「アイルランドから女性ザッチャーがやってきた」(文芸社)という本がある。八ヶ岳南麓の喫茶(コーヒー)店オーナー、守屋良介さんの著書だ。八ヶ岳山麓にちょっと変わった建物を建てるという話で、八ヶ岳好き、建物好きな人には面白い本である。そうした内容の本であるにもかかわらず、著者本人は建築にはまったく詳しくなさそうで、良く言うと相当個性的で凝り性な、悪く言うとビジネス・マナー的には常識を欠いていそうなビルダーに建築のプロセスにおいて振り回されっぱなしで、よく最後までたどり着けたなあという感じである。そこが読み手には非常に面白おかしいのだが。
このストーリーの最大のポイントは、ザッチャー(萱葺き職人。英語でThatcher。一般的にはカタカナ表記をするなら「サッチャー」であろうが、この本ではそれなりに理由があって上記タイトルの如く「ザッチャー」としている)がアイルランドから山梨県までやって来ることである。私もそんなのは初めて聞いた。萱を手に入れるのに苦労したり、工事が遅れに遅れたり、地下室に水がたまったりといろいろ大変なことが起きる。話はそれるが、八ヶ岳山麓に家を建てて地下室を造ったら水が出て大騒ぎ、というのはよくある話だ。冬の地面の凍結に合わせ基礎工事は地下1m以上深く掘って行うことはざらで、「それならいっそのこと」と地下室を造ってしまう人も多いのだが、あとで困る場合もあるので要注意である。とりわけ南麓は「●●沢」「■■泉」なんて名前の集落だらけの地域で、水が出やすい。
紹介しておいて変な言い方になるが、私がこの本に興味を持ったのはそうしたストーリーによるのではない。本やウェブサイトで拝見した限りでは、この建物はかなり採光を絞っているように見受けられたことに、私は関心を抱いたのである。ここまで採光を絞っている建物はこのお店を除けば、遊園地のお化け屋敷か私の七里ガ浜の自宅あるいは八ヶ岳西麓の山荘くらいか、という同輩をみつけた喜びでもあった。
私の場合採光を絞ること自体、つまり部屋の中をやたら明るくしないということが建物に求める条件でもあったし、それ以外の建物に関する条件、つまり通風や雨対策を詰めて行った結果として採光が絞られたということもあった。しかし採光を絞った建物、つまり屋内が暗い家はどうも一般的に受けが良くないらしいということを悟るにつけ、私にとってこの本は「やっと見つけた稀有な同好の士による著書」という気がしたのである。
2枚目の画像は自宅にある壁つけの照明器具である。
このストーリーの最大のポイントは、ザッチャー(萱葺き職人。英語でThatcher。一般的にはカタカナ表記をするなら「サッチャー」であろうが、この本ではそれなりに理由があって上記タイトルの如く「ザッチャー」としている)がアイルランドから山梨県までやって来ることである。私もそんなのは初めて聞いた。萱を手に入れるのに苦労したり、工事が遅れに遅れたり、地下室に水がたまったりといろいろ大変なことが起きる。話はそれるが、八ヶ岳山麓に家を建てて地下室を造ったら水が出て大騒ぎ、というのはよくある話だ。冬の地面の凍結に合わせ基礎工事は地下1m以上深く掘って行うことはざらで、「それならいっそのこと」と地下室を造ってしまう人も多いのだが、あとで困る場合もあるので要注意である。とりわけ南麓は「●●沢」「■■泉」なんて名前の集落だらけの地域で、水が出やすい。
紹介しておいて変な言い方になるが、私がこの本に興味を持ったのはそうしたストーリーによるのではない。本やウェブサイトで拝見した限りでは、この建物はかなり採光を絞っているように見受けられたことに、私は関心を抱いたのである。ここまで採光を絞っている建物はこのお店を除けば、遊園地のお化け屋敷か私の七里ガ浜の自宅あるいは八ヶ岳西麓の山荘くらいか、という同輩をみつけた喜びでもあった。
私の場合採光を絞ること自体、つまり部屋の中をやたら明るくしないということが建物に求める条件でもあったし、それ以外の建物に関する条件、つまり通風や雨対策を詰めて行った結果として採光が絞られたということもあった。しかし採光を絞った建物、つまり屋内が暗い家はどうも一般的に受けが良くないらしいということを悟るにつけ、私にとってこの本は「やっと見つけた稀有な同好の士による著書」という気がしたのである。
2枚目の画像は自宅にある壁つけの照明器具である。