Reflections

時のかけらたち

ハンナ・アーレント ・・・ Hannah Arendt

2023-04-03 23:55:11 | movie

重たい映画でしたが、見ごたえありました。
昨年11月19日ころ見たらしいのですが、いつかまとめなければいけないと思いながら、タブにずっと明星大学の
服部裕教授の記事を置いたままにしておいたのですが、瞬間で消えてしまって再度読み込むともうその記事は
削除されていました。

民族と人間~映画『ハンナ・アーレント』鑑賞雑感

【Vol.81】 2014.5 服部 裕 ... この映画は、ユダヤ人哲学者ハンナアーレント(1906年~1975年)がイスラエルで
行われたアイヒマン裁判(1961年4 ...
 
というものでしたが、もう一度読んでからまとめておきたいと思っていたものでした。
それで今のうちにまとめないともうできないような気がして、改めて検索して言葉を集めたりしました。
PCを自分の記憶装置のように使うのはよくないと思いました。自分の頭の中にしまわなければ、頭の中は
空っぽになってしまうでしょう。
 
ハンナ・アーレント アメリカに亡命したユダヤ系ドイツ人哲学者がイスラエルでのアイヒマン裁判の
レポートをニュー・ヨーカー誌に発表。今のロシアの侵攻も戦争裁判になったら個人が裁かれるのだろうかと
思ってしまうのだけど、戦争を起こした国の指導者でもなければ、それを黙視した普通の人々にこそ悪が
あるということなのだろうか・・ 戦争犯罪で裁かれるのはだれかとかアイヒマンがユダヤ人に確保され
イスラエルで裁判を行ったことにも問題はあるかと思うけどそこには集中させず、一人一人がこれから
どう立ち向かうべきかの考察になっていて、よくまとめられた映画でした。
 
自ら強制収容所での経験もあるハンナの冷静な判断に驚くばかりです。
自分で考えることの大切さを伝える映画でした。人類を破滅から救うのは考える力です。
 
誰からも敬愛される高名な哲学者から一転、世界中から激しいバッシングを浴びた女性がいる。彼女の名は
ハンナ・アーレント、第2次世界大戦中にナチスの強制収容所から脱出し、アメリカへ亡命したドイツ系ユダヤ人。

1960年代初頭、何百万ものユダヤ人を収容所へ移送したナチス戦犯アドルフ・アイヒマンが、逃亡先で逮捕された。
アーレントは、イスラエルで行われた歴史的裁判に立ち会い、ザ・ニューヨーカー誌にレポートを発表、その衝撃的な
内容に世論は揺れる…。

「考えることで、人間は強くなる」という信念のもと、世間から激しい非難を浴びて思い悩みながらも、アイヒマンの
<悪の凡庸さ>を主張し続けたアーレント。歴史にその名を刻み、波乱に満ちた人生を実話に基づいて映画化、半世紀を
超えてアーレントが本当に伝えたかった<真実>が、今明かされる─。
 
 
 

映画『ハンナ・アーレント』予告編

 

「(アイヒマンを)罰するという選択肢も、許す選択肢もない。彼は検察に反論しました。『自発的に行ったことは何もない。
善悪を問わず、自分の意志は介在しない。命令に従っただけなのだ』と。世界最大の悪は、平凡な人間が行う悪なのです。
そんな人には動機もなく、信念も邪推も悪魔的な意図もない。(彼のような犯罪者は)人間であることを拒絶した者なのです」

「アイヒマンは、人間の大切な質を放棄しました。思考する能力です。その結果、モラルまで判断不能となった。思考が
できなくなると、平凡な人間が残虐行為に走るのです。〝思考の嵐〟がもたらすのは、善悪を区別する能力であり、美醜を
見分ける力です。私が望むのは、考えることで人間が強くなることです。危機的状況にあっても、考え抜くことで破滅に
至らぬように」

 
 
 

~状況に流されず自ら考えることの大切さ~

 1960年,元ナチス親衛隊のアイヒマンがイスラエルの諜報機関に捕まる。彼は,多数のユダヤ人を強制収容所に移送
する責任者だった。翌年,米国在住のドイツ系ユダヤ人で哲学者のハンナ・アーレント(1906~1975)がイスラエルに
渡航する。人道に対する罪に問われたアイヒマンの裁判を傍聴するために。彼女は,ホロコーストの原因を哲学的に追究し
1963年にレポートをニューヨーカー誌に発表するが,その反響は凄まじいものだった。

 ハンナは,人間はなぜこのような残虐なことができるのかを考える。裁判シーンでは実際のアイヒマンの言動が記録され
た映像が使われている。彼は,根源的な悪ではなく,上官の命令を忠実に遂行しただけで,自ら考える意思を持たなかった。
ハンナは,実験により証明されて今では周知の“悪の凡庸さ”を指摘したが,その時期が早すぎた。更にユダヤ人指導者がナチス
に協力したと指摘し,ユダヤ人を裏切ったナチス擁護者と非難される。

 彼女は,自らも収容所から逃げ延びた厳しい経験をしたが,感情に流されず論理的に考察した結果を発表した。それが家族
を殺され何とか生き残ったユダヤ人の心情を逆撫でしてバッシングを受ける。民族(ユダヤ人)や団体(ナチス)ではなく
友人を愛したハンナが,その友人にも背を向けられる。それでも屈しなかった彼女は,傲慢でも冷酷でもなく,自ら思考する
という強固な信念に貫かれていた。思考を映像化した希有な作品である。

 ハンナが人生最大の苦境に置かれた時期を切り取っており,その着眼点はいい。ただ,ハンナの回想シーンで,後にナチスに
入党したハイデガーとの恋愛も描かれる。彼女の別の側面を示したものといえるが,この過去が彼女の思考に何らかの影響を
及ぼしたかも知れないとの疑問が浮かんでくる。この点を除けば,論理的に構築された見応え十分の作品だ。ハンナが自らの
立場を集約する最後のスピーチが,クライマックスに用意されている。
                                                  (河田 充規)

2012年製作/114分/G/ドイツ・ルクセンブルク・フランス合作
原題:Hannah Arendt
配給:セテラ・インターナショナル

スタッフ・キャスト

ハンナ・アーレント     バルバラ・スコバ
ハインリヒ・ブリュッヒャー   アクセル・ミルベルク
メアリー・マッカーシー     ジャネット・マクティア
ロッテ・ケーラー    ユリア・イェンチ

 


映画「ハンナ・アーレント」オフィシャルサイト「作品紹介」

映画レビュー ハンナ・アーレント

 
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ショーシャンクの空に ・・・ The Shawshank Redemption

2023-03-21 23:39:02 | movie

ショーシャンクの空に

1994年製作/142分/G/アメリカ
原題:The Shawshank Redemption

 

解説 S・キングの“非ホラー小説”『刑務所のリタ・ヘイワース』の映画化。無実の罪でショーシャンク刑務所に入れられた
主人公アンディ。もの静かな彼は、やがて自らの根源的な力と職能を武器に、刑務所の仲間たちに尊厳を取り戻していく。
物語はそんなアンディの姿を親友レッドが語っていく形で綴られていく。レッドを演じるM・フリーマンの穏やかな中にも
圧倒的な存在感をにじませた演技は、アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞にノミネートされ高い評価を受けた。

スタッフ
監督・脚本:フランク・ダラボン
製作:ニキ・マービン
製作総指揮:リズ・グロッツァー デビッド・V・レスター
原作:スティーブン・キング
撮影:ロジャー・ディーキンス
美術:テレンス・マーシュ
編集:リチャード・フランシス=ブルース
音楽:トーマス・ニューマン

キャスト
アンディ・デュフレーン:ティム・ロビンス
エリス・ボイド・"レッド"・レディング:モーガン・フリーマン
ヘイウッド:ウィリアム・サドラー
サミュエル・ノートン:ボブ・ガントン
ブルックス・ヘイトレン:ジェームズ・ホイットモア
デイビッド・プローバル

