それなりの山に登るにはそれなりの靴を履こう。
KEEN。
革に油が塗り込まれてばっちり。でもこの靴、もう15年ほど前のものなんだよねー。
これは、ドガティ君が入院中の話。
いつもドガ様ファーストの生活をしているので、ワンコが行ける場所ばかりに出かけている。旅行にも行かず、出かけると言えば八ヶ岳の山荘のみ。遠くのレストランで食事するのもめったにない。
でもドガティ君が入院したので、普段は行けないところに行こうということになった。行き先は神奈川県が誇る大山(おおやま)。そしてそこにある阿夫利神社。
藤沢を抜けて茅ヶ崎へ。
茅ヶ崎から寒川、平塚へ。
大山が見えて来た。
昔から人々に恐れられたり尊敬される山って、それ相応な形をしている。
大山は神奈川県のあちこちから拝める。そして立派に見える。
八ヶ岳山麓の原村にある阿久縄文遺跡では、縄文人が蓼科山(↓)を拝んでいたことが分かっているが、それってなんとなく分かる気がする。
大山もそういう要素が外見からしてあるね。
伊勢原市に入った。いよいよ大山(↓)が近づいて来た。
もうちょっとで、クルマによるアプローチは終わる。
ここが市営駐車場だ。一番上の駐車場に楽々停められた。
シーズンによって、また土日祝日だと混むらしいが、この日はただの平日。
しっかり足元を固めた。
下の地図で説明しましょう。
● 我々が今いるのは大山ケーブルバス停(=駐車場の近く)。
● こま参道をこれから歩く。
● 大山ケーブル駅からケーブルカーに乗る。
● 阿夫利神社駅でケーブルカーを下車する。
● 阿夫利神社下社から「表参道」コースを通り大山山頂へ登る。
● 大山山頂(阿夫利神社本社)で休憩。
● 「見晴台」コースを通り阿夫利神社駅へ下る。
● 阿夫利神社駅からケーブルカーに乗り大山ケーブル駅へ移動する。
● こま参道を歩いて駐車場へ戻り、クルマで帰る。
こんなコースをたどるのだよ。
ケーブルカーの阿夫利神社駅は標高700m近いところにある。
大山山頂へは、そこから標高で550m近く登ることになる。
大きな岩がゴロゴロした結構キツイ山道だ。
こま参道へ入りましょう。
ちょっと江の島っぽいな。
こま参道の両側には小さなお店がいっぱいだ。
おみやげを売る店や飲食店が多い。
旅館もたくさんある。
階段が多いので、このあたりで早くも疲れを感じる。
ケーブルの駅は遠いなあ。
登れども登れども、商店が続くだけでケーブル駅が見えてこない。
お水が良質らしい。
豆腐屋さんがあり、豆腐料理を売り物にした飲食店もある。
しかしそんなところに寄っている時間はない。
まだ開店前だし。
我々は朝9時のケーブルカー始発に乗る予定なのだ。
階段がまだまだ続くねえ。
綺麗な渓谷だ。
ケーブルカーが出るよ。
急げや急げ。
何とか乗れたぞ。
私も妻もすでに疲れている。
本当にしんどいのはこれから遥か先のことなんだが、この時点ではまだそれがどんなものかよくわかっていなかった。
ケーブルカーは途中で大山寺駅(↓)に停まる。
そこでは頂上へ食料品を運ぶ人が乗り込んで来られた。
重そうな荷物だ。
そんな大変なお仕事をなさる方に敬意を表して、乗客はみんな奥へ寄ってその方のために場所を空ける。
始発に乗る人はほとんどが登山者だ。登山者はたいてい礼儀正しい。
やがてケーブルカーは阿夫利神社駅へ到着した。
ここで標高が700m近い。
あちらが阿夫利神社下社(↓)だ。またすごい階段。
奄美ハブ酒本舗関東支店だって。
ハブ酒って元気がでそうだね。
いろんな人のご寄付で成り立つ阿夫利神社下社。
私もいつものお願いを。
「カネと健康、カネと健康、カネと健康・・・・」
ドガティ君の健康もよろしくね。
ここからは湘南が広く見えるぞ。
破線で囲ったところにあるのは江の島だ。
見えませんか?
