橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

EHAGAKI #340≪植物のお話≫

2016年10月03日 | EHAGAKI

お世話になります

10月となりました
ついつい「早いものでもう10月ですね、、、」
なんて知らぬ間に言ってしまいます

知らぬ間、生きていく為の大部分は“知らぬ間”にコトが運んでいます
今回のお題は、「植物のお話」です


参考図書)

面白くて眠れなくなる植物学
稲垣 栄洋
PHP研究所


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

文化放送「武田鉄矢・今朝の三枚下ろし」を耳で聞いたメモ、ネット上にある書き起こしを参考にしたものであります
※今回も本は読んでおりません


◆実の付け方

柿の実をイメージ
大きな種を包むように果肉がある
ミカンも袋には分かれているが、袋ごとにミカンの果肉がある

柿やミカンは種を包む脂肪を果肉にして動物を誘う
食われてタネを運ばせる

リンゴは違う
種を守る脂肪は、固いリンゴの芯
あの芯が脂肪、柿とミカンは柔らいがリンゴは固い

リンゴは花の付け根の果托と呼ばれる部分が膨らみ、果実になって脂肪を包み脂肪は芯となって種を守り続けている

なぜリンゴはそんなことをしたか?

柿とミカンと食われ方が違う運命を選んだ
柿とミカンはその場で種を吹いて、親の木の根元辺りに種が落ちる
リンゴは「芯ごと捨てられる」ことを目標にしている

芯ごと捨てられて、芯が腐って種の栄養になり、そこで芽を出す
だから種を守る脂肪を食べさせるミカン・柿と違いリンゴは運ばれてから食われることを目指した

かくの如く、食われることにおいても色んな食われ方をして、種を運ばせるという工夫(生存戦略)を果物はしている


◆葉の付き方

葉の付き方は植物によって法則があり、その法則に従って葉を出す

(真上から見て360度)
180度ずつ2枚出す
120度で3枚出す
2周で144度ずつズレて、5枚出す
3周で135度ずつズレて、8枚出す

葉の枚数を上から見ると、法則がある
2、3、5、8、13

「フィボナッチ数列」

この数列に従って葉っぱが出る
このフィボナッチは自然界を支配する数列
2、3、5、8、13

この数列は葉だけではなくて、花びらも支配している


◆花の付き方

百合の花びら、何枚?

6枚では?
本当は3枚
よく見ると質が違う
3枚が花びら、あとの3枚は萼(がく)が変化したもの

山吹が4枚、桜が5枚、コスモスが8枚、マリーゴールドが13枚、
マーガレットが21枚、デイジーが34枚

多少の例外はあるものの、ここでも葉と同じようにフィボナッチ数列が花びらを支配している
植物は自然界の中でその姿形を数学に従って作り上げている

花と葉は太陽に対して最も効率の良い姿
樹木の形をした太陽光パネルは出来ないものか?


◆植物の進化

恐竜が繁栄したのはジュラ紀、巨大な裸子植物が森を形成

恐竜時代の最後となった白亜紀に、被子植物が出現
ここでやっと白亜紀の草原に花が咲いた

裸子植物というのは種の元になった種が入ってる「さや」
胚珠がむき出しで、今で言うと松の木のようなもの
「さや」の中に種を抱きしめて守り続ける

その松は花粉を受けて、受精までに1年かかる
ところがこの被子植物は、アブラナのような草花は数時間で受精する
早い、これが圧倒的な力、繁殖の力の差となる

そこに大きな気候変動が起こり環境が激変、進化をスピードアップしないと淘汰される
そこで被子植物は受精のスピードを上げて適応していく

まさしく進化とは、「やりくり」

その適応の中で被子植物は何をやったか
それは毒で身を守るという手段を発達させた

例えば被子植物の中にはアルカイドという毒を持っている植物がいる

恐竜絶滅
これは巨大な星が落っこってきて滅んだっていう説と、もう一つ説がある
被子植物が増えることによって草食系の恐竜が全滅したんじゃないか?