 

映画 ショーシャンクの空に 予告編

 

 

1年近く前に録画して見ていなかった「ショーシャンクの空に」を九段フェスの発表会から帰ったあとに
見たくなってやっとちゃんと見ました。出だしだけ少し見ていたものです。

このポスターはよく覚えていますが、もう29年も前の映画だったのですね。
そのころの映画のリマスター版がどんどん出てきているようです。

主役の二人がすごくよかったです。M. フリーマンの語りでストーリーが展開されていくのですが、
ティム・ロビンスの余裕のある表情がとてもよかったです。

スティーヴイン・キングの原作、さすがです。
思いがけない展開に不意をつかれ涙が出てきたところもありました。映画で泣くのは久しぶりでした。

30年近く前でも世の中の変化について感じているのだから今だったらもうよけいそうですね。
人間らしく生きるとはとか・・

心に残ったセリフがたくさんあり、ネットで見てもこんなに書かれている映画は珍しいです。
私も見ながらメモを取っているのですが…助かります。

自由を奪われた人間がつかの間の人間らしさを感じる瞬間が労働の後の特別な計らいによる
ビールを飲むシーン、そして音楽が、モーツァルトの音楽が天から舞い降りてくるシーン、
50年近く刑務所にいて仮釈放されて行きたくない外の世界に行った老人受刑者の切ない言葉・・・
人間の尊厳も考えさせられました。

 

仮釈放されたブルックスの手紙 
ブルックスは飼っていたカラスを自由の世界に放し、出獄後世の中に適合できず、自ら死を選びます。

I can’t believe how fast things move on the outside.
シャバではなにもかももの凄い速さです。
I saw an automobile once when I was a kid ..but now they’re everywhere.
子供の頃、自動車は珍しかったのに今はもうどこにでもあります。
The world went and got itself in a big damn hurry.
世の中がやたらせわしくなっています。

 

図書係となったアンディがスピーカーで「フィガロの結婚」第3幕の「手紙の二重唱」を流したのを
聞いてRedの言葉

 

I have no idea to this day what those two Italian ladies were singing about.
今日に至るまで俺はあのイタリア人の女性が何を歌っていたのか知らない。
Truth is , I don’t want to know.
ほんとのこと言って、知りたくない。
Some things are best left unsaid.
わからない方がいいこともある。
I like to think it was something so beautiful it can’t be expressed in words and makes your heart ache because of it.
何か言葉にはできない素晴らしいことを歌ってる。だから聞くものの胸がキュウっとなる。そう思ってた方がいい。
I tell you, those voice soared higher and father than anybody in a gray place dares to dream.
あの歌声と共に聞く者すべてが限りなく高い空の果てに舞い上がっていく感じだった。
It was like a beautiful bird flapped into drab cage and made those wall dissolve away.
まるで美しい鳥が灰色の檻に舞い降りあの高い塀を消し去ってくれたようだった。
And for briefest of moments every last man at Shawshank fell free.
ほんの一瞬、ショーシャンクの全員が自由だった。

この辺から涙が出そうになってきました。最初の感動的なシーンです。
音楽が降りそそぐ印象的な場面です。

 

音楽を流したので、光のない懲罰牢に2週間も閉じ込められて戻ってきたときのアンディの台詞

長い時間よく耐えられたという仲間に対して、モーツァルトと言う友達とずっと一緒にいたと答えるアンディ。
音楽は心と頭の中にあると・・・

It was in here.  In here.  That’s the beauty of music. They can’t get from you.
(頭を指さして)ここにいた。(胸を指さして)ここにも。そこが音楽の良いところで、誰にも奪えないんだ。

 

音楽の意味について。

Here’s where it makes the most sense.
ここだから意味があるんだ。
You need it so you don’t forget.
わすれないために必要だ。
Forget?
わすれない?
Forget that there are places in the world that aren’t made out of stone.
人の心っていうのじゃは決して石でできているわけじゃないんだ。
There’s something inside that they can’t get to that they can’t touch. That’s your ‘s.
そこには誰も、絶対に、手を触れることも、奪うこともできないものがある。
What are you talking about?
なんのことだ?
Hope.
希望。

ここでとうとう泣いてしまいました。

 

この言葉に対してレッドはHopeはここでは危険なものと答えます。

 

犯罪者ですが、自由を奪われて生きるのに慣れてしまった人々。仮釈放が決まっても社会でやって行けるかどうか
不安に思う。何十年も社会から隔離されて暮らしていて。

刑務所だから自分はみんなにいろいろなものをこっそり調達してあげられるが
シャバに出たらなんでも電話1本で用が足り、自分ができることはないと話すレッド。

 元銀行員だったアンディが所長の不正処理の手伝いをさせられ、自分の冤罪を晴らす機会をつぶされたアンディの言葉

I guess it comes down to a simple choice.
選択肢は二つだけ。
Get busy living .. or get busy dying.
必死に生きるか、必死に死ぬかだ。

 

アンディは脱獄に成功し、刑務所内での不正を世に知らせ、メキシコへと逃れることに成功する。

Sometimes it makes me sad, though Andy being gone.
時々寂しくなる。アンディはもういない。
I have to remind myself that some bird aren’t meant to be caged .
俺は自分に言い聞かせる。籠に閉じ込めちゃいけない鳥もいるんだと。
Their feathers are just too bright.
羽があまりに美しすぎる。
And when they fly away the part of you that knows it was a sin to lock them up does rejoice.
それが飛び去ったとき、自由になって良かったと喜ばなきゃいけないんだと。
But still the place you live in is that much more drab and empty that they’re gone.
とは言っても、鳥が飛び去ったあとの世界は前よりくすんで侘しい。
I guess I just miss my friend.
ようするに俺はアンディに会いたかった。

 

仮釈放されたレッドはアンディの手紙を見つけ、メキシコへと向かう。
「何にも縛られず長い旅に出る。自由な人間の希望を持とう。」

 

アンディの手紙より

Remember, Red, hope is a good thing, maybe the best of things. 
覚えてるね? 希望はいいものだよ。たぶん最高のものだ。

And no good thing ever dies.
いいものは決して滅びない。

 

 

再会のラストシーンまで見ごたえのある映画でした。

 

『ショーシャンクに空に』名言や手紙(英語)の内容をご紹介!

 

フィガロの結婚 - 手紙の二重唱 - ルチア・ポップ & グンドラ・ヤノヴィッツ -

 

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BAGDAD CAFE - I'm Calling You & La ritournelle - the Good Life

2023-03-17 17:00:41 | movie

映画のブログアップはたまりにたまっていますが、直近で見た2つの映画から。

「バグダッドカフェ」 ニュー・ディレクターズ・カット版

  

監督 パーシー・アドロン
脚本 パーシー・アドロン
   エレオノール・アドロン
撮影 ベルント・ハインル

出演者
マリアンネ・ゼーゲブレヒ
ジャック・パランス
CCH・パウンダー
クリスティーネ・カウフマン
モニカ・カルフーン

原題 Bagdad Cafe Out of Rosenteim

1987年製作/西ドイツ/91分
2008年 ニュー・ディレクターズ・カット版製作

 

話題になったことは記憶にあるけれど、先日たまたま放送されていた映画。ちょっと気になってチャンネルを回したら
みるみる引き込まれてしまいました。それほど見る気はなかったのですが、映像も映画全体の雰囲気も人を引き込む魅力があります。
まるで映画の中のヒロインのように映画全体がどこかやさしく、ギアを入れないで行こうよと言った感じがあり、癒されます。
不思議な魅力のあるドイツ映画でした。