それでは拡大してみましょう。
ぼやぁ~~んと見えたでしょ?
多くの人がお参りする下社。
ここまでならケーブルカーで来れるからね。
しかし大山頂上にある本社へは、自分で歩いて登らないといけない。
ここで入山修祓料を納めましょう。
そうすれば道中の安全が約束される(かもしれない)。
ここから入るのよ。
秘密めいているね。
で、さっそくまた階段だ。
階段って疲れるが、今後の道を考えると、まだ階段があるだけマシってもんだ。
ここからは巨岩がゴロゴロした表参道を上がる。
表参道たって、ただの登山道だよ。
相当な登り道だ。
途中に夫婦杉があった。
左が夫だとして、右が妻。
左の夫の幹は普通だが、右の妻の幹は先がいくつにも分かれていて、異性関係が複雑で奔放な性格をした妻のように見受けられる。
難しい夫婦杉だった。
引き続き岩がゴロゴロ。
足が上がらなくなってくる。
途中にたくさん里程標がある。
これを見ると、まだ登り道である表参道コースの1/3も来ていないようだ。
見ると絶望的になるから、今後は見ないようにしよう。
それにしても歩きにくい道だ。
足を捻りそうになるよ。
汗が噴き出るし、とにかく疲れる。
「もう二度とこんなところ来ないぞ」なんてぶつぶつ言って上がる。
こんなところに石積みがあるね。こんなところまで上がってきて、石積みの工事をするって疲れるだろうなあ。
天狗の鼻突き岩と呼ばれるらしいよ。
岩の側面には水平に穴が開いているからね。
まるで天狗が鼻を突っ込んだみたいであるということらしい。
このあたりで、やっと表参道コースの半分を上ったことになる。
ベンチがあるのでちょっと休憩しようぜ。
甘いもの食べて、ナッツ齧って。
おーいお茶も飲んで。
一旦休むと歩き出すのがつらい。
いっそこのまま引き返そうかしら・・・なんて思うがそんなことしている人はいないので、とにかく上がる。
標高1,000mを超えると、ちょっと植生が変化してくるね。
木々が鬱蒼系から、爽やか系になって来るのよ。
おっ!! もう登り道の2/3くらいは来たことになるぞ。
でもまたベンチがあるので休憩。
もういやだーーー。
死にそう。
でも元気づけてくれる掲示があった。山頂まではあと600mほどの距離だ。
ゴロゴロした岩を踏みつけながら、あるいは避けながら登る。
前を行く妻もヘロヘロ。
私もヘロヘロ。
おーーい、大山山頂はまだか?
どこまで行っても登りだなあ。
当たり前か、まだ山頂に到達していないのだから。
これだけ木がいっぱいある山だ。
自然のダムだね。
あと300mだぞ。
あとわずかの距離が遠いね。
きついわ。
石の里程標は新しいのがいっぱい建てられているが、古いものは多くが倒れていた。
その中のひとつは土留めに使われていた。
有効利用のひとつと言えるかな。
最後のふんばり。もうちょっとだ。
お~~~! 鳥居だ。
金属製だね。
あ、銅製の鳥居だ。
都内の銅器業界が建てたようだね。
先にはまた石の鳥居がある。
やっと到着した。
阿夫利神社本社。
遠くに湘南地域、そして江の島も見える。
最初の方でご紹介した歩荷さん(荷物を運搬する人)が持ち込む食べ物、飲み物はこちらで買える。
ごみはすべて購入者が持ち帰る。
いちいちこちらのお店で、ごみまで面倒みられない。
阿夫利神社本社の標高は1,247mである。
大山山頂は標高1,252mだ。
多くの登山客あるいは参拝者がここでごはんを食べていた。
お湯を沸かしてカップ麺をすする人。
おにぎりをほお張ったり、お弁当を食べる人。
それぞれのスタイルでランチを楽しんでおられる。
我々はここではお菓子だけ。
そしてお茶を飲む。
疲れましたわ・・・。
【つづく】