そのアルカイドという毒で、草食系の恐竜が絶滅すると肉食系は餌が無くなって、自然と自滅したんではないか
植物の毒が恐竜を全滅させた
隕石という説の方がかなり有力視されているが


◆植物は毒を持つ

植物の歴史、人間との関係

人間は凄まじい
色んなヤツに食われながら、タフに生き、やがて尻尾を落として、サル系になった
サル系からやがて類人猿になって、類人猿からヒトになっていく

ヒトになったサルの凄まじさ
最初は森で暮らしてる、偏食のサルで、どうしようもなく、すぐに滅びるために生まれてきたようなサルが人間
他の猿は葉っぱを食べるのに、人間は食べれない、セルロース(植物の中にある繊維)を消化できない

それで他の植物を、仕方がないので木の実かなんかを食べるうちに、別の能力で草原で生き残っていったというのが我ら人間

人間はセルロースは食えないが、毒を持った植物と付き合う
毒を持った植物を飲んだり食ったりし始める、それを薄める知恵がついた

トリケラトプスを中毒死させたアルカイド
そのアルカイドの一種がカフェイン

「このカフェインかなんかいっぱい含んだ豆を挽いて、スターバックス作って、みんなで飲んでるっていうから、トリケラトプスからすると無念ですよね。」

興奮という毒を調理で工夫して、弱めて飲むことを、人間というサルは利用して飲むことを覚えた

ハーブ・香辛料、カカオのカフェイン
アオギリ科のコーラ
唐辛子のカプサイシン
バニラの実のバニリン
これらはもともとは全部毒です

お茶の木、お茶も毒です


◆米

米は、稲の種「種子」

その種は籾殻で守られ、玄米が中にある
玄米は「杯」、植物の芽になるもの
「胚乳」、栄養になるものです

赤ちゃんそのものとミルク、それが一種に入ってるのが杯と胚乳
一緒にあの一粒の中に入ってる

そして身を守るために玄米、これは「糠」っていう薄着の肌着を着込んでる
この3重の部分が一粒の米のワンセットである

米の胚乳、これは炭水化物
大豆は炭水化物とタンパク質、そして糖質も含む

いかなる環境でも、芽をふくために、そういう栄養を一緒に抱き合わせにしている
トウモロコシ・ヒマワリ・菜種・ゴマも脂質を含み、たちまち世界に広がる力を持った植物であった

野生種の麦、実ったら弾けて種を飛ばす
植物としては、自分でやる

お米も実った瞬間にバーンって種撒くっていう仕掛けはあるはず
ところが今は麦でもお米でも、種が落ちない

それは変種だから
普通だったら、植物の世界では両方共滅んだ種かもしれない
種をばら撒かないから

では何故、生き残ったか?

それは人間のおかげ

種をばら撒くっていう「脱粒性」という性格を麦でも稲でも持ってると
収穫が大変、一粒ずつ拾わなきゃいけないから

だからぐずぐず付いてる奴の方が人間にとっては有難かった
米も麦もそういう意味では、ワイルドさが無くなって、大いなる欠点が人間によって利用され増やされていった


◆文明

人間の文明はこの植物と出会わなければ成立しなかった

アステカ・マヤ文明、これはトウモロコシ
トウモロコシが無ければこんな文明は起きていない
インカ文明、これはジャガイモ
トウモロコシ・ジャガイモとも南米・中米の作物
中国は大豆
インダス文明、これが稲です
そしてメソポタミア・エジプト文明、が麦

つまり文明というのは一つずつお得意の穀物を持っているからこそ発展した文明
これがなければとっくに滅んでいる、人間はそういう生き物である


◆雑草

とある1件の家が無くなると、まずやって来る雑草がネコジャラシ
やたら伸びます、雑草が空き地に
人類が滅亡しても、日本はすぐ雑草だらけになるだろう


◆ネコジャラシは物凄い高性能

エノコログサ、俗名がネコジャラシ、これが繁殖力が強く、水がなくても元気

ネコジャラシって、枯れたとこ見たことある?

強くて元気
ネコジャラシ何故あんなに元気か?

高性能な光合成システムを持ってる
車のターボエンジンに似て、取り込んだCO2、二酸化炭素、その炭素を圧縮して倍に膨らまし、光合成の能力を上げている

光が強ければ強いほど炭素を倍にして合成する
太陽光を浴びると炭素を圧縮するというのは、光合成の能力を上げる能力を持っているので、いつも栄養満点

二酸化炭素を吸うために植物も吸い込む口「気孔」を開くが、開くとそこから水分も逃げてしまう
ところがネコジャラシは取り込むCO2を濃縮させるので、気孔を開く回数が減らせる

口を開くと口が乾くが、その口の開け方を工夫する


◆物凄いところに話を飛躍

シンクロの鬼コーチ、鬼監督の激(ラジオの口調のままで)

日本代表の女の子たちを叱りつけるんだけど、競技が終わって、検尿検査で尿を調べるんです
尿検査の結果が出た瞬間にアノ監督さんが怒鳴った言葉が「なんだ! 一人も血尿出てねえか!!」って言ったっていうね

