Reflections

時のかけらたち

プーチンとゼレンスキー  ロシアとウクライナの100年 ・・・ Putin and Zelensky, 100 years of Russia and Ukraine

2023-09-10 23:58:22 | movie

プーチンとゼレンスキー ロシアとウクライナの100年

初回放送日: 2023年8月28日

2000年、ロシアに47歳の若き大統領が誕生する。ウラジーミル・プーチン。19年後隣国ウクライナにコメディアン出身
の大統領が誕生する。ボロディミル・ゼレンスキー。この百年、両国は3度戦火を交えてきた。一度目はロシア革命直後
ウクライナは独立を求め戦った。2度目は第二次世界大戦、ナチスの後押しを受けた市民がソ連に牙をむいた。そして3度目の今。
二人の指導者が背負う、ロシアとウクライナの百年の歴史。

 ボビンレースのレッスンの前日、糸を巻き終わってTVを見たら、ドキュメンタリーで面白いのをやっていて、途中からだったけれど
きっと再放送かNHKプラスで見れるかと思っていたら、すでにそれが再放送だったので再び見ることはできませんでした。
ブログでレポートしていた人がいたので、見れなかった部分など参考にしました。

NHK映像の世紀 プーチンとゼレンスキー ロシアとウクライナの100年

 

 

 

 

まずウクライナとロシアの歴史について全く知らなかったこと、ゼレンスキーがユダヤ系だったことも
とても驚きました。最近ウクライナがゼレンスキーを大統領にしたのは過去のナチとかかわった歴史を
隠蔽したいからという驚き発言まで出ていました。

ウクライナは帝政ロシア崩壊の時から、ロシアから独立したかったことも知りました。レーニンがソ連に
組み込み、スターリンの政策によりホモドモールという悲惨な大飢饉がおこり、今でもロシアに対する恨みを
持っていると言われるほど悲惨な出来事でした。この辺から番組を見始めたのですが、目を覆うような
映像で見ることができませんでした。その後の第二次世界大戦の時、ドイツが侵攻して、ナチに乗じて
ソ連からの独立を計ろうとする人たちが出てきました。この時にウクライナでも大規模なホロコースト
(ウクライナだけで150万人のユダヤ人が虐殺)がおこり、ユダヤ系のゼレンスキーの家族も犠牲になっています。

ゼレンスキーはウクライナ東部で育ち、ロシア語圏であり、ロシアでもコメディアンとして活躍していたという
ことも意外でした。ウクライナ語を話せるようになり、のちに大統領選に立候補します。政治的なコメディを
していたことが批判に変わって行ったようです。

ソ連邦崩壊で直ちに独立を国民投票で決めたウクライナにはチェルノブイリの原発事故の際、情報が開示されなかった
ソ連に対する不信感が募っていたとのこと。何よりも自由と嘘のない世の中を求めていた長い願いがありました。

プーチンがウクライナをナチ呼ばわりするのは見当違いもいいところで、映画「アンナ・ハーレント」で語られたように
ユダヤ人でさえナチに協力した人もいました。現在非人道的なことをしているのはロシアであり、自由にものが言える
社会を目指しているウクライナに支援を差し伸べるのは当然のことと思えます。

第一次世界大戦、ロシア革命から今まで尾を引いている問題で、今起こったことではないので、簡単には片付きそうでは
ありませんが、ロシアが民主化されることを願ってやみません。そしてウクライナも簡単には絶対ひかないことが
この歴史を見るとよくわかりました。

ロシアがウクライナに侵攻してから1年半が過ぎていますが、何も知らなかったと思いました。こういう番組は貴重です。
今の状態だけ知っても歴史を知らないと理解はできないでしょう。

 

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私たちの時代 世界サブカルチャー史 欲望の系譜 日本 逆説の60-90s 60年代 ・・・our bygone days ’60s

2023-09-09 23:59:47 | movie

 玄関を出たら咲いていたコマツナギのような花

今日は高校のクラス会の打ち合わせに開催予定の上野広小路のお店まで出かけました。
昨日の台風が過ぎていてよかったです。幹事長より11月に開催してはどうかの連絡が来て、急遽幹事で
集まり、計画を立てることになりました。

役割分担、開催時期について決めて、私が先生担当になってしまったので、その場でお電話をして日程について
お伺いしました。先生には大変ご無沙汰をしてしまっていたので心配しながらお電話をしたのですが、お元気な声で
11月の土曜日はスケジュールが結構入っていて、同じようにクラス会、そしてなんとサッカー観戦まで。当時若い方の
先生でいらっしゃいましたが、今では私達より元気な印象だった前回のクラス会。

そこで日程は11月18日と決定。場所は上野広小路の梅の花です。他にいい場所がないかとも私個人的には思いましたが、
幹事長が株主になって割引が効くので、それが一番かと。個室は結構埋まっていて2時からなら取れるというので
予約してすべて決まりました。

元年金機構にお勤めだったO君や、製造業のS君、伊豆で旅館をやっていたA君は今では戻ってきて、将来介護も受けられる
マンションに移転。いろいろな話を聞き、また現代の日本の流れやら、気候変動と言うか災害などの話、原発のあの時の
危機感など思い出しながら、将来の日本についても心配しつつ話が広がって行きました。

帰りにS君が同じ名前の西郷さんに会ってから帰るというので一緒に上野の西郷さんの銅像を見て帰りました。そういえば
ちゃんと見たことがない西郷さんでした。

 

これも初めて知りました。なるほど・・

なかなか立派です。

西郷さんってこんな顔をしていたの?
西郷さんは写真をあまり撮らせなかったので、顔がよくわからないそうです。

明治維新の時に江戸で唯一戦場となった広小路あたり。それで西郷さんはここに建っているのね。
寛永寺の門前だったこのあたりには町屋や武家屋敷があったそうです。


 

 

 

 

そこでやっと夏に軽井沢で偶然見たドキュメンタリーを載せることができました。
めちゃくちゃ面白くて、こういう時代を作った流れを別の面から見ることができました。キーワードがすべて自分たちの
時代を思い出させる懐かしいものですが、どうしてこんな国になってしまったのだろうかと言う反省はあります。

あの世界が燃えた60年代、その嵐が消えて残ったものとは・・
でも加賀まりこがクールでとても面白かった。冷静だったのですね。イケイケの雰囲気が嫌でパリに逃げたとか・・
沸騰した東京から逃れた。皆が上を向いている時代は気持ち悪かったと。そのころの主演映画「乾いた花」を紹介していた。
他に岡本喜八監督の「肉弾」は戦後もモヤモヤが残る軍部を描き、美化される神風、特攻精神に反発した。
とにかく一団となって日本は敗戦から出発して、オリンピックを成し遂げた。開高健のオリンピックや東京批 判も鋭かった。

豊かさを目指し失ったもの、高度成長のひずみが出てくる。任侠映画は理不尽を描き、明塚不二夫は高度社会からこぼれ落ちたもの
を、今村昌平も「日本昆虫記」で取りこぼされた日本の歴史を描いたとのこと。

ビートルズの来日からベトナム反戦の時代に。世界で起きた反戦、革命の嵐。文化大革命やアメリカのスチューデントパワー
パリの5月革命、全共闘時代、べ平連などの市民運動、サイケデリック、新宿の文化。大島渚は横尾忠則を起用して「新宿泥棒日記」
を製作。そこで由井正雪と当時の新宿に江戸を重ねたという。大島は一つの時代の精神を描いたが、どこへ行くかは描けなかった
と言うコメント。