人生にはマジックが必要と言うところが少し前に見たウディ・アレンの映画「Magic in the Moonlight」を思い出させました。
この映画はまだメモを残していません。

アメリカ西部の砂漠の真ん中にたたずむ寂れたモーテル、バグダット・カフェに、夫とけんか別れしたドイツ人旅行者ジャスミン
(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)がたどり着く。不機嫌な女主人ブレンダ(CCH・パウンダー)が営む店は変わり者ばかり集まり
いつも気だるいムードが漂っていた。ジャスミンが現れてから、店に集う皆の心が癒やされていく……。

 

バグダッドカフェ Bagdad Cafe 1987

 

この気の遠くなるような音楽は耳に残っていた曲だけど、この映画のために作られた曲と言うことでした。

BAGDAD CAFE - I'm Calling You

 

A desert road from Vegas to nowhere
some place better than where you're been
A coffee machine that needs some fixing
In a little cafe just around the bend

I am calling you
Can't you hear me
I am calling you

A hot dry wind blows right through me
The baby's crying and I can't sleep
But we both know a change is coming
coming closer, sweet release

I am calling you
Can't you hear me
I am calling you

I am calling you
Can't you hear me
I am calling you

A desert road from Vegas to nowhere
Some place better than where you've been
A coffee machine that needs some fixing
In a little cafe just around the bend

A hot dry wind blows right through me
The baby's crying and I can't sleep
But we both know a change is coming
coming closer, sweet release

I am calling you
can't you hear me
I am calling you

 

 

「間奏曲はパリで」

 

アンデルシェフスキーの音楽のドキュメンタリー映画と一緒に借りた映画です。

原題の“La Ritournelle”は、フランス語で”ルーティーン”とか”リフレイン”の意味。 平凡な日常からの冒険を描くと同時に、
かけがえのない絆で結びついた夫婦愛を見つめた、大人のためのラブストーリー。

美しき、迷える“羊飼い”の主婦ブリジット。おひとりさまで行く、恋の都パリで出会ったものとはーノルマンディーで農場を
営む夫婦のブリジットとグザヴィエ。子供が巣立ってからというものの、穏やかで幸せだけど平凡な毎日。遊び心を忘れない
ブリジットは、変化をもたらそうと努力をしても、実直で無骨な夫は無関心。ある日、隣家のパーティで出会った魅力的な
パリジャン・スタンとの楽しい時間が、彼女の心に火をつける。夫に嘘をつき、ひとりパリ行きの手配を始めるブリジット。
未知なる期待を胸に、人生を変える休日へ出かけるのだ。 
                                                  Filmarks より

2013年製作/99分/PG12/フランス
原題:La ritournelle

監督・脚本  マルク・フィトゥシ
出演者    イザベル・ユペール、 ジャン・ピエール・ダルッサン、 ミカエル・ニクヴィスト、ピオ・マルマイ

 いかにもフランス映画らしい映画でした。いつも新しいことに挑戦したい主婦が人生のマンネリを打ち破るべく
パリへの冒険旅行。結局自分を知る旅でした。アヴァンチュールと言う言葉を久しぶりに思い出しました。
この映画も音楽がよくて、ジュリー・ロンドンの歌うthe Good Lifeは心に残ります。

 

『間奏曲はパリで』予告編

The Good Life - Julie London

 

作詞(英歌詞): ジャック・リアドン Jack Reardon
作曲・仏歌詞: サッシャ・ディステル Sascha Distel (原曲名 La Belle Vie)
出典: 伊-仏映画「新・七つの大罪」 "Seven Deadly Sins" (1962) より。アメリカではトニー・ベネットが63年に録音しヒットさせた。

トニー・ベネットが歌っていて、聴いたことのあるなつかしい感じがする曲ですが、結構深いですね。なにが good life なのか・・

Oh, the good life, full of fun seems to be the ideal
Yes, the good life lets you hide all the sadness you feel
You won’t really fall in love for you can’t take the chance
So please be honest with yourself, don’t try to fake romance
Yes, it’s the good life to be free and explore the unknown
Just like the heartaches when you learn you must face life alone
Please remember I still want you, and in case you wonder why
Well, just wake up, kiss the good life goodbye

イザベル・ユベールの「未来よこんにちは」を次の貸し出しリストに入れておきました。
月4枚と言うのはかなり追われます。見る映画が無くなったらやめようと思っているのですが、
あまり知られていていない映画でも結構面白そうなものがあることを知りました。

 

 

プラスワンはまたしても真夜中にやっていたドキュメンタリー番組、映像の世紀です。

映像の世紀プレミアム 第8集「アメリカ 自由の国の秘密と嘘」
[BSプレミアム]2月10日(土) 午後7:30~9:00
 
超大国アメリカの理想の裏側を描く。秘密ファイルによって大統領たちに恐れられた初代FBI長官フーバー、フェイクニュース
によって戦争をあおった新聞王ハースト、今なお陰謀論がささやかれるケネディ暗殺、テレビ報道によって隠された戦場の実態が
明らかとなったベトナム戦争、ホワイトハウスに設置された音声テープによって大統領のうそが暴かれたウォーターゲート事件。
秘密とうそに覆われた自由の国のもうひとつの物語である。
【語り】山田孝之 山根基世
 

バタフライエフェクト 「大統領が恐れたFBI長官」
3月16日(木)午前0時25分〜(水曜深夜)[総合]
初回放送日: 2023年3月6日

アメリカ歴代大統領が恐れた男、エドガー・フーバー。正義の味方FBI長官の隠された顔は、違法な盗聴・監視で大統領の
スキャンダルを収集するモンスターだった。赤裸々な女性関係を記した秘密ファイルを保身に利用し、48年間権力の座に君臨
した。監視の目は、市民にも向け、危険と見なした団体を徹底的に弾圧した。しかしFBIの違法捜査は、フーバーの死の直前
白日の下にさらされる。自由の国アメリカのうそと秘密の物語。

アメリカ合衆国がこんな人に支配されていたとは恐ろしいアメリカのダークな一面を見てしまいました。
ケネディ大統領暗殺、ロバート・ケネディ暗殺に日本人の私でさえ強いショックを受うけた子供の頃。アメリカが
輝かしい国に思えたころ。アメリカの大統領も情けない人たちばかり・・ アメリカがこんなに監視体制の国であったなんて。
マフィアより怖い、アメリカの裏社会。
M.L.Kingや社会活動家たちを脅迫し、間接的に死に追いやったりして、アメリカの歴史を48年も操作してきた人間がいたことに
驚いたけれど、そういうことが明るみに出たことはギリギリ民主主義が守られた感じがしました。
アメリカがこんなに保守的な国だったなんて。ジョン・レノンが長いこと入国できなかったわけだ。

 

コメント (2)
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気になったドキュメンタリーと報道番組 ・・・ documentaries and news programs that caught my attention 

2023-03-14 23:07:56 | movie
2月に見たドキュメンタリーの書きかけブログを完成させ、今月見た報道番組のメモを加えました。

映像の世紀(11)「JAPAN~世界が見た明治・大正・昭和~」
2015年9月放送
初回放送日: 1996年2月24日

20世紀の初め、日本は国際社会の一員としての地位を確立した。日露戦争での勝利をきっかけに表舞台に立ち、
その後の韓国併合、シベリア出兵、満州国建国へと突き進む。さらに太平洋戦争、敗戦、占領から戦後復興へと
至る日本の歩みは、どのように世界に伝えられたのだろうか。外国人のカメラマンが記録した明治末期から
昭和20年代末までの映像と外国人が残した記録を軸に、世界が見つめた「JAPAN」を描く。

2/4(土) 午前0:25-午前1:39
配信期限 :2/11(土) 午前1:39 まで 
 
 
 
 
 
映像の世紀 【実写カラー映像】 世界が見た明治・大正・昭和 Japan 1890~1970
 
 