もう一つ

「練習量が足りないからこんなことでバテてるんだよ!」って言ったら
とある選手がカーッとなって「私たち死ぬ気でやってます! 監督」って言ったら

あの監督さんが「死んでねえじゃねえか!!」って言ったっていうね

でも、それで銅でしょ
金獲ったロシアは才能で獲ってるのか?
じゃないんですってね
本当にロシアって極限までいってるんですって練習が

日本代表の選手12時間練習する時に、水中で飯を食わせるんですってね
プールサイドまで持ってこさせるんだって、水から上がらせない

入ったまんま飯を食わせる
で、ロシアは、日本が12時間だったら、公開してないんですが、あの監督さん曰く24時間漬けてる

さあ、そこに何が起きるかというと、このネコジャラシなんですよ

ロシアのシンクロの選手たち、練習に関してはもうほとんど魚扱い
とにかくメチャクチャやらされてる
ロシアのシンクロの女子たちの体が違うんですって、練習によって内臓が変わってるんです

なんと驚くなかれ、内臓の中の、脾臓という臓器がある
そこが息をしてるっていう話なんだ

肺に息を吸い込みます、その酸素でしばらく水中で泳いでます
それを出し切る

その後、出し切るっていう肺に負荷をかけると「死んじゃう」と思った瞬間に
脾臓という臓器に緊急用として、酸素ボンベとして脾臓を使うんです
ですから水中でロシアの選手は長く活動できるんです

じゃないと出来ないんですってあの技
そこをあの監督さんは狙ってらして
練習でくたびれたどこじゃないんです
「この人は殺す気か 殺されてたまるか」の向こう側まで行かないと、ロシアに金で望むことは不可能なんですって

物凄い話です

◆サボテン

サボテンってのは何者か、植物の中でも、もうすっかり限界の向こう側に行ってる
砂漠という所に適応するため、サボテンは昼間眠ってる
そして炭素を蓄えて夜に光合成をする
所謂「ラクダ型」の植物


◆光合成というシステム

あの薄い葉っぱの中で糖を作る
人間は出来ません
糖を取り入れないと生きていけない

植物は独自で、何も食べなくても自分のからだの中で太陽と水と二酸化炭素で糖を作り食事をしている

何かを捨て、捨てた代わりに何かを拾う
それを戦略にしたのが植物


◆ツル科

ツル、巻き付くやつ
これも植物の戦略の一つ

ツルは根を諦めて、他に絡むことで上を目指す
例えばブドウ科の蔦も、それから朝顔・ニガウリ
何かに触れて巻くんですが、右巻きと左巻きを途中で反転させる

右に巻いてんだろ? それを途中で左に巻くんだ

何故?

巻き付く、風が吹く
その時に巻きついた枝が伸びると、逆巻きのところからバネになって千切れない
これが右側だけだったら伸び切っちゃったら切れるんだが、左巻を間に挟むことによって切れない


◆生物を呼びつけた生き物

(陸ができた後に)一番最初に地球上に適応した生き物は植物

まず植物たちがゆっくり占領し、その準備ができて酸素だらけにし、酸素で呼び寄せたのが植物だから
「準備ができたよ」って呼んだんでしょうね海の中の生き物を

そして仕事を与えた

それは「これからはアンタ二酸化炭素を吐きな、俺酸素吐くから」っていう交換条件で
地球っていう環境を整えた


◆我々人間という生き物

植物はセルロースというブドウ糖の細胞壁で身を守る
この壁は強靭で牛馬は体内で発酵させてセルロース分解
ところが我ら人間はこれが分解出来ない

でも腸を刺激し掃除するためにはこのセルロース、食物繊維は必要で
「腸内の乳酸菌やビフィズス菌のための食物になる」と

植物が偉いのは、植物が作った物は全部土に還る
太陽とエネルギーの化身で、地球への負担を植物はかけない

それに比べて人間は、生存のために地球に大きな負荷をかけている

「自然の本当の支配者は植物なんだ」と著者は言う

人間は、そういう意味では、ゴミを多く出しすぎる
だから植物を見習うことが必要なのだ

と、文章が締められている


◆でもね

「花が美しいと思った生物は、人間だけです」 太宰治

君はさ、そう人間をひどいひどいと言うが、花を美しいと思って眺めたのは、人間なんだよ。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

ということでした

地球上で、我が物顔の“人間”ですが、本当は肩身の狭い立場であると知るべきでしょうね

ではまた