前回の話の続きだ。
道路法第四十三条には「 みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること」はしてはいけないと書いてあり、道路法第百二条には「次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と書いてある。
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段差解消スロープを自宅駐車場前の公道に常置することは、これに該当する。懲役あるいは罰金刑に値するのだ。
ところがそんなことは我が家の近所でもどこでも、日本中で行われていてる。然るに、役所の人がやって来て「これを早く除去しないさい!」と叱られたなんて話は聞かない。近隣でそれが問題になって、誰かが自治会に対応を願い出たなんてことも聞いたことはない。
住民がいちいち役所から道路の占用許可を取ってこの段差解消スロープを自宅前に設置しているとは思えない。そもそも役所も許可しないだろうし。
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結局、道路法第43条の存在はあっても、世の中にあまり広く認識されていることじゃないんだろうね。私もよく知らなかった。
では全然問題なしなのかというと、そうではない。大阪府堺市では、これが原因で転倒したバイクの運転手が後続の車に轢かれて死亡し、この段差解消スロープを公道に置いていた飲食店経営者が書類送検となったというのは、前回もお伝えしたとおりである。
ちなみに、海外ではどうなっているんだろ?と思い、まずはロサンゼルス郊外の住宅地を、試しにGoogleストリートビューで見てみた。
わずか数か所を見てみただけだが、みんなちゃんと幅広くL型側溝が切り下げられてるんだなぁ~。
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そうだよねー。改めて考えてみるとってことだけど、当たり前だよね。普通は置かないよ、公道に大きな私物を。
世界のどこでもおそらくそれって常識だよね。でも日本では段差解消スロープは広く普及しているのだ。不思議・・・。
じゃ、今度はスペイン、マドリッドの郊外。
いくつも見てないが、一部を切り下げるのではなく、歩道全体について端っこが切り下げられている。
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次はイングランド(↓)。ミルトン・ケインズって比較的新しい街だ。ここは段差がわずかなので、切り下げる必要がない。
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雨量が少ない国だと、これでもいいのだろう。
次はスウェーデン。ストックホルムの郊外だ。
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この住宅地では、最初のロサンゼルス郊外同様、段差はあるが各戸必要なところはすべて段差の切り下げ工事が行われている。
ちなみに、どこの国もかなりの田舎を見ると、公道脇に段差はないのでこうした問題も存在していないようだ。
しかし上に掲げた画像に限って見た話をすれば、都市郊外にあって公道の端に段差がある場合でも、その公道沿いの住民が各自勝手にホームセンターで金属、コンクリート、樹脂等の段差解消スロープを買い求め、家並に沿って公道上にずらっと並べて放置しているなんて光景は、どうも日本特有なのではないだろうか。どこかの国に、日本と似たような風景はあるんだろうか。
段差解消スロープって小さいモノだけれど、アレックス・カーの言う犬と鬼みたいな話なのか。
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電柱・電線など景観の中に異物にあることに関して、我々日本人は鈍感だと言われることと、この段差解消スロープが公道上に大量に放置されていることは同根であって、我々特有の感覚なのかもしれない。
私も今回までまともに考えたことはなかった。
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上の画像は鎌倉市七里ガ浜東の我が住宅街に隣接する水質浄化センターの敷地の北東端だ。
正式な市の施設だが、その敷地に沿って公道側には見事に段差解消スロープが置かれている。
ごらんのとおりだ。
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相当年季が入っているね。
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斯様に、市役所も誰もその違法性を認識しないくらい、これは我々に馴染んだ景色となっているってことなんでしょう。
だからって道路法がある以上、それはあってはならないことだが。
追記:
上記水質浄化センター敷地前の段差解消スロープは、その後しばらくして撤去されていた。何でも書いてみるもんだねぇ(笑)。市の施設が違法行為してるんじゃまずいもんね。