議で答弁に立つことはありません。
なぜか。検察庁法改定案は公務員法改定案の中に束ねられ一括審議とされて、内閣委員会に提出されています。法務委員会との連合審査も与党が拒否し、森法相が答弁に立つことを与党が拒んでいるのです。
内閣による検察私物化の法案を国会に提出すること自体が許されませんが、検察庁法改定案について法務大臣に質問ができないというのも異常なやり方です。
安倍政権は、内閣人事局を設置し、霞が関の幹部人事を首相官邸で握ることで行政の私物化を進めてきました。今後は、準司法作用を担い刑事司法の政治的中立の観点から強い独立性を付与されている検察を私物化し、まさに独裁政治を実現しようとするものです。