エミン・ユルマズさん。
大好きなんです。トルコ人。東京大学理科一類、同大学大学院で生命工学修士、しかしそこから転じて野村證券に入り、さらに独立して著名なストラテジストへ。
しかもこの人、日本を勇気づけてくれる。
一見極端なことを言うけれど、日本を熟知し、海外からの情報を大量にこなして、日本を一般の日本人より冷静に分析する。
この人の情報はSNSで日々見ておいて損はないと思う。
1.AIバブル
ユルマズさんによれば・・・ユルマズ(緩まず)って名前がいいね(笑)。
で、ユルマズさんによれば、現下の世界の株式相場上昇を牽引しているのは米国株式相場の上昇であり、それを引っ張っているのは米国AI関連のハイテク系株価の上昇なのだが、それはバブルであり、どこかで一旦崩れるらしい。
そしてそのAI関連株式の上昇を最大限引っ張っているのがNVIDIAの株価である(↓のグラフ)。
数年前に数ドルだったが、ものすごい上昇。
これはいわゆるマッチポンプ状態で、AI関連企業に投資するファンドがNVIDIA等のAI関連株に投資し、そうしたファンドに投資家の資金が流れ込み、それら投資資金を受けたAI関連企業がまた別のAI関連企業に投資するような、自分で自分の業界を繰り返し盛り上げている(そしてたまに落ちる)ような状況らしい。
ということでどこかでショックが来るらしいですよ。世紀の変わり目でおきたエンロン等のITバブルみたいな話だね。
2.中国経済の衰退
日本を勇気づけてくれるユルマズさんは、日本人が「最近負け続けているな」と思っている相手である中国が、今後は衰退すると予測する。
中国の不動産はニュースで伝えられている以上の巨額の債務問題を抱えているようだ。
そして巨大な国土のあちこちにある初期の膨大なインフラがあちこちで劣化しており、質も高くないため、そのメンテナンスコストが今後はかさむ。
世界の先進国は、中国を安価な工業製品供給基地として長年使ってきたわけだが、最近は米国を中心に、その危険性を察知し、サプライチェーンから外し始めた。
中国自体が劣化し、各国が中国をサプライチェーンから外し始めたら、中国がおおいに関わって価格が上昇して来た金属やセメントなどのコモディティはデフレになるかもしれない。しかしそれでも、それ以外の部分である食料品や賃料やサービス価格は先進国で上昇が続き全体的にはやはりインフレが進む。
3.台湾リスク、フィリピン・リスクそしてチャンス
中国による台湾リスクは日増しに大きくなる。世界最大の半導体メーカーである台湾TSMCの熊本県内の巨大工場建設は大きなニュースになった。地元では、アルバイトの時給も、アパートの賃料も跳ね上がって、大賑わい。それだけの企業なのだ。親日国台湾からの進出を歓迎したい。しかしその背景はやはり中国リスク。
リスクは台湾だけではない。
中国から見て海洋進出の邪魔になるのは台湾、日本、フィリピン。
中国から見た海洋地図はこちらである(↓)。この地図は重要だよ。
中国の海洋進出を妨げるのはその3つ、台湾、日本、フィリピンだ。
元は植民地だったのに、フィリピンを手放した米国が、再びそこに海軍の連携を強めようとしている。
今後は第二次大戦後の対共産主義国最前線のドイツや日本のように、米国はフィリピンを経済的に発展強化させようとする可能性がある。ということは今後アジア株式の中で、ベトナムやマレーシアより有望なのはフィリピン株?(笑)
Top Gun • Danger Zone • Kenny Loggins
米国の助けがないと、ここのアジア海域ラインの防衛は無理💦
トランプやそれが連れて来るであろうバンス副大統領候補では、このあたりが手薄になるかもしれない。
主題歌を歌ったケニー・ロギンズあるいは主演したトム・クルーズにお願いするしかないのである。
いつもかっこいいなあ。
4.日本のソフトパワー
そこでユルマズさんは日本の有利な点を挙げてくれる。
まずは工業生産とかではなくて、日本そのものであるカルチャーの海外への浸透。
日本のソフトパワーだ。
芸術、アニメ、ファッション、スポーツ。
欧米先進国ともアジア諸国ともまったく違うカルチャーが、日本のそれぞれの分野にある。
WBCの対オーストラリア戦で大谷選手のホームランボールを外野席で獲った女性がそのボールを周囲の観客に回し、静かにみんながそれを共有しスマホで撮影し、ぐるっとボールが周囲を回ったところでまた本人に戻る風景が米国FOXで放送され「安全でおとなしく、日本的だ」と驚かれた。
日本人ファンの“マナーの良さ”が脚光を浴びる🎌大谷翔平のホームラン・ボールを共有し合う姿に「米国では絶対に起こりえない!」
先日のAGTで大好評を得たチョコプラの感覚もそれだと思うわ。
TT Brothers Will Make You SMILE! | Auditions | AGT 2024
最初は観衆が「何これ?」って不思議そうな感じなんだが、ゆっくりとそのヘンテコリンなくだらな過ぎるおかしさを理解してゆく様がおかしい。私が好きなハイディ・クラムさん(審査員のひとりで向かって右から2人目、緑の服を着たモデル出身の人)も、両手を長く広げてティ~~! ちなみにみなさん、ハイディはいつも明るくて優しいよ。
そんなことあり得ないわ~とかつては思えたインバウンド観光客の大量流入や、日本オリジナルのソフトの輸出。
日本のソフトパワーね。
AGT(BGTも)の審査員、向かって一番右のサイモンは皮肉屋であり厳しいことで有名だが、その彼ですら「日本からの出演者が大好きだ」と言っていたことがある。おそらく他国にはない独特な文化の香りを日本の出演者に感じているのだと思う。