深夜に面白い番組が放送されるので、困ってしまいますが、何かやりながら見ていたので、またあとからNHKプラスで
見ることができました。日本の近代史を映像でざっと流して見れることはすごいこと。

NHKの歴史関連の番組は映像の世紀だけではなく。ずっと昔に見たその時歴史が動いたかなにかでやっていた仏教伝来関連と
サンフランシスコ講和条約がすごくおもしろかったことが記憶にあります。今仏教史の昔買ったテキストを読んでいて
すごく難しいのですが、古代日本史では仏教伝来が一番大きな出来事だったと思っています。
 
日本が国際社会の一員としての地位を確立した20世紀。日露戦争の勝利をきっかけにひのき舞台に立ち、その後の韓国併合、
シベリア出兵、満州国建国で孤立してゆく。さらに、太平洋戦争、敗戦、戦後復興に至る日本の歩みは、詳細に世界に伝えられた。
この集は、外国人カメラマンが記録した明治末期から昭和20年代末までの日本の映像と彼らの手記を軸に、世界が見つめた
「JAPAN」を描く。
 
200年鎖国してきた日本が急速な西洋化をしたことに驚いたカナダ人記者のコメントが面白かった。
わずか30年前この人々はまだ武士で、異様な鎧兜姿であった。そして家には夫の帰りを待つしとやかな妻がいた。
しかし今日では商店や工場で15ペンスの賃金のために一日10時間働いて、妻の中でさえも工場で忙しく働いている。
わずか30年で変わりようは奇跡である。

映像が世界に広まって、パリ万博で紹介された日本文化は新鮮で多くの人の興味を引いた。特にフランスで作られた日本映画が
多いとのことで、フランスの日本ブームも結構歴史が長いように思いました。

日露戦争が世界に与えた影響は大きく、欧米でも日露戦争の映画が作られたとか。

西洋の学問の成果を集め、応用して組み合わせ使いこなした。
日本人は我々がはぐくんだ複雑な文明をわずか一世代で習得したのだ。(イギリスの新聞)

日露戦争勝利により、西洋人に並ぶ列強として台頭して、アジア人には小国が大国を倒すということで
感動を与え、アジアに民族的自覚を生んだ。西洋には日本がアジア人のリーダーになることが脅威になってくる。

大正時代には国際連盟常任理事国の一つにまでなっていった。

中国大陸の覇権争いから、日本製品に対する脅威もあり、日本は孤立化していった。
Made in Japan は経済的脅威となった。

フォーチュン誌に「産業の効率化、日本の産業制度は他のどの国にもない」と書かれた。
「教育が反抗しない国民を作った」というナレーションもあった。

アジア人のアジアと言う崇高な理想はただの帝国主義の野望と変わって行った。

しかし太平洋戦争末期には、「日本もただの支配者だ」と考えが変わっていったとか。

1942年ガンジーの公開状「すべての日本人に」

私は、あなたがた日本人に悪意を持っている訳ではありません。

あなたがた日本人は“アジア人のアジア”という崇高な希望を持っていました。しかし今では、それも帝国主義の
野望にすぎません。そして、その野望を実現できずにアジアを解体する張本人となってしまうかもしれません。

世界の列強に肩を並べたいというのが、あなたがた日本人の野望でした。しかし、中国を侵略したり、ドイツや
イタリアと同盟を結ぶことによって実現するものではないはずです。

あなたがたは、いかなる“訴え”にも耳を傾けようとはなさらない。たた“剣(つるぎ)”にのみ耳を貸す民族だと聞いて
います。それが大きな誤解でありますように・・・。

あなたがたの友ガンジー

戦争の終了により日本に自由がもたらされた。マッカーサーが自由をもたらしたというような感じの説明。
これが海外から見た日本。戦争前の弾圧された社会のことを思えばそれはそうだと思う。

戦争裁判についてはアメリカがつけたアメリカ人の弁護人が殺人罪なら両方共だと言ったことは正解だと思う。
その声はかき消されたという。

江戸時代からの社会改革はすごいことだと思うが、この小さな国が世界的な脅威になっていきアジアのリーダーになれず
追い込まれて行き、アジアに対してもひどいことをしてきて、原爆投下による敗戦を経験し、そこからまたその勤勉な
国民性による経済的な発展をして以後経済的には後退してもまだ世界の代表国の顔をしているのが不思議。
女性やマイノリティに対する差別や移民を受け入れない、最近もG20に外務大臣欠席とか後進国としか思えない国。
文化的なレベルは高い国だと思うけれど、社会的にはどんどん遅れてきているとしか思えない。

 

2月10日

神様の木に会う にっぽん巨樹の旅(5)

放 送 2022年6月11日(土)午後6時〜[BSプレミアム]
再放送 2022年9月26日(月)午後4時01分〜[BSプレミアム]

世界遺産の熊野・長崎など悠久の巨樹に出会う旅。地上最大の命の絶景。戦争と巨樹、被爆クスノキの奇跡の生命力。
鎮守の森・百年前の南方熊楠の警鐘。倒れたご神木の復活

悠久の命!巨樹と日本人の物語の第5弾。全国各地の巨樹を4年に渡り撮影。四季の圧倒的な美!一方で戦争、
リニア新幹線による伐採、現代を映し出す巨樹たちの命の時間。樹齢千年の巨樹が問いかける人間の姿とは?
弥生時代から生き続ける一本の巨樹の歌。被爆後、奇跡的に生き続ける長崎の大クスと被爆者の絆。驚きの発見!
鎌倉時代からの津軽の墓守の大杉。そして岐阜・倒れたご神木にもう一度、注連縄を!感動のドキュメント。

引作の大クス(和歌山・熊野) 樹齢1500年

  • 明治の頃、日露戦争で戦費がかさむ政府は寺社の統廃合、土地売却を進め、御神木も伐採される危機を迎えていた。
    しかし、南方熊楠が反対の声をあげた。
  • 熊野古道の「野中の一方杉」(樹齢800年)は南方熊楠が反対運動により9本だけ残った。
  • 高原熊野神社には複数の御神木(クスノキ)がある。

南方熊楠は名前くらいしか知らない人だったけど、地球を守ることの大切さを改めて思った番組でした。

今度熊野古道に行くときは高原霧の里あたりに行きたいと友人とも考えが一致して、いつの日か訪れることを
楽しみにしています。

地球の歩き方より

 

中辺路観光協会より

 

 

TBS 報道特集 
3月4日(土)放送分 イタリア人男性自殺の背景に何が

2022年、あるイタリア人の男性が東京入管の収容施設で自ら命を絶ちました。その男性は収容前、ホームレスとして
暮らしていました。男性の死後、記者は男性が生前、動画投稿サイトに残していた複数の動画をもとに取材を始めました。
今、ホームレスになる外国人が急増しているといいます。背景に一体何があるのでしょうか?