60sは日本を問うチャンスだった。三島の勘違い等日本全体が間違えて行く。安田講堂・・
東大入試がなくなった年に庄司薫は「赤ずきんちゃん気をつけて」を書いて、自分の力で知性を育てていくことを伝えた。
知性と言うものはただ自分だけでなく、他の人たちも自由にのびやかにするもの。本当の知性とは何と闘い、何を目指すべき
だったか世界思想として日本は何を言っていくのかを考えること。60年代ではできていなかった課題。

最後に見た第4回はいかにして現代にたどり着いたか・・消費社会の始まりでした。政治から離れた季節。
日本人のアイデンティティはどこにあるのか・・

 

世界サブカルチャー史 欲望の系譜

今を知る為にこそ過去へ飛べ。周縁から見えてくる時代の気分、深層…、逆説の異色戦後史。

シーズン3 (1)日本 逆説の60-90s 60年代 第1回

初回放送日: 2023年8月8日

大反響のシリーズEテレへ。第60回ギャラクシー賞テレビ部門優秀賞受賞シーズン3日本編90分全4回を、30分全12回で。
異色の戦後史が。60年代とは?語り玉木宏。 歴史に埋もれたリアルをさまざまな映像から再発見するシリーズ初回。高度成長の
豊かさが語られる60年代だが、歪みも。大島渚ら若手監督たちが新しい波を起こす。女優・加賀まりこも時代の空気を証言。
松岡正剛も実感を語りつつ、日本のサブカルチャーの特異性を語る。この国の「曲がり角」はどこにあったのか?「青春残酷物語」
「ニッポン無責任時代」…。サブカルチャーという逸脱の精神から見えてくる、戦後日本もう一つの軌跡

シーズン3 (2)日本 逆説の60-90s 60年代 第2回

初回放送日: 2023年8月15日

第2回60年代半ばの日本。高度成長、世紀の祭典…、豊かさの中覆い隠されていた本音は?近代化していく社会に残っていた戦争の影。
異色の教養ドキュメント。語り玉木宏。 64年東京オリンピックは日本の復興を世界に印象づける華やかな祭典だったが、突貫工事での
東京大改造は様々な影ももたらしていた。人々はテレビに娯楽を求め、「夢であいましょう」などバラエティー番組で放送作家たちが大活躍。
笑いの中に隠されていた批評性は?「乾いた花」「にっぽん昆虫記」「肉弾」、近代化による豊かさの中で見失われていたのは?
サブカルチャーという逸脱の精神から見えてくる、戦後日本もう一つの軌跡。

シーズン3 (3)日本 逆説の60-90s 60年代 第3回

初回放送日: 2023年8月22日

第3回60年代終盤。再び政治の季節へ。69年東大安田講堂攻防戦に到るまで若者たちは何に怒っていたのか?この国の曲がり角を
サブカルチャー的に見つめ直す。語り玉木宏 60年代後半は、若者たちの反乱に象徴される闘争の季節。全共闘運動に没入した彼らは
当時人気を呼んだ任侠映画に何を見たのか?アンダーグラウンド演劇のメッセージは?大島渚の予感とは?「昭和残侠伝」「博奕打ち 
総長賭博」「土方巽と日本人」「新宿泥棒日記」。三島由紀夫も絶賛した安田講堂攻防戦の年の芥川賞受賞作が問いかけていたのは?
高度成長と闘争の季節という熱い60年代の実相を考える。戦後日本もう一つの軌跡。

シーズン3 (4)日本 逆説の60-90s 70年代 第1回

初回放送日: 2023年8月29日

70年代前半。日米安保、学園闘争に揺れた60年代が終わり、消費社会が訪れた、日本。時代はモーレツからビューティフルへ。
新時代の日本に待っていたのは?語り玉木宏。 大阪万博、よど号ハイジャック、三島由紀夫自決、光と影が交錯した年から始まった
70年代。「書を捨てよ町へ出よう」「あしたのジョー」日活ロマンポルノ…。闘争の時代の残滓がくすぶる中憂鬱と屈折の中で
サブカルチャーが花開こうとしていた。アンノン族が日本再発見に旅に出る。松岡正剛、林真理子らが社会の空気を証言、そこから
時代を可視化する。サブカルチャーという逸脱の精神から見えてくる、戦後日本のもう一つの軌跡。

シーズン3 (5)日本 逆説の60-90s 70年代 第2回

初回放送日: 2023年9月5日

70年代若者たちは「しらけ世代」と呼ばれるように。「いい学校いい会社」へと受験勉強に勤しむ彼らの本音は?そんな時代に
オカルトブームも。時代の空気は?語り玉木宏。 ノストラダムスの大予言、ユリゲラーの超能力、72年にはあさま山荘事件が起きく
すぶっていた学生運動の熱も急速にさめていく。田中角栄の列島改造論に一時沸いた世論もオイルショックで頓挫、時代の空気は屈折を
抱えこむ。「ゴジラ対へドラ」「仁義なき戦い」「日本沈没」…「結婚しようよ」「神田川」…、夢に向かって直線的には進まない時代、
小さな幸せを求める歌声がヒットソングとなる。70年代の憂鬱が後にもたらすのは?

 

Sep.9 2023 Ueno

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ファントム・スレッド (追記あり)・・・ Phantom Thread 

2023-07-08 23:59:09 | movie

映画は見たけれどメモをまだ作っていないのがスペイン映画のカルメン、ベイビーブローカー、シングルマン
ケイト・ブランシェットのキャロル&ブルー・ジャスミン、コリン・ファースのマジック・イン・ムーンライト&レイルウェイ
今を生きる、ミセスハリス パリへ行く、永遠のマリア・カラス、レ・ミゼラブルとたまってしまっています。

借りていたDVDを見て早く返さなくてはと思い見始めたダニエル・デイ・ルイスのファントム・スレッドがすごすぎて、さすが
この作品を引退作品と選んだダニエル・デイ・ルイスはすごい。若い頃「眺めのいい部屋」で初めて見て、「存在の耐えられない軽さ」
は心に残る映画でダニエル・ディ・ルイスの存在感を示しました。マイレフトフットやディカプリオと共演のギャング映画とかはTVで
少し見ただけでちゃんと見てはいません。
この彼の若いころの代表作「存在の耐えられない軽さ」を思い出させる男と女の愛の不条理と言うか違いを感じる映画でした。

彼が仕事一途ではなく自分とも向き合ってほしいと願う彼女。一時、自分だけのものになってほしいと思い毒をお茶に振り入れる。
それに気が付いてもそれを受け入れる愛を持てるようになった彼。命ギリギリの線の愛情です。とにかくダニエル・デイ・ルイスが
すてきです。これで引退なんてもったいない。でもこの最後を飾れる俳優さんてそんなにいない。

 

また彼女はすべてが彼のルールで進められるハウスや家庭が気に入らなくなってくる。彼は彼女の品のない食事のしかたが
耐えられない・・ 美の極致にいる彼が生活にも求めるもの・・ 男性が求めるもの、女性が求めるもの・・とても考えさせられる
映画でした。

よくよく見なおしてみると、主人公がどうしてこのような孤独のみの自分の世界に入って行ったか興味深いところがあり、結局
古いハウスに新しい風を送ったアルマの勝利のようにも思えます。いろいろな観念に縛られていたレイノルズの呪縛がほどかれて
行くような・・・

映画作品が画面の中のデティールがすべてすてき。家具や食器、インテリア、階段、ファッション、風景・・・
カメラがすごくよくて、付録のメイキングのカメラテストでいろいろなレンズを試したことがよくわかりました。
音楽もまた、ジャズやクラシックも流れるのですが、マイ・フーリッシュ・ハートやフォーレ、ドビュッシー、シューベルト
ブラームス等・・ パーフェクトな感じです。

 

シリルを演じたレスリー・マンヴィルは「ハリス パリに行く」の時の家政婦の愛すべきおばさんを演じた時と正反対の
演技でさすがでした。同じハウスを扱った映画でしたが、ミセス ハリスの時のイザベル・ユベールの立場の役どころ・・


2017年製作/130分/G/アメリカ
原題:Phantom Thread

 

『ファントム・スレッド』90秒予告編

 

キャスト

 

監督・脚本・プロデューサー・撮影
ポール・トーマス・アンダーソン
プロデューサー
ジョアン・セラー
ミーガン・エリソン
ダニエル・ルピ
編集
ディラン・ティチェナー
プロダクションデザイナー
マーク・ティルズリー
美術
デニス・シュネグ
クリス・ピーターズ
アダム・スクワイアーズ
衣装
マーク・ブリッジス
作曲
ジョニー・グリーンウッド

 

 

レイノルズ 結婚で偽りの自分になりたくない
      my time , my house
アルマ   もうゲームは止めて、家もお金もファッションも何もかもすべてあなたのルール。
      自然でまともなものは何もない。

レイノルズ いろいろやりたいことが・・
      日々は無限だと思っていた。多くの過ちを犯してきた。
      気がかりだったことをやらなくては。君なくしてはできない。守ってほしい。
      ゆがんだ心が息を止めないように。変わらない家は死の家だ。
      結婚してくれるか?

静かな死の気配が感じられる、傷ついて、自信を無くしていく彼に寄り添い、彼の愛を取り戻し、
彼女自身も自信をもってドレスを管理し、ホコリや亡霊や時代の流れからハウスを守り抜く決意をするアルマ。
彼女が最初に感じた壁とかすごくよくわかります。

彼が芯地、裏地に隠した心も表現も面白かったです。

 

ファントムスレッド 幽霊の名はエドウィナ

『ファントムスレッド』解説・考察:男は衣服を仕立て、女は幻の糸で男を包み込む


 追記)
映画の中で使われているモノたちはすべてこだわって選び抜かれていある。
お茶の時の、鉄瓶のようなティーポット、この寝室のカーテンも素敵。

壁紙が邪魔になる時は、無地の壁紙で隠したとメーキングで監督が語っていました。

ボビンレースも出てきました。





今度こんな襟を作ってみたい。いつできるようになるのかしら・・・

何度見ても画面の隅々まですてきな映画です。

 

追記の追記

音楽について

‐ファントム・スレッド(ポール・トーマス・アンダーソン2017)
使われたクラシック音楽
 ヴァイル:『闇の女 』より〈私の船〉
 フォーレ:『ドリー』より〈子守歌〉
 ドビュッシー:弦楽四重奏曲第2楽章
 シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番第1楽章Allegro
 ブラームス:ワルツ第11番
 ベルリオーズ:『幻想交響曲』第2楽章〈舞踏会〉
 『スコットランドの勇士』『螢の光』

 

テーマソングも素敵だった。
Phantom Thread - House of Woodcock (Official Audio)

 

ジョニー・グリーンウッド『ファントム・スレッド』 サウンドトラック・スコア ―官能の彼方を見据える音楽

[641]ポール・トーマス・アンダーソン監督作『ファントム・スレッド』におけるジョニー・グリーンウッドの音楽

『ファントム・スレッド』の監督ポール・トーマス・アンダーソンが、同作を観る前に聴くべき23曲として
Spotifyにプレイリストを公開した。

プレイリストに含まれる楽曲は以下。

1. “Blue Sands” – The Chico Hamilton Quintet
2. “Portrait of My Love” – Cyril Ornadel and Starlight Symphony
3. “You’re So Vain” – Carly Simon
4. “Dolly Suite, Op. 56: I. Berceuse” – Gabriel Fauré, Katia Labèque
5. “I’ll Always Be in Love with You” – Helen Forrest
6. “I’m Making Believe” – Ella Fitzgerald and The Ink Spots
7. “Hey, That’s No Way to Say Goodbye” – Roberta Flack
8. “Nobody Does It Better” – Carly Simon
9. “Impression of a Princess” – Danish State Radio Orchestra and Robert Farnon
10. “My Ship” – Oscar Peterson and Nelson Riddle
11. “Razor Love” – Neil Young
12. “Suspicions” – Bernard Herrmann
13. “Thirteen (Alternate Mix)” – Big Star
14. “Coming Around Again” – Carly Simon
15. “Portrait of Jenny” – Oscar Peterson and Nelson Riddle
16. “Two Blind Loves” – Jack Teagarden and his Orchestra, Kitty Kallen
17. “I’m On Fire” – Bruce Springsteen
18. “Three Little Words” – Jack Teagarden and his Orchestra
19. “Stay (feat. Mikky Ekko)” – Rihanna
20. “Lord of the Manor” – The Everly Brothers
21. “Come Sunday” – Oscar Peterson and Nelson Riddle

 

すべてにおいて味わい深い映画でした。

洗練された美術にうっとり!『ファントム・スレッド』特別映像「House Of Woodcock」

 

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黒澤明の「生きる」と「夢」 ・・・ Kurosawa’s "Living” and "Dreams"

2023-06-02 20:05:21 | movie

ここ数カ月で見た黒澤明の代表作2作について

カズオ・イシグロのリメイク版で話題になっているLivingの原作を見たくなりました。

 

4月の初めの頃だったか黒澤明監督の「生きる」を借りてきて観ました。この白黒の映画に
戦後間もない作品にもかかわらず全く古さを感じられず、志村喬の目が訴える迫力に強烈な印象が
焼きついています。日本映画のすばらしさを改めて感じた作品でした。また出演者がすごくて
その後日本を代表する役者さんになった方たちばかりで、その若い時の姿を見ることもできました。

1952年製作/143分/日本
スタッフ
監督:黒澤明
製作:本木荘二郎
脚本:黒澤明、橋本忍小國英雄
撮影:中井朝一
美術:松山崇
キャスト
渡邊勘治:志村喬

時間をつぶしているだけで、生きた時間がない、生きているとは言えない役所での仕事。
無意味な忙しさの中で意欲を亡くしてしまっていた主人公が、自分の人生の残り時間が少ないと知り、
生きることに目覚める。無駄に使った人生を取り戻そうとする。胃がんと宣告された瞬間から
生き始め、自分のやるべきことを見つけてやり遂げ、静かな幸せの中、この世を去っていくという
映画の中に、何もしないことがいいことと言う役所の体質。そこは痛烈な批判がありました。

でもこの映画は志村喬なくてはありえない作品でした。

 

「夢」は直近にマリア・カラスの後で借りた映画です。
以前から見たかった黒澤映画の一つです。遺作かと思ったらそうではないのですね。

 

夢 Dreams
1990年製作/120分/日本・アメリカ合作
監督・脚本 黒澤明
製作 黒澤久雄、井上芳男
衣装  ワダエミ
 
黒澤明監督作品全30作品のうち、28作目にあたる「夢」
 
 
「こんな夢を見た」
夏目漱石の名著『夢十夜』と同じメッセージから始まる黒澤明監督の8話オムニバス形式の映画。数ある黒澤明監督作品の中でも、
映像美にこだわった幻想的な作品で、この『夢』をもって黒澤明の映画が一つの大団円を迎えたと評する映画ファンも多い。
8つの物語は一見、何の関わりもないように思われるかもしれない。しかし、何度か見ていると物語一つ一つに込められた人生や
社会へのメッセージ、そして『夢』全体に込められた黒澤明の人生観・メッセージを感じることができる。“理解”ではなく“感じて”
ほしい映画なのだ。配給権を海外の映画会社が保有しているため、日本での上映が難しい作品だが、美しさにおいて史上最高の映画
と評される名画である。                                         市原栄光堂の商品説明より
 
「日照り雨」(狐の嫁入り)、「桃畑」(お雛様、自然破壊)
「雪あらし」(自然)、「トンネル」(戦争)、「鴉」(ゴッホ・・・芸術)
「赤冨士」(原発)、「鬼哭」(原発・放射能汚染)「水車のある村」(人間、命と自然)
 
滅び行く日本の美、破壊されていく自然、そして核や戦争による滅亡の危機…。これらを回避するには、正義を貫く人間の謙虚な
心しかないという、黒澤明自身の思想を夢という形で巧みに分散させた、真の映画的美しさに満ちた作品である。(的田也寸志)
                                                    アマゾンより

 
 
                       ブログ「遊びをせんとや生まれけむ」より

ゴッホの所でショパンの雨だれが使われているけれど、最初アシュケナージの演奏を使いたかったけれど
許可がおりなかったとのことで、中村紘子さんにお願いしたらと言われてまさか中村さんにアシュケナージを
マネしてくれとは言えないと黒澤が語ったというエピソードが残っていることを知りました。
雨だれは好きで子供の頃少し練習をしていたことがありましたが、ゴッホの絵への追求のバックに、とても力強い曲に
なっていて、ぴったりだったと思いました。

私がこの作品を遺作のように思ったのは、まるで遺書のような作品だったからかしら・・
人間に対する警告。自然と共生し、核や戦争のない世界を願って。

人間が地球を猛毒物質の掃きだめにした。
自然破壊に対する警鐘。

最後の「水車」のロケ地は以前サイトウ記念コンサートで松本に行ったとき、友達と行ったところでした。
その時の子供たちの衣装はボロの展覧会で展示がしてあり、見たものでしたが、素晴らしい衣装です。

 

文明に対する痛烈な批判がここにはありました。

人間は便利なものほどいいと思い、本当にいいものを捨てている。
電気については、夜まで明るくては星が見えないと。

学者の中には自然の心がわからないものが多く、人間を不幸せにしているものを発明している。
自然が失われ、自分たちも滅ぼしていく。いい空気にきれいな水、それを作り出す木や草も失われ
ようとしている。汚された空気や水は人間の心まで影響してしまう。

よく働いて、よく生きて
ご苦労さんと言われて死ぬのはめでたい。
生きているのはいいものだ。おもしろい。

 

 


  

不思議な世界も・・・ そして木を切る人間へのお雛様からの嘆きの声が・・・

苦しい夢もあるが、最後に笠智衆があの調子で出てきて、人生を肯定的に終わらせる最後が
良かった。

タルコフスキーや黒澤が発する声をずっと途絶えさせないように引き継がれてほしい芸術です。

 

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le otto montagne ・・・ 帰れない山

2023-05-31 23:59:19 | movie

5月26日

イタリア語の先生と友達と一緒に見に行こうと話していた映画のスケジュールが合って
同じ日に行くことができました。とてもお得なシネ・スィッチのレディスデイです。
イタリア映画づいています。たまたま「丘の上の本屋さん」を見た時に予告をしていた
「帰れない山」とフランス映画「それでも私は生きて行く」は見てみたいと思っていました。

 

Le otto montagne 2022年 イタリア=ベルギー=フランス 147分 

スタッフ
原作 パオロ・コニェッティ
監督、脚本、共同製作 フェリックス・ヴァン・フルーニンゲン
           シャルロッテ・ファンデルメールシュ
撮影 ルーベン・インペンス

キャスト   ピエトロ ルカ・マリネッリ  ブルーノ アレッサンドロ・ボルギ

自然と呼ぶのは都会人だけ・・と言うブルーノのことばがささりました。
都会で忙しく働くピエトロの父親は山の中で本当の自分らしさをみつけるけれど、山で暮らすブルーノほ
自然と一体になってその厳しさも知り尽くしているから出る言葉だったのかしら。

親に反発して大好きだった父との山の生活を捨てて、自分の居場所を求め続けていたが、父の死後一緒に登った
山々を一人登り、父親のほんとうの気持ちを知り、父の想いが息子に繋がります。
何十年ぶりに会っても変わらない友情、遠く離れていても思いあうことができる友情は素晴らしいと思う。残念なことは
女性より気持ちが理解ができること。ピエトロは自分の場所を求めて世界放浪の旅に出てネパールに居場所を見つけ
作家となり、愛する人にも出会うことができた。一方ブルーノは一人自然の中で暮らし続け、家族は彼のもとを去り
自然の厳しさの中で突然亡くなってしまう。

普遍的なテーマで見終わってからじわっと心の中に波紋が広がって行きました。
さりげく淡々とした映画でしたが、自然と人間、自然と都会、親子の絆、自分の居場所、友情など普遍的なテーマは重厚で
考えさせられる映画でした。

原タイトルが8つの山でそれがどうつながっていくのか見ていたのだけど、途中でネパールから戻ったピエトロが語るのが
仏教などの世界観にある8つの山の話。

8つの山 真ん中にあるのが須弥山 
8つの山をめぐるピエトロと、中央の山から出ないブルーノの二つの生き方

8つの山とは?(THE EIGHT MOUNTAINS)

世界の中心には最も高い山、須弥山(スメール山、しゅみせん)があり、その周りを海、そして 8 つの山に囲まれている。
8つの山すべてに登った者と、須弥山に登った者、どちらがより多くのことを学んだのでしょうか。

※古代インドの世界観で、世界の中心にそびえる聖なる山。仏教、バラモン教、ジャイナ教、ヒンドゥー教にも共有されて
いる概念。ピエトロはネパールでこの話を知り、ブルーノに伝える。

共有する思い出も一人が欠けたら消えてしまうという言葉が悲しい。「帰れない山」と言う日本語タイトルはもう戻れない世界
と言う意味をあらわしているのだろう。

小説の方も読んでみたくなるような作品でした。最近ダンテの「神曲」にも興味がわいてきて、やりたいことが多くて
どうしたらいいのかわからないくらい。それでも何でも少しずつしか進まない私はやっと仏教関係の古典を読み終わり
なんて仏教って難しいのだと思ったところです。

 

映画『帰れない山』予告編

 

 

『帰れない山』フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン&シャルロッテ・ファンデルメールシュ監督 大きな世界に存在すること【Director’s Interview Vol.310】

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私はマリア・カラス ・・・ Maria by Callas

2023-05-07 22:29:26 | movie

 

マリア・カラスの生涯をマリアのインタビューとカラスの歌声で綴った真実のドキュメンタリー
のインパクトが強烈でした。天才の彼女の内側にいる普通の一人の女性。音楽に対するひたむきな努力など
思っていたイメージとは全く違うチャーミングな女性がいました。アルゲリッチのドキュメンタリーもそうだったけど
雲の上の人のようなアーティストの真実を垣間見るととても親近感を覚えます。
それにしてもあの歌声には魅了されます。
今までもよくYouTubeで聴いていたけれど、こうやって彼女の生きざまに沿って歌が流れると、歌の中に
彼女の思いが込められていることがよくわかります。監督のトム・ヴォルフの構成のすばらしさと彼女への愛にあふれた
映画に今さらですが、感激しました。公開されたとき少し見たいと思っていた映画でもありました。
一番心惹かれたのはアリストとの愛を友愛にまで高めてお互いに尊敬しあい、生涯の友人であり続けたことです。

 

映画『私は、マリア・カラス』予告編

 

 

2017年製作/114分/G/フランス
原題:Maria by Callas
配給:ギャガ

 

あらすじ
音楽史に永遠に輝く才能と絶賛されたオペラ歌手、マリア・カラス。ドラマティックな人生は幾度か映画化されたが、没後
40年にして初めて彼女の未完の自叙伝が紐解かれる。映像作家トム・ヴォルフは3年に渡る〈真のマリア・カラスを探す旅〉で
その自叙伝やこれまで封印されてきたプライベートな手紙、秘蔵映像を入手し、映画化にこぎつけた。
そこで描かれるのは「誰も知らない」マリア・カラス。スキャンダルやバッシングの嵐の中、プロフェッショナルとしての信念に
倒れても歌うことを諦めなかった壮絶な"カラス"と、ひとりの女性として愛を切望し、千々に心乱され苦悩しながらも、全てを
受け入れようと変化していく"マリア"の姿があった―。
 
 
出演:マリア・カラス (アーカイヴ映像) 
   ヴィットリオ・デ・シーカ、アリストテレス・オナシス、ピエロ・パオロ・パゾリーニ、ルキノ・ヴィスコンティ 他
朗読:ファニー・アルダン
 
 
映画の中で語られた音楽を追求する姿と一人の女性として愛し、傷つき、立ち直っていく姿をメモしました。
 
ホフマンは語った
ことばが止んだ時、音楽が始まる
壮大で深遠な音楽は、言葉では表現しきれない
私達は音楽に奉仕し、謙虚に向き合うべきだ
私が歌うのはプライドのためではなく
調和に満ちた天上の音楽に到達するためである
                  マリア・カラス
 
カラスの歌う、プッチーニ蝶々夫人から「なんて美しい朝」、椿姫から「さよなら過ぎ去った日々よ」
は本当に素晴らしく聴き入ってしまいました。カラスの歌にマリアが見えてきます。
 
不幸な結婚生活の中、アリストテレス・オナシスと出会います。早いうちからオナシスは最高の友で
生涯の友と語っています。しかし彼女は芸術家は幸せにはなれないとも。
 
彼女は自分のことをごく普通の1人の女性と語ります。私生活の「私」と舞台の「私」は完全に別人だが
イコールともいえる。精神的にはどっちも私だから、どっちも私の一部。内気な一人の女性は今まで抱いていた
カラスのイメージとは全く違うものでした。
 
音楽については成長もするが、歌心を感じてほしいと。自分のうちから湧き出る音楽を聴いてほしい。
家庭には恵まれなかったが、歌えることは幸せ。オペラは彼女にとって不可欠で自己表現の一つ、いわば
私の宇宙そのものと語るカラス。高みに登った気持ちになれ、観客にも届いてほしい酔わせるような幻想。
 
不調が続いてもアリストが支えていましたが、彼女は出会って8年目で愛の告白をしています。
出会いを神に感謝。永遠に一緒にいたい。あなたの愛と敬愛が必要。私の命、心、誇り、愛。
自尊心が強いけれど、もろくて傷ついた女。でも私だけが枯れない愛を与えられる。それを忘れず
やさしいあなたでいて。 あなたの魂、マリアより
 
この願いに反して、オナシスはジャッキーと結婚をしてしまいますが、このことは私もよく覚えています。
新聞でこのことを知ったマリアの気持ちは想像できないほどです。9年間も愛をはぐくんできて、お互いの
離婚が成立したら、結婚する予定だったとも言われています。なんというか実業家としてのオナシスの選ぶ
結婚とは何なのかと思ってしまいました。またジャッキーはケネディとの結婚も不幸だったし、その後も
自分を庇護してくれる人を必要としていたとか。
音楽的にも不調だったマリアはパゾリーニのオファーを受けて「王女メディア」に女優として出演します。
この映画は若いころ見て、よく覚えています。おぞましく激しい役でした。
 
この結婚の間違いにすぐオナシス氏も気が付いて、マリアの「今に私を必要とする」の言葉通り、よりを戻す
オナシス。よりを戻し、自尊心を取り戻し、物事を客観的に見れるようになったと語るマリア。オナシスは
この結婚は間違いだったと語り、責任は妻ではなく、自分に全部あるとマリアに話しています。
その後2人の間に新しい友情が生まれ、とても情熱的な友情だったがけんかをしなくなり、建設的な会話を
かわすようになったとのことです。長々と無駄な議論をするのも止めたと。お互いに自己主張する必要が
なくなったとか。「彼との愛人関係は失敗だったが、友情の点では成功した。第二の男で、大切な人。私を
受け入れてくれる本物の男を望む。彼と出会い歌を捨ててもいいと思った。女性にとって大切なことは運命の
男性を幸せにすること。その愛は高くつく。本当の真心は高くて贅沢。」
オナシス氏は倒れ、死の床にあった彼を訪れたマリアに傷つけたこともあったが自分なりに最善を尽くし愛した
と伝えました。
最後から2番目に流れたジョルダーノのアンドレア・ジェニエの「母が死んだ」が彼女の気持ちそのものでした。
「あなたはひとりではない、私は愛、私は命、私の瞳の中にあなたの天国がある。もう一度生きるのです。あなたに
先立ち、支えて導こう。微笑みなさい。希望を持つのです。」
 
最後まで舞台への夢を持ち続け、練習を重ねていましたが、突然の心臓発作でパリで亡くなりました。53歳と言う
若さでした。
 
最後に流れていた「私のお父様」もピュアな感じがしてとても素敵でした。役どころではお父さんを脅かすような
所もありますが、清らかな歌に聞こえます。
 
後半は一気にオナシス氏との愛・友情の話になりましたが、彼女の真摯な音楽に対する思いがよくわかる彼女の
実態に迫ったいい映画でした。今さらですが、彼女の歌本当に素晴らしい表現力です。
 
Casta Diva を今まではずっと聴いていましたが、カルメンのハバネラもこの映画の中で歌われたすべての曲が素晴らし
かったです。カラスはベッリーニが好きだと話していました。
 
 
 
 
追記)
映画の中で歌われた曲
プッチーニ/蝶々夫人「なんて美しい空!」
ヴェルディ/シチリアの晩鐘「ありがとう、愛する友よ」
ベッリーニ/ノルマ「清らかな女神よ」
ヴェルディ/椿姫「さようなら、過ぎ去った日々よ」
ヴェルディ/マクベス「早く来て、明かりを
ビゼー/カルメン「ハバネラ」
マスカーニ/カヴァレリア・ルスティカーナ「ママも知るとおり」
プッチーニ/トスカ「歌に生き、恋に生き」
ベッリーニ/夢遊病の娘「おお花よ、お前がこんなに早く萎んでしまうとは」
ジョルダーノ/アンドレア・シェニエ「母が死に」
プッチーニ/ジャンニ・スキッキ「私のお父さん」

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丘の上の本屋さん ・・・ II DIRITTO ALLA FELICITA 

2023-04-29 23:45:06 | movie

5月4日に最終を迎えるイタリア映画を銀座のミニシアターに見に行きました。イタリア語の先生と
この映画を見たA子さんからもおすすめがあり、連休はイタリア映画を見に行こうかと・・
銀座は数年ぶりに見る多くの観光客でにぎわいを見せていました。地下鉄もまるでラッシュアワーでした。
昔の光景が戻ってきました。

 

 

 

II DIRITTO ALLA FELICITA

2023年3月3日(金)公開 / 上映時間:84分 / 製作:2021年(伊)

スタッフ
監督・脚本:クラウディオ・ロッシ・マッシミ
撮影:ジャンルカ・ガルッチ

キャスト 
リベロ:レモ・ジローネ
ニコラ:コッラード・フォルトゥーナ
エシエン:ディディー・ローレンツ・チュンブ
収集家:モーニ・オヴァディア

 

この映画の最初にユニセフに捧げると出てきたので、何かあるなと思っていましたが、最後にやられました。
もしまだご覧になっていなくてこれから見る予定がある方はネタバレになるので、これから先は読まないで
くださいね。

私はLiberoまさに自由と言う名前の店主が最後にエシエンに渡した本に不意を突かれて、涙が出そうになりました。
今朝ニュースでまたウクライナのあちこちでロシアからの攻撃を受けて、市民が殺されたことを見たあとだったから
かもしれません。

移民のエシエンに本を読む楽しさを教えて、それも徐々に考えるような作品になって行くところもこちら側も
ワクワク感がありました。私が最も好きな作家に入るサン・テクジュペリやメルヴィルやジャック・ロンドンまで
出てくるのねなんて思いながら本を読む楽しさを思い出していました。今の子供たちや大人も本を読まなくなったと思い
危惧していて、電子媒体ばかりの世の中でいいのだろうかと思っている現代です。監督も紙に印刷された本の大切さと
その感覚を思い出してほしいとインタヴューで語っていました。私も最近少しずつですが、本を読む時間が増えてきました。
(ChatGPTに前向きな政府もとんでもないと思うこの頃です。日本はITの遅れを取り戻そうとしているとか・・)

本屋さんに出入りする人たちとのそれぞれに対する対応もおもしろく、Liberoが自分の人生と重ねるように読む
日記もどこかミステリアスでした。

最後に移民のエシエンに渡した本はなんと「世界人権宣言」だったのです。そして亡くなったときに用意していた手紙に
自由で幸せになる権利がみんなにあると書かれていたところに涙がたまってきてしまいました。映画のタイトルが日本語と
イタリア語で全然違っていたことに最初に気づくべきでした。

1948年12月10日 第3回国連総会で採択
第1条
 すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを
授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。

クラウディオ・ロッシ・マッシミ監督のメッセージ
私は本作を通して人と人の間にある、本当に大事なことは何なのか、愛とは何なのかを伝えたいと思います。

久しぶりに映画が終わってからすぐ立ち上がれない映画を見ました。イタリアってこういう映画が作れるのだと
驚きます。今こそ見るべき映画だと思いました。

1948年にこんなに立派な宣言が国際的にあるのに、この現代はなんと自由や人権が踏みにじられているのだろうと
もう一度宣言を出してもいいくらいだと思いました。

だれもが幸福になる権利を持つという言葉にあふれそうになる涙を抑えるのがたいへんでした。クレジットが
すごく長くてよかった。

映画を見たあと、混雑する銀座の中では静かになれる教文館のカフェで
少し気持ちを整えてから家に帰りました。

 

April 29  2023  Ginza

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Piotr Anderszewski plays the Diavelli Variations

2023-04-10 11:59:47 | movie

アンデルシェフスキーのドキュメンタリ、ディアベッリ変奏曲は2月の末から3月初めにかけて何回も見ました。
コンサートでもずいぶん前に聴いていた曲でした。

ベートーヴェンと言う大きな山に挑んだアンデルシェフスキの苦悩と喜びが描かれていました。ピアニストが言葉で
音楽を語り、メイキングを見せてくれるのは珍しいことだと思います。一つの作品を作り上げていくことの
大変さをあらためて思いました。

 

アンデルジェフスキ / ベートーヴェン:ディアベリ変奏曲 Op.120
ピョートル・アンデルジェフスキ(ピアノ)
監督:ブルーノ・モンサンジョン


グールド、リヒテル、ソコロフ、そしてアンデルジェフスキ!
著名な映像プロデューサー、モンサンジョンが認めた注目の俊英ピアニスト!
 ヨーロッパで今最も注目を集めているワルシャワ生まれのピアニスト、ピョートル・アンデルジェフスキ。その名前は
日本ではまだ浸透していないようだが、いずれその実力にふさわしい評価をされる日も遠からず来るに違いない。
 彼を一躍有名にしたのは90年のリーズ国際コンクール。そこで当時20歳の若者は、誰もが尻込みしたくなるような
ベートーヴェンの《ディアベリ変奏曲》を鮮やかに弾いてみせ、絶賛を博したにもかかわらず、「納得のいく演奏ができない」
と本選をすっぱり辞退、聴衆と批評家を驚かせた。そして翌年、ロンドンでリサイタル・デビュー。その時のプログラムも
やはり《ディアベリ》だった。以後彼は同じ曲を弾き続け、ついに2000年に録音。このディスク〔VIRGIN/5454682〕は数々
の賞を受けている。
《ディアベリ》はベートーヴェンの作品中、最も内省的でとらえどころのない難曲といわれるが、アンデルジェフキは
そういう意見に対して「No(ノー)」と言う。彼は各変奏の特性をじっくりと吟味し、明確なダイナミズムによってめりはり
をつけ、緩急はっきりしたテンポで演奏する。そうすることで、茫漠とした印象の先行しがちなこの大曲が、一本の線を持った
ドラマであることを明示してみせたのだ。こんなに画期的な音楽の冒険、なかなか体験できるものではない。
 今回ご紹介するフィルムは、グールドやリヒテルなどの映像作品を手がけたことで知られるブリュノ・モンサンジョンが
《ディアベリ》の録音現場を撮ったものである。カメラはアンデルジェフスキの手の動きから表情まで克明にとらえており
類い稀なる演奏の生まれる瞬間をあまさず私たちに見せてくれる。なお、本編前半にはモンサンジョンとの対話も収録。
CDと併せて揃えておきたいアイテムである。(阿部十三)

 

BEETHOVEN DIABELLI VARIATIONS (ANDERSZEWSKI)

 

ベートーヴェンの荘厳ミサ曲を知ってから開眼して弾きたくなった曲。上に上がって行き、美しい世界が展開され、再び
戻ってきて、世界を落ち着かせる。
全体が旅で、いろいろな風景に出会える曲。近寄りがたい作品だと言われるが、そうではない・・・とのメッセージが
ありました。

 

ディアベッリ変奏曲について
もとになっているのはA.ディアベッリによるワルツです。彼のワルツを広めるため、変奏曲を公募して、
それが創作欲を湧き立たせたのでしょう。
変奏曲ではないのです。一般的には「変奏曲」とよばれます。
しかし実際には「変容」なのです。

ベートーヴェンの作曲
核が非常にシンプルで小さいのです。それが大きなスケールを持つマスターピースへと
形を変えます。”ベートーヴェン主義”の精髄とも言えます。

 

ディアベッリの主題が変貌を遂げるのです。一つの種子が分裂し変容を繰り返し、痛みを伴い
生まれ変わり、ベートーヴェンのこだわりが感じられる曲です。
音楽表現の可能性を極限まで追求しているのです。
まず独特のユーモアがあり、豊かな機知とアイロニーが感じられます。
ドン・ジョバンニのパラフレーズもあります。この曲の持つ無限の深さを感じます。

第20変奏では、奥深い探求の極限に至る感があります。

第24変奏の「フゲッタ」では至福の静寂が広がり、心が解きほぐされ、再び美が展開するのです。
別の言葉を使うならば「凝縮性」と言えます。

感情の凝縮と素晴らしいハーモニーの凝縮は変わり続けます。
いくつもの違うステージを進みながら、音楽は少しずつ形を変えていきます。
時には急激な変化などもあり、言わば望遠レンズのズームです。
まるで光のようなスピードで進んでいくのです。

荘厳ミサ曲との共通点など
この変奏曲をひき始めたのは、ベートーヴェンの「荘厳ミサ曲」を知ってからで、
開眼した曲です。
この曲は少しずつ明るさを含んでいきます。先へと進みながら、上へ下へと起伏があり、
最後には元の場所へと戻ってくる構造です。
そして二つの要素が激しくせめぎあいます。どっしりと落ち着いた部分を上への力を感じる部分が
もがくような。この変奏曲と「荘厳ミサ曲」との共通点とも言えます。

近寄りがたい作品だと言われます。演奏家にとっても、聴衆の立場からも。
だがそうじゃない。曲全体が旅なのです。

電車の旅をしていると想像してみてください。いろいろな風景に出会います。そして長い道のりを行き、
旅路が終わるころにはその道のりがとてつもなく壮大なロマンと化しているんだ。
とても価値のある上等な旅だと思うね。
出会いの旅だ。

 

 

 

 

この上等な旅を終えたアンデルシェフスキのことばをメモしました。
彼の演奏にはその思いがあるからこそ、観客に伝わることがわかりました。聞いていて感じることが
演奏者が感じることと同じことが分かったことがとてもよくわかり、観客より、まず演奏者が曲に
すごく感動しているのがわかりました。曲は上手に弾くことではなく、感動をどう伝えるかなのですね。

 

Piotr Anderszewski plays Beethoven Diabelli Variations, Op.120 (live 2018)

 

 

 

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『蜜蜂と遠雷』 ・・・ Honeybees and Distant Thunder

2023-04-07 23:55:31 | movie

なぜこの映画を借りてみたのかと言うとピアノ演奏を河村尚子さんが実際に演奏、他に藤田真央という若手で注目の
ピアニストが演奏していたからです。

蜜蜂と遠雷  2019年/日本/118分
原作:恩田陸「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎刊)/ 松岡茉優 松坂桃李 森崎ウィン 鈴鹿央士(新人)
監督・脚本・編集:石川慶 / 配給:東宝©2019映画「蜜蜂と遠雷」製作委員会

素晴らしい俳優さんたちを使っているのに、心の動きや人物像を深く描かけなかった残念な映画でした。音楽だけは
迫力がありましたが、俳優さんたちに弾く真似だけさせた時間が長くて・・・ 

唯一感動したのは風間塵が「一緒に音を外に連れ出してくれる人を探しなさい」と師にいわれていて「やっとみつけたよ」
とキラキラした目で喜びを表したところと栄伝亜夜が音楽の世界にとどまるきっかけを見出したところです。

 

 

映画『蜜蜂と遠雷』予告【10月4日(金)公開】

 

 

 

|ピアニスト プロフィール&コメント|

<河村尚子>

ミュンヘン国際コンクール第2位、クララ・ハスキル国際コンクール優勝。ドイツを拠点に、リサイタルのほか、
ウィーン響、バイエルン放送響等にソリストとして迎えられ、日本でもヤノフスキ指揮ベルリン放送響、
ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル等のツアーに参加。文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞等、受賞多数。
CDは「ショパン:24の前奏曲&幻想ポロネーズ」など(RCA Red Seal)。現在ドイツ・フォルクヴァング芸術大学教授。

 

■コメント

恩田陸さんは、演奏家がピアノに向かうまでの心の機微、不可思議で魔法のようなピアノ音楽の姿を、リアルかつ
細やかに描かれています。映像と音を伴うことで、音楽を志す若者たちの熱い精神がより鮮やかに伝わりますように!

 

<福間洸太朗>

パリ国立高等音楽院、ベルリン芸術大学にて学ぶ。20歳でクリーヴランド国際コンクール優勝。カーネギーホール、
ベルリンコンツェルトハウス、サントリーホールでリサイタル他、クリーヴランド管、モスクワフィル、イスラエルフィル、
NHK交響楽団などと共演、一流フィギュアスケーターやバレエダンサーとの共演など幅広く活動する。CDは10枚以上リリース。
テレビ朝日系「徹子の部屋」や「題名のない音楽会」などにも出演。

 

■コメント

このプロジェクトに参加させていただき、大変光栄です。録音前に小説を読み返し、家庭を持つ社会人としてコンクールに
挑戦する高島明石の音を追求してみました。聴く人へ勇気と癒しを与えることが、明石と私の願いです。

 

 

<金子三勇士>

1989年、日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれる。6歳で単身ハンガリーに渡りバルトーク音楽小学校に入学。
2001年、11歳でハンガリー国立リスト音楽院大学(特別才能育成コース)に入学し、2006年に全課程取得とともに帰国、
東京音楽大学付属高等学校に編入する。同大学、大学院を修了。2008年バルトーク国際ピアノコンクール優勝の他、
数々のコンクールで優勝。第22回出光音楽賞他を受賞。スタインウェイ・アーティスト。

 

■コメント

国際コンクールの本選には、まず選ばない難曲をあえてぶつけてきたマサル。彼に同化して弾いたプロコフィエフの協奏曲が
どのような映像作品に昇華したのか、一番楽しみにしている一人です。

 

<藤田真央>

2017年弱冠18歳で第27回クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝し、世界の注目を浴びる。2018年には、
ルール音楽祭でリサイタルを行った他、ヴェルビエ音楽祭にアカデミー生として参加。スイス、並びにパリのルイ
ヴィトン財団主催New Generationシリーズに招かれた。今シーズンもオーケストラと共演を重ねる他、10月には
紀尾井ホールでのリサイタルなどを予定している。現在、20歳。特別特待奨学生として東京音楽大学2年 ピアノ演奏家
コース・エクセレンスに在学中。

 

■コメント

「蜜蜂と遠雷」は、発売されてすぐに読みました。音楽を文章でここまで表現できるものなのかと、とても感動しました。
今回担当させていただいた風間塵くんのように、私も“音楽の神様”に愛されるピアニストであり続けたいです。

 

 

|オリジナル楽曲「春と修羅」 作曲家 プロフィール&コメント|

<藤倉大>

1977年大阪生まれ。15歳で渡英しジョージ・ベンジャミンらに師事。ザルツブルク音楽祭、BBCプロムス、シカゴ響
などから作品を委嘱され、国際的な共同委嘱もますます増えている。2019年はオペラ〈ソラリス〉組曲版世界初演、
アーティスティック・ディレクターを務める新しい音のフェス「ボンクリ2019」などが控える。2017年ヴェネツィア
ビエンナーレ音楽部門銀獅子賞受賞。録音多数。Minabel Recordsを主宰。

 

■コメント

この度は「蜜蜂と遠雷」に出てくる架空の作曲家の作品の作曲をすることができ、その上に4人の全く違う今をときめく
ピアニストに演奏していただき大変嬉しいです。原作の著者恩田陸さんはこの架空の作品の描写を長く詳しく書いており、
その表現全てを実際に反映し、なおかつ僕の音楽になっていて、一人一人のピアニストの個性がバッチリ出る曲、と言う
ものを目指しました。映画を観るのが待ち遠しいです。

映画「蜜蜂と遠雷」 最高峰のピアニスト達による映画史上最も至極で贅沢な“音”が鳴り響く!!  

 

私は再び庄司紗矢香さんがFBで紹介してくれた美しい文章を思い出しました。

 

“Une rencontre cependant est plus qu’une addition des choses. Comme une mélodie qui, n’étant nullement
une accumulation de notes, est formée de la consonance entre les notes
‘Je cherche les notes qui s’aiment’, disait Mozart. ”  ~ F.Chen (S)

「夕陽の美しさはまさに、これらの要素の出会いの中にあるのです。
出会いとはしかし、物事を足していった総和以上のものです。
ちょうどメロディが決して音符を積み重ねただけのものではなく、音符の間の調和からできている様に ー 
“ぼくは愛し合う音符を探しています” とモーツァルトは言っていました。」
〜 F.チェン「美についての五つの瞑想」より(S)
 
 
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『未来よ こんにちは』・・・L'avenir

2023-04-06 11:57:15 | movie

ずいぶんと前に文化村に映画を見に行ったとき、”David Bowie is”が2017年だからその時だったか、この映画を見たい
と思ったことがありました。しっかりチラシを持って帰っていたけれどそのままになっていました。最近イザベル
ユペールの映画を借りて、この映画のことを思い出しました。

彼女のために作られた映画のようですが、音楽や映画の作り込みがとてもよくできていました。折々に出てくる哲学書の
言葉なども良かったし、少しドイツっぽいところもあったかもしませんが、何より考えることの大切さを知っている国民の
映画でした。高校の哲学の授業の生徒に考えさせる授業は私たちも昔はそれに近い授業でしたが、今でもフリーディスカッション
で意見を述べ合う授業があるのかしらと思ったりしました。型にはまらない思考を尊ぶフランス。

母親の死とか、夫の浮気とか、出版関係から外されたり、ラディカルな教え子からの批判・・ いろいろなことがおこるけど
淡々と進むストーリー。孫の誕生にあとへ続く救いがあったような・・・

 

『未来よ こんにちは』予告編

2016年製作/102分/PG12/フランス・ドイツ合作
原題:L'avenir

監督:ミア・ハンセン=ラブ
脚本:ミア・ハンセン=ラブ
出演:イザベル・ユペール、アンドレ・マルコン、ロマン・コリンカ、エディット・スコブ

2016 年/フランス/102分/原題:L’Avenir/英題:Things to Come/PG12

©2016 CG Cinéma · Arte France Cinéma · DetailFilm · Rhône-Alpes Cinéma

パリの高校で哲学を教えているナタリーは、教師の夫と暮らし、充実した人生を送っていた。ところがある日、夫からは離婚
を切り出され、そして年老いた母も他界。ナタリーは自分の人生をあらためて見出していく。第66回ベルリン国際映画祭で銀熊賞
受賞。「最初はただ美しい映画を観ているつもりでも、最後には飾らない美しさ、決して圧倒されることのない複雑さ、そして
自分を高めてくれる意味の豊かさに圧倒されることになる」。(セルジュ・カガンスキー、「レザンロキュプティーブル」誌)

                                              東京日仏学院HPより

 

 

 

 

確か自殺した母親の葬儀で読んだと思うパンセ。

パスカル パンセ 229

自然の中に神の印を見なかったら、私は神を否定しただろう。
至るところに創造主の印を見たら、信仰に安住しただろう。
だがどちらの印も見えない状況で、私は憐れむべき存在だ。
もし神が自然を支えるなら、自然が神を示すことを、
自然の与える印が偽りなら、示さぬことを、
進むべき道をすべて語るか、何も語らぬようにと願った。

だが私は自分の正体も、何をすべきかも知らず、自分の状態も義務も知らない。
私の心は真の善に従うため、それへと向かっている。
永遠を得るには安いものだ。

 

何か心にすとんと落ちたジャン・ジャック・ルソーを高校の授業で語るシーン。

ジュリまたは新エロイーズ ジャン・ジャック・ルソー

人は欲望があれば幸福でなくとも、期待で生きられます。
幸福が来なければ、希望は伸び、幻想の魅力が情熱の限り続くのです。
かくて、その状態を充足し、不安感が一種の歓びとなり
現実を補い、現実以上の価値となります。

何も望まぬ人は不幸です。所有する一切を失うと同じ。
幸福を手に入れる前こそが幸福なのです。

愛する人の不在を補うために
非現実的だけど効果的で純粋なる心の歓びを見出そうとする
ジュリーやルソーのように想像力に富む人は幻の満足感から
肉体の歓びに代わるほどの真の慰めを得られるのです。

 

音楽がどれも素晴らしかったです。

Auf dem Wasser zu Singen by Schubert

シューベルトの歌曲「水の上で歌う

水の上で歌う(Auf dem Wasser zu singen)
作詞:シュトルベルク(Friedrich Leopold zu Stolberg-Stolberg/1750–1819)

波の上 きらめく光
白鳥のように小舟は揺れ行く
喜びに波は穏やかにきらめき
私の心も小船に乗せて
波間に降り注ぐ天からの光
船のまわりで夕陽は踊る

西の木立の上から
夕陽が優しく微笑み
東の木立の下では
夕陽の中で葦がそよぐ
天の喜びと木立の静寂
夕焼けに心安らぐ

露にぬれた翼 揺れる波 時は過ぎ行き
きらめく翼 朝も過ぎ行く
昨日も今日も 時は去り行く
私もいつか輝く翼で舞い上がり
変わりゆく時へ己を消し去る時まで

 

Donovan - Deep Peace

 

Deep peace of the running wave to you
Deep peace of the flowing air to you
Deep peace of the quiet earth to you
Deep peace deep peace
Deep peace of the sleeping stones to you
Deep peace of the wandering wind to you
Deep peace of the flock of stars to you
Deep peace deep peace
Deep peace of the eastern wind to you
Deep peace of the westeren wind to you
Deep peace of the northern wind to you
Blue wind of the south to you
Pure red of the whirling flame to you
Pure white of the silver moon to you
Pure green of the emerald grass to you
Deep peace deep peace

 

Unchained Melody (Remastered)

 

 

「未来よ こんにちは」:後戻りできない時間の中で数々の人生の困難に直面する一人の女性の姿を、日常を通して深く洞察する人間ドラマ

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