これもそうだったと思う(↓)。
Avantgardey Full Performance | America's Got Talent 2023 S18E02
ある意味不気味な、でもこんな動きや表情や服装のダンスって、他国になかなかないでしょう。 大量の貞子のような子たちが、米国には絶対ないような昭和歌謡のメロディに乗って激しく踊る。岩崎宏美ちゃんも喜ぶ(笑)
5.意外にも人口減の日本に有利なこと
次の話題。
意外なことに、人口減少で最先端を走って来た情けない国である日本に人口減少のメリットがあるとユルマズさんは説明する。
NVIDIAで見たAIの発展が理由だ。AIの発展により、多くの国民は失職するのが不可避だ。タクシーやバス運転手、あるいは航空機や新幹線など様々な交通機関の乗組員等顧客乗客を直接的に世話する職業や、企業や役所の事務員・営業窓口担当の多くがどんどん不要になる。
そんな失業者があふれる時代には、実は早くから人口減少状態に入っている日本が相対的には有利らしい。日経平均はやがて30万円へ、というのがユルマズさんの予測である。
失業者で溢れる時代に、人口構成で若者が少ない日本は、国内の摩擦が少ないからだ。高齢者が多い日本の高齢者はこれから順番に死ぬ。若い人は数が少ない。そこでAIを活かせば相対的にどんどん有利になれる。
6.日本人の欠点
そんな日本だが、不思議というか、「ちょっと日本はおかしくないか?」と思われるポイントが2つあるとユルマズさんは言う。
1.納税者の意識の低さ
2.政治に対する無関心
私もそう思う。明らかに平和ボケで大昔にバブルを経験していて、いつまでもそこから抜け出せていない。
政治や経済や一般的な現代社会の問題を、深く調べて理解しようと日本人は全然しないし、税金の無駄遣いに対して声を上げない。多くの国だと暴動が起きそうなレベルに社会はあるのだが、穏健を美徳とするお国柄ではそれもない。危機感に欠けるのだ。
少し前に実施された定額減税をユルマズさんは例に挙げる。税収増だから納税者に減税して還流させるのは理解できるが、住民税非課税世帯にも同様に給付金を還流させたのはロジック的におかしい。自民党から共産党まで税金の無駄使いという意味では同じようなもので、他の先進国ならもっと議論が巻き起こると彼は言う。
ユルマズさんが指摘する、税の使われ方に日本人の怒りの反応が少ないことの例としては、私ならふるさと納税を挙げるね。
あれは地方税制を歪めて、ただでさえ税収不足なのにそれをさらに深刻にして、高額納税者ほど得をし、国民が税金で飲み食いし、それを集計している業者(楽天等)と返礼品を納入している業者とそれを利用している国民とそれに権益をもつ政治家が潤っているわけだが、国民経済全体的には損失だらけで非効率かつ不公平というものだ。住民税が流失し、偏りが発生し、条件を満たせば流失の一部は国庫から補填されるが、それも我々が納めた国税だ。
このふるさと納税に対しユルマズさんが言うような「税の無駄遣いをすぐ止めろ!!」という猛抗議が、日本では多数の国民から起こらないのは不思議だ。それどころか、国民の一部はそれを喜んでいるように見える。
ユルマズさんはほめてくれるのだけれど、日本人ってどうも目先のものにつられてしまい、社会全体の長期的で健全な発展を考えることが苦手な国民のように思える。このまま税金をばらまき借金を重ねたら、そのツケの処理に困るのは日本の未来の世代だ。日本だけはギリシャなんかと違い財政破綻なんて無いというのは、短期的には正しいが、長期的には正しくない。すでに日本はGDPの2.5倍を超える公的債務残高がある状態だ。こんな先進国は他にない(↓)。未来世代のことをもっと考えないと。
【日本政府、IMF】
どこの国もそうだが、日本も良い面悪い面いろいろだ。
良い所を活かして、ダメなところはさっさと修正したいねえ。
さらに話が変わる。珍しいものが出て来たのでご紹介。
これは私の小学校の1970年の運動会のプログラム。こんなものを残しておく趣味は私にはない。私なら、さっさと捨てそうなもんだがなぁ。なのになぜこういうものが出て来たのか?
しばらく考えてたら・・・思い出した! この絵は私が描いたものだわ。記憶がかすかにある。へた!(笑) 小学4年の時に描いた絵が、その翌年の運動会に使われたようだ。
裏面には校歌。
梅が香匂ふ菅公の跡をしたいて一すじに・・・・
ちなみにこの場合「跡」という字を使うのは正しいんだろうか?というのが私の小学校時代の疑問だった。「跡を慕う」よりは「後を慕う」の方が自然ではないかと。しかし慕う相手が大昔のとっても偉い方の場合は、あとを慕う「あと」は「跡」の方が良さそうだと今は思っている。
日本のそこら中に菅原道真公との係わりを誇る名所旧跡があるが、この学校があった場所もそうだった。大阪府枚方市香里ヶ丘というところである。政争に巻き込まれ、大宰府に飛ばされる菅公(菅原道真公)がこの地を通った時に、菅公が好きな梅の香りがほのかにして喜んだという逸話を校歌の歌詞にしたのだ。
続きがまだあって「だからここは香里(こおり)という地名なのだ」と、私は先生に教わった記憶がある。最近になって私はそれを調べてみたが、その説明はすべてが間違っているわけではないが、かなり都合のいいところだけの説明であるということに気づいた。
新聞に書いてあること等と同様、先生の言ったこと全部が正しいとは限らないのである(笑)。ユルマズさんの言うことはすごく面白いしためになるけれど、それも話半分にして、自分自身で調べて考えるしかないね。