たまたま見ていた番組でレポートがあり、途中からだったので、あとからTverで全部見ました。
スリランカ女性の入管での非人道的扱いに心痛めていますが、この番組でのイタリア人ジャーナリストの言葉が
心に残ります。「日本と言う国はホームレスや不法滞在者の外国人に対して残酷。」

在留資格を失うなどの理由により入管施設に収容された人たちは人間扱いされないで自殺を図る人もいて、
たとえ仮放免されても仕事が禁止されているのでホームレスになるしかない。
この状況は国連からも仮放免者への対応に懸念が表明され、収入を得られるよう制度を改善すべきと
勧告されているという。
政治的理由などにより、帰国できない仮放免者もいる。彼らは有能なコックであったり、自殺したイタリア人の
ようにIT関連の仕事やデザイナーだったり有能な人も少なくない。
日本の難民認定は申請者の0.7%でG7の中でも桁違いの最下位。

人間の尊厳を大切にする国になってほしい。

 

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サクリファイス タルコフスキー ・・・ the Sacrifice  the final film of Andrei Tarkovski

2023-03-12 22:17:00 | movie

 タルコフスキーは大好きな映画監督の一人ですが、このサクリファイスだけは当時VHSの時代で録画して
あったのですが、とうとう全部見れずにいたものです。今回、TSUTAYAで借りて見ました。

1月末の熊野旅行の前に見終わっていましたがメモを簡単に作っていただけでした。
台詞の抜粋を加えてアップしておこうかと思いました。

 

 

見るのをgive up したブレードランナーにはタルコフスキーへのオマージュがあらわされています。
ブレードランナーは画像はアートでしたが、内容がついて行くことができませんでした。

 

 


今見るとロシアは全然進化進化するどころか後退していて、今ロシアや全世界の人に再び見てほしい映画です。
まさに今、核の危機の中にあるヨーロッパや世界についての警鐘、祈りです。映画の世界の中のことではないのです。
40年近く前の映画はタルコフスキーの予言のように響きます。

 

[スタッフ]
脚本:アンドレイ・タルコフスキー/損影監督:スヴェン・ニクヴィスト/美術:アンナ・アスプ/音楽:J.S.バッハ「マタイ受難曲」
BWV244第47曲“神よ、私のこの涙にかけて憐れみください、みてください” ユリア・ハマリ/スウェーデン民俗音楽/海童道宗祖の法竹音楽/
録音&ミキシング:オーヴェ・スヴェンソン/編集:アンドレイ・タルコフスキー、ミハウ・レシュコフスキー/衣裳:インガー・ペールション/
ヘアー&メイク:チェル・グスタフソン、フロランス・フーキエ/助監督:シェルスティン・エーリクスドッテル/スクリプト:アンヌ・フォン・シドー/
カメラ:ラーシュ・カールソン、ダン・ミュールマン/装置:ハリー・クラーヴァ/プロデューサー:カティンカ・ファラゴ/製作:アンナ=レーナ・ヴィポム

[キャスト]
アレクサンデルー:エルランド・ヨセフソン、妻アデライデー:スーザン・フリートウッド、郵便夫オットー:アラン・エドヴァル、
マリア:グドルン・ギスラドッティル、医師ヴィクトル:スヴェン・ヴォルテル、小間使ジュリア:ヴァレリー・メレッス、
娘マルタ:フィリッパ・フランセン、”子供”:トミー・チェルクヴィスト

1986年/スウェ一デン映画協会(スウェ-デン)、アルゴス・フィルム(フランス)製作/カラー/ヴィスタサイズ/149分
1986年 カンヌ国際映画祭審査員特別大賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニック賞、芸術特別貢献賞
配給:フランス映画社/日本公開:1987年

音楽はスウェーデンの民俗音楽と日本の海童道宗祖の法竹(尺八)が夢幻シーンでたくみに使われ、ハンガリー出身のユリア・ハマリが
歌うバッハの<マタイ受難曲>の<神よ、私のこの涙にかけて憐れみぐださい>が限りなくやさしく美しい。最初のクレジットの
バックの絵はレオナルド・ダ・ヴィンチの<東方の三賢人の礼拝>で、アレクサンデルの書斎にも複製がかざられているが、
タルコフスキーの意図による彩色がほどこされていると思われる。夢と現実、あるいは夢から夢ヘ、いく層にも色彩世界を重ねていく
タルコフスキーの色彩美は、『ノスタルジア』をへて、『サクリファイス』で他の誰も到達しない頂点に達したと言えるだろう。
魂の傑作『サクリファイス』をフランスの<カイエ・デュ・シネマ>誌は86年度のベストワン映画に選び、イギリスの
くインターナショナル・フィルム・ガイド>はくザ・フィルム・オブ・ザ・イヤー>に選んでいる。

[解説]
1986年のカンヌ映画祭で、胸をうつ美しさと心を深くえぐる感動でかつてない賞讃を浴びて、カンヌ映画祭史上初の4賞
(審査貞特別大賞、国際映画批評家賞、エキュメニック賞、そして撮影に対する芸術特別貢献賞)受賞に輝いた『サクリファイス』は、
完成後に病床に伏して、86年12月28日夜、肺ガンのため54才でついに世を去った天才映画詩人アンドイ・タルコフスキーの遺作と
なってしまった。

言葉を話せなかった少年が再び言葉を話せるようになるまでの1日。少年の父である主人公アレクサンデルは生命の樹を植える誕生日に、
核戦争勃発の声をテレビで聞き、自らの狂気を賭けて、信じていなかった神と対決し、愛する人々を救うために自らを犠牲にささげる
サクリファィス(犠牲、献身)を実行する──。カンヌの上映では、タルコフスキーの自画像、現代のルブリョフ像、核時代への黙示録と
絶賛され、授賞式では、ソ連から出国し、病床の父にかわって舞台にあがった息子アンドレイ(愛称はアンドリューシャで、父アンドレイは
この映画を彼に捧げている)が満場の心からの拍手を浴びた。

 

The Sacrifice | Trailer | NYFF55

 

このサクリファイスほど人類に対するメッセージがある映画は少ないと思います。40年近く前にヨーロッパの危機を
強く感じて警告した映画。秩序こそが混沌を避ける、内なる敵はパニック・・ 核戦争の恐怖。
彼はこの映画の中で詩人や画家や永遠に生き続けることができると語っているけれど、映画もそうであり、
俳優も同じだと思います。
この映画は希望と信頼と共に息子に捧げられました。しかし今のロシアの状況・・・ 今こそロシアの人にこの映画を
見てほしいと思いました。

生まれてからずっと真の生を待っているような感覚。
画面からは日本文化に対するリスペクトを感じられました。生け花のような日本画のようなカメラ。

登場人物は少なく、まるで舞台を見ているような感じでした。
ハムレットを強く意識しているとどこかで読みました。

彼の映画の中のメッセージをメモしました。

人類は道を誤り、ひどい危機の中にいる。
人間は自分を守ってばかり、周りの人や自然を受け入れない。
今の文明の根底にあるのは力と権力、怖れと征服欲だ。
技術の進歩とよばれるものは画一的で物質的な安楽しか生み出さない。そして権力を守る武器だ。
まるで未開人だ。顕微鏡をこん棒のように扱う。
いや未開人の方が精神的にゆたかだった。何か大切な発見をしても今では破壊の道具に使う。
罪とは人生に必要のないすべてだ。…文明は罪の上に築かれたのだ。物質と精神のおぞましい不一致、
不均衡に我々はたどり着いたのだ。
この貧しい文化は、文明は病んでいるのだ。息子よ、問題を究明し、解決しなければならない。
まだ手遅れでないのなら、間に合うのなら・・

ハムレットと白痴(ドストエフスキーの)とニーチェが言及され、私はニーチェはよくわからないので
そこはどう解釈したらいいのかわからないけど、主人公は無神論者だが、この世の終わりを感じ、神に祈り
自己犠牲で人類を救おうとするというストーリーだと解釈しています。

ヨーロッパの地図も出てきて、三位一体やレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画も何か象徴的です。
画面も日本画的で尺八の音楽は、たしかノスタルジアで武満徹の音楽を使ったことを思い出させました。

人間の行動はなぜなすべきことの反対なのでしょう。

世の終わり、週末戦争。愛するものを死なせない。希望も未来も生命も失おうとしている。
戦争のあと、勝者も敗者もなく、都市も町も無くなり、井戸も渇き、鳥の巣も消えるでしょう。

私は持つものを捧げる。家を焼き、言葉を発せず生きる。神しか救えない。

詩人や画家と違って、俳優は作品の中に生き続けることができない。芸術作品として生き続けることができない。
詩が作者の言葉でありながら、詩人の個を超えた言葉として生き続ける。
画家もその作品の中に生を宿せる。
私は監督も俳優もその作品の中に生き続けることができると思うけれど・・・

三位一体をあらわしている登場人物やよい魔女のマリアの存在、そして母の庭のエピソードなど難解なところが
多い映画だけれど、核戦争や自然破壊への強烈な警告は感じられます。そして何よりすべてが美しい。
雪解けの音、カーテン、風・・・ 

最後のシーンは子どもが一人で木に水をやるところで終わる。
はじめに言葉があった。でもなぜなのパパ。

この映画はハムレットや言葉をすごく意識しています。
私はレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後に残るのは言葉だ」という言葉を思い出します。画家が最後に残した
言葉のように昔やっていた「レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯」と言うドキュメンタリー映画の中でエンディングで
流れていたものです。

 

サクリファイス 作品評 キネマ旬報

私の見た映画 サクリファイス

アンドレイ・タルコフスキー生誕70年祭 サクリファイス

 

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バベットの晩餐会 ・・・ Babette's Feast

2023-02-25 23:47:08 | movie

 

映画のメモはレイルウェイ、マジック・イン・ムーンライト、サクリファイス、ベイビーブローカー、ケイト・ブランシェット
のキャロルとブルージャスミン、スペイン映画のカルメン、ボブという名の猫、アンナ・ハーレントとたまりにたまっていますが
最直近のバベットの晩餐会から。なぜ私の頭の中でブラームスのワルツが回っていたのかトレーラーを見て思い出しました。

いい映画ほど見るのを取っておいて、「あん」の時みたいに見るまで熟成させた感じ。すべてのことには時がある・・・
今見ることに意味があるように思えました。

 

 

1987年製作/102分/G/デンマーク
原題:Babette's Feast
配給:コピアポア・フィルム
日本初公開:1989年2月18日
2016年4月9日 リバイバル公開
1987年アカデミー賞(R)最優秀外国語映画賞受賞作品

デンマークの紙幣にもなる程著名な女流作家カレン・ブリクセンの原作を、数々の文芸作品をドラマ化し高い評価を受けた
ガブリエル・アクセルが丁寧に映画化。物静かな前半部分と、美味しそうな晩餐会の料理の描写が続く後半との対比が静かな
感動を呼ぶ傑作。

監督・脚本: ガブリエル・アクセル
製作総指揮: ユスツ・ベツァー
製作:    ポー・クリステンセン
原作:    カレン・ブリクセン
音楽:     ペア・ノアゴー
衣装デザイン カール・ラガーフェルド、ピア・ミュルダー、Annelise Hauberg
撮影:             ヘニング・クリスチャンセン

【キャスト】
バベット/ステファーヌ・オードラン
マーティーネ/ビアギッテ・フェダースピール:若い頃のマーティーネ/ヴィーペケ・ハストルプ
フィリパ/ボディル・キュア:若い頃のフィリパ/ハンネ・ステンスゴー
監督牧師/ボウエル・ケアン
ローレンス将軍/ヤール・キューレ:将校時代のローレンス/グドマール・ヴィーヴェソン ほか



【予告】バベットの晩餐会

 

同じく映画化されたOut of Africaの原作者アイザック・ティネーゼン(=カレン・ブリクセン)の原作による
死期が間近い老人のおとぎ話の世界が料理という芸術の世界と共に描かれています。バベット役のステファーヌ・オードラン
素晴らしかったです。最初カトリーヌ・ドヌーヴの名前が挙がっていたとのことですが、オードランの方がよかったと思われ
ました。

ごちそうを食べることを罪悪のように感じてしまう清貧に生きるクリスチャンたち。パリから革命を逃れてただ一人
やってきたバベットの芸術的な晩餐に心ほぐれていく人たち。

老人たちが手を取り合って、井戸の周りで歌うシーンも印象的でした。

宗教家の父親の犠牲になったような娘たちに訪れる平安。

 

 

カレン・ブリクセンの言葉は今、この年齢で見るからこそ、心に届きます。

あの世に持っていけるものは、他人に与えたものだけ

将軍の食後のスピーチ:
人間は弱く先を見る力もないが、人生ではいくつも選択を迫られる。そして自分の選択におののく。しかし我々の選択は
重要ではない。我々はいつか目覚める。そして、神の恵みは無限なのだと悟る。我々はただ恵みを待ち、感謝の気持ちを
受け入れるのだ。神の恵みには条件などない。
その証拠に選択したものは手に入れた。拒否したものもすべて手に入れた。拒否したものさえ与えられたのだ。神の恵みと
真実は出会い、神の正義と平穏は口づけを交わす。

食後にフィリパが歌う讃美歌:
また一日が終わろうとしている
太陽が地平線に消えていく
私たちの休息の時間は近づく
我らの神は天国の光におわす

天国を統べる我らの神よ
夜の谷で我らの光となり給え
限られた時間は終わろうとしている
夜も昼に変わろうとしている

栄光の世界が終わりを迎え
残りの光は素早く過ぎ去る
神の光が永遠に輝くように
我らを神の国へと導きたまえ

 

別れの時の将軍の言葉:

今までずっとあなたと共にいた。私はこれからもあなたのそばにいる。毎日あなたと食事の席に着く。
体は離れ離れだが
肉体は大事ではない。魂が一緒なのだ。
私は知ったのです。この美しい世界ではすべてが可能です。離れ離れでも魂は共にあります。

 

満天の星のもと村人たちが井戸の周りで手をつないで歌う:

過ぎ行く時を時計が告げる
今夜こそ永遠の存在に近づいた
この時を神に捧げよう
心を込めて神に仕えよう
真の我が家がみつかるだろう

ハレルヤ


バベットの言葉:
芸術家は貧しくなることなどないのです

 

「バベットの晩餐会」-至福の時への招待状

『バベットの晩餐会』:魂の平安と、生きる喜びが交差する、奇跡の夜

 

余談ですが、映画に出てくる二人のボビンレースの襟が素敵です。
今習っているボビンレースでも襟を作っている人がいます。

 

 

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ヴィスコンティの「山猫」が甦る ・・・ Il gattopardo

2023-01-05 23:57:14 | movie

 

20代の頃、夢中になったヴィスコンティの映画。あの頃「ベニスに死す」、「家族の肖像」、「イノセント」、「ルードリッヒ」
を立て続けに見ました。TVで放映された「山猫」、「愛の嵐」(あのブルックナーの音楽が使われた)も見ていたけれど
「山猫」はあまり心に残っていませんでした。

昨年の秋、録画してあった「山猫」を少しずつ見ていました。一度では見れない長い作品で、重厚な作品でした。
マーティン・スコセッシ設立のフィルム・ファウンデーションとGUCCIの資金提供により、1万2000時間をかけて2010年に
復元された4K修復ということで、映画も文化遺産だといつかのケネス・ブラナーの言葉を思い出しました。さすがGUCCI。

イタリアの巨匠ルキノ・ビスコンティの代表作で、第16回カンヌ国際映画祭で最高賞(グランプリ)に輝いたドラマ。
日本では1964年、短縮された英語版で初公開された後、81年にイタリア語のオリジナル完全版が公開されたがプリントの
状態は悪かった。そのイタリア語完全版を、撮影監督のジュゼッペ・ロトゥンノ監修のもと復元させたのが「イタリア語
完全復元版」で、2004年に公開された。16年、ビスコンティ監督の生誕110周年、没後40年を記念した特集上映
「ヴィスコンティと美しき男たち アラン・ドロンとヘルムート・バーガー」では「山猫 4K修復版」として、「イタリア語
完全復元版」を初の4K映像で劇場公開。19年には「4K修復版」が35ミリプリントとデジタルで同時上映。統一戦争に揺れる
1860年のイタリア。シチリア島を長年に渡って統治してきた名門サリーナ公爵家にも革命の波が押し寄せる。貴族社会の終焉
を感じながらも優雅な暮らしを続ける公爵は一家を連れて避暑地へと向かうが、革命軍の闘士となった公爵の甥タンクレディが
新興ブルジョワジーの娘アンジェリカと恋に落ちてしまう。               映画comより

1963年製作/186分/G/イタリア・フランス合作
原題:Il gattopardo
配給:クレストインターナショナル
日本初公開:1964年1月18日

監督 ルキノ・ビスコンティ

サリーナ公爵 バート・ランカスター
タンクレディ アラン・ドロン
アンジェリカ クラウディア・カルディナーレ

 

プリントで見るか、デジタルで見るか。不朽の名作がよみがえる!/映画『山猫 4K修復版』予告編

 

 

昨日ボビンレースを再開して、「山猫」のあの果てしない舞踏会のシーンからもう一度見てみました。
このワルツはヴェルディの作曲で、ピアノ用の楽譜をヴィスコンティが持っていて、それをニーノ・ロータに渡して
オーケストラの曲にしてもらったというヴィスコンティ秘蔵の曲とのことです。

Le Guepard (1963) - La Valse

 

 

 

バート・ランカスターは「家族の肖像」でも見ましたが、あのまさにアメリカっぽいアメリカ映画に出ていた人が
こんなにイタリア映画が合うなんて思いませんでした。「山猫」はバート・ランカスターあっての映画です。

Nino Rota 映画「山猫」 Valzer Brillante(Waltz in F Major) from IL GATTOPARDO

 

まるで絵画のような世界がそのまま展開された映画です。本当の貴族の館でロケをして、自然光だけで撮ったと書いてありました。
暑い時期で、夜中に撮影されたとか・・ ろうそくに揺らぐ光も暑かったのでしょうとご婦人方の扇子で仰ぐ姿が本当にあの衣装で
暑かったのではと思いました。

 

イタリアの近代史で、時代が移り行く中のシチリアのサリーナ侯爵の葛藤が描かれていました。それはヴィスコンティの気持ちとも
重なっていきます。舞踏会のシーンが華やかであればあるほど、侯爵の孤独と絶望が際立ちます。

気になったセリフをメモしました。

特殊な世界
神でなく彼ら(貴族)が作り上げた世界。何世紀もの苦悩と喜びという特殊な経験を経ながら。

25世紀以上も壮大で多様な文明を背負ってきた。

今のままを望むならすべてを変えるべき。

革命は階級がさっと入れ替わるだけ。あとは何も変わらない。

変化のただなかを生きている。意志は生き続ける。何かが変わってこそ、すべてがそのまま残される。

旧体制とは宿命的な関係。二つの世界を股にかけて、どっちつかずでいる。その絆は慎みとも愛情とも言える。
私は不幸な世代。そのうえ幻想が持てない。(熱心に新体制の議員を頼まれてもそう答える侯爵。できることは
しないのかと乞われて。誇り高い真実より、良心の声に従ってほしいと。)

シチリア人の官能性は忘却、死への欲求。

老いがのしかかり、若い世代のタンクレディに託すサリーナ侯爵。新興勢力の娘との結婚を積極的に進める。

死への思いが強まり、舞踏会の後、一人歩いて家に帰る侯爵は星空を仰いで彼の地へのあこがれと
安らぎの願いで終わるラストシーンでした。この映画が監督の割と初期に作られた映画だということが
すごいですよね。最後の方に作られた「イノセント」もこのような絶望で終わる映画でした。

 

ボビンレースに近いものを作っているシーンもありました。

 

『山猫』ヴィスコンティの傑作を貫く並外れた“本物”の精神

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「エリザベス」と「英国王のスピーチ」 ・・・Elizabeth and The King's Speech

2022-12-23 23:17:07 | movie

借りてから1カ月近くたっていたDVDを慌てて見ました。

 

「英国王のスピーチ」

コリン・ファースは好きな英国の俳優でケイト・ブランシェットの「エリザベス」を借りるのに
合わせて申し込んだものです。

 

映画『英国王のスピーチ』予告編

 

解説
現イギリス女王エリザベス2世の父ジョージ6世の伝記をコリン・ファース主演で映画化した歴史ドラマ。
きつ音障害を抱えた内気なジョージ6世(ファース)が、言語療法士の助けを借りて障害を克服し、
第2次世界大戦開戦にあたって国民を勇気づける見事なスピーチを披露して人心を得るまでを描く。
共演にジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター。監督は「くたばれ!ユナイテッド」の
トム・フーパー。第83回米アカデミー賞で作品、監督、主演男優、脚本賞を受賞した。

2010年製作/118分/G/イギリス・オーストラリア合作
原題:The King's Speech

監督 トム・フーパー
製作 イアン・カニング エミール・シャーマン ギャレス・アンウィン
製作総指揮 ジェフリー・ラッシュ ティム・スミス ポール・ブレット マーク・フォリーニョ
       ハーベイ・ワインスタイン ボブ・ワインスタイン

脚本 デビッド・サイドラー
撮影 ダニー・コーエン
美術 イブ・スチュワート
衣装 ジェニー・ビーバン
編集 タリク・アンウォー
音楽 アレクサンドル・デスプラ

                            映画.com より

 

使われたクラシック音楽
モーツァルト フィガロの結婚 序曲
ベートーヴェン 交響曲第7番
ベートーヴェン ピアノ協奏曲5番「皇帝」第2楽章
ブラームス レクイエム 第2曲?
モーツァルト クラリネット協奏曲 第1楽章

 

静かな感動を呼ぶ映画でした。当時評判だったことは覚えていますが、これがオスカーをたくさん取ったので
少し驚きました。とても地味だけどいい映画だったから。

事実に基づいた映画だったので、とても興味深かったです。吃音を直すために通った言語療法士との友情と国王を
支える家族が素晴らしかったです。

またイギリス連邦という世界があったことを思い出しました。またヒットラーが台頭してくるこの時代がなんと
今とシンクロするところが今見るとタイムリーな感じがしました。誰も戦争はしたくないが、自由と平和のために
戦わなければならないとのメッセージは今だからこそ響きます。

ベートーヴェンの第7シンフォニーが使われていて、それがまたすごくよかったです。

 

 

 

「エリザベス」

 

Elizabeth - Official Trailer (1998)

Elizabeth (8/11) Movie CLIP - I Am No Man's Elizabeth (1998) HD

 

解説
イングランドの女王エリザベス1世の数奇な半生を、ケイト・ブランシェット主演で描いた歴史ドラマ。
16世紀イングランド。カトリック派の女王メアリーはプロテスタントを激しく弾圧し、王位継承者である
プロテスタント派の異母妹エリザベスをロンドン塔に幽閉する。しかしメアリーが病で崩御すると、エリザベスは
新女王として即位。陰謀と裏切り渦巻く宮廷内で、重臣からは他国との政略結婚を勧められながらも、恋人ロバート
ダドリーとの愛を育んでいくエリザベスだったが……。共演に「恋におちたシェイクスピア」のジョセフ・ファインズ
「シャイン」のジェフリー・ラッシュ、「ジュラシック・パーク」のリチャード・アッテンボロー。
第71回アカデミー賞で作品賞など7部門にノミネートされ、メイクアップ賞を受賞した。

1998年製作/124分/イギリス
原題:Elizabeth
配給:日本ヘラルド映画

 

使われたクラシック音楽
エルガー作曲『エニグマ変奏曲』作品36 第9変奏 "Nimrod"
モーツァルト作曲 レクイエムニ短調 K. 626 第1曲 レクイエム・エテルナム

ニムロッドが流れた時はやっぱりねと思いました。これほど合う曲はありません。

 

運命に翻弄されながらも強い意志のもとに女王まで上り詰めていく姿を描いた大河ドラマ

ストーリー:英国王ヘンリー8世、その愛人アン・ブーリンとの間に生まれたエリザベス(ケイト・ブランシェット)。
腹違いの姉、メアリー女王の死後、弱冠25歳でイングランド女王に即位。側近のウォルシンガム、セシル、
ノーフォーク卿でさえも誰が敵か味方か分からない中で、唯一彼女の心の支えになっていた恋人のダドリー
(ジョセフ・ファインズ)。王室中のスキャンダルの的となりながらも、毎晩逢い引きを重ねる中で、国内の宗教争いは
激化し、イングランド史上最大の危機に直面する。エリザベスを失脚させようと、時の権力者ローマ法王を始め、
全ヨーロッパから忍び寄る暗殺指令と陰謀の影。その計画の中に恋人のダドリーも加わっている衝撃の事実を知る。
自分の家来やヨーロッパ中に敵を作りながらも優れた判断力と英知で国を立て直そうとしたエリザベスだったが、
無益な戦いで国民が傷ついていくのを目の当たりにした彼女は、ある決意をする。 Nothing but Movies より

 

    

キャスト
エリザベス1世ケイト・ブランシェット
ロバート・ダドリー(レスター伯):ジョセフ・ファインズ
フランシス・ウォルシンガム:ジェフリー・ラッシュ
ノーフォーク公爵:クリストファー・エクルストン
ウィリアム・セシル:リチャード・アッテンボロー
アランデル伯爵:エドワード・ハードウィック
メアリ・オブ・ギーズ:ファニー・アルダン
アンジュー公爵:ヴァンサン・カッセル
ローマ教皇:ジョン・ギールグッド
ジョン・バラード:ダニエル・クレイグ

 

「キャロル」で初めて見たケイト・ブランシェットの映画がもっと見たくて、代表作を借りました。
出だしからショッキングであの時代を再認識。宗教戦争もいまだにベルファストで続いていたけれど、すさまじい歴史です。
エリザベスもロンドン塔に幽閉され死の目前まで行ったところと、女王に連れ戻され、あの若さで父の遺志を継ぎ見事な
統治者となって行くのを、美しい映像で描いています。とにかく衣装やカメラが素晴らしくて。宗教による無駄な争いは
避けたいという願いもよく伝わってきました。ケイト・ウィンスレットの声も好きですが、凛としていて風格がありました。

謀反を起こす証拠を集めて粛清していくところなど、最近終わった大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を思い出させます。
時と東西を問わずどこでも同じことが起こっていたのです。

 
 
岩波 世界人名大辞典
エリザベス1
Elizabeth I
 
1533.9.7~1603.3.24

イングランドおよびアイルランド女王 [1558/1603].

ヘンリー8世とアン・ブーリンの娘としてロンドンに生まれ,議会の承認を得た父の遺言により,異母弟エドワード6世
および異母姉メアリ1世につぐイングランド(およびアイルランド)王位継承者となる.アスカムの薫陶を受けてギリシア
ラテンの古典を学び,また仏・伊両語に通じた.メアリのカトリック復帰政策に対しワイアット(Tomas Wyatt 1521頃~54)が
反乱を起こすと,陰謀に加担した嫌疑を受けて投獄された [1554]が,間もなく釈放され,隠棲して勉学に没頭した.
姉の死後25歳で即位,フランスとの戦争をおさめ [59],財政の基礎を確立した.宗教については父ヘンリーの政策に復帰し
〈国王至上法Act of Supremacy〉および〈礼拝統一法Act of Uniformity〉を再び制定し [同],メアリのカトリック復帰の諸法を
廃して国教制度を再建,カトリックおよびピューリタンの両極端派を抑圧して中道をとった.廷臣レスター,エセックス(2nd Earl)
らを寵愛したが,長い治世を通じて賢相W.セシル,ウォルシンガムらを重用して,慎重な派閥操縦で国内治安を保った.
また,諸国家間の葛藤に巻き込まれることを警戒して,スペイン王フェリーペ2世をはじめ君主らの求婚を却け,一生を独身で通し
海外のプロテスタント同胞の直接支援にも消極的であった.大陸の対抗宗教改革の進展とともに,国内では,北部のカトリック
諸侯の反乱 [69-70]や,亡命中のメアリ・ステュアート擁立の陰謀 [72,86]などが相次ぎ,不穏の種は尽きなかった.他方で,神に
祝福されたプロテスタント処女王としての自己イメージ創出は,スペイン無敵艦隊の撃退 [88]により劇的な成功をおさめ,
〈よきベス〉の黄金時代の神話のもととなった.晩年は,独占権その他の問題で議会と対立し,寵臣エセックスのアイルランド
での失態などに悩まされるが,最期まで主導権を握り続け,死の床でスコットランド王ジェイムズ6世(ジェイムズ1世)を後継者に
指名,テューダー朝最後の君主となった.

©Iwanami Shoten, Publishers

参考) イギリス史上最も偉大な君主】エリザベス1世が「リーダー」として大切にしていた1つのこと    DIAMOND online 

 

おまけ)

ずいぶん前に見た番組ですが、面白かったのでメモだけを載せておこうかと

 
「北条義時・チーム鎌倉の逆襲」

初回放送日: 2022年7月10日 これはすでに再放送で本当は1月みたい。

承久3年(1221)、後鳥羽上皇率いる朝廷軍と東国武士団の衝突した承久の乱。この時、鎌倉幕府のリーダーが、
2022年大河ドラマの主人公・北条義時だった。

≪詳細情報≫
番組内容
承久の乱の結末は、朝廷側がまさかの惨敗を喫し“日本史上最大の大番狂わせ”だった。後鳥羽上皇は、隠岐の島に
流され、時代は、武家の世に大きく舵を切っていく。当時、上皇が率いる朝廷軍に矢を向けることは、考えられない
暴挙であった。北条義時率いる幕府を支えた「チーム鎌倉」は、いかにして、この歴史の大転換を成し遂げたのか?
北条義時とその仲間たちの選択と決断に迫る。
出演者
【司会】磯田道史,杉浦友紀,【出演】坂井孝一,井上章一,中野信子,【語り】松重豊

 

あらためて、鎌倉時代と言うのは面白い時代だったのだと思いました。天皇から武士に権力移行の時期だったのですね。

大河ドラマは生身の人間を描いていて、とても面白かったです。現代人がそこにいたみたいな書き方です。
小栗旬もいい役者になりましたね。

 

 

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グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独 ・・・ GENIUS WITHIN: THE INNER LIFE OF GLENN GOULD

2022-12-20 23:58:23 | movie

とうとう娘も発熱して昨日病院に行ったらコロナ陽性との結果でした。検査キット2回共陰性だったのに。
私の隔離期間はどうなるの? 翌日一日で解除となるところでしたが・・ よく読むと7日間隔離ですが、さらに3日
自主的感染予防行動の徹底期間となっていました。娘が感染者となると私も今度は濃厚接触者でもある立場。
うつした人からはうつらないでしょうと先生に聞いてみたけれど・・・ とにかく療養期間が終わっても
菌が0になって排菌の状態になっているかどうかわからないわけだし・・  二人とも感染者になったら
除菌しまくりをしなくても済むわけだけど買い物とかこまります。昨日連絡があった友人も10月に感染していて
知り合いの感染者も増えてきました。(今日オリーブオイルがイタリアより届いたと連絡いただいた友人もご夫妻で
かかってしまったとのことでした。)

ブログに最近借りたり、録画したり、地上波で見た映画などの記録を残そうと思いながらつい後回しになってしまっています。
書いたのはCoda だけ。音楽が好きでしょっちゅう聞いていたし・・

11/15 キャロル 11/19 アンナ・ハーレント 11/21-24 山猫    ブレードランナー2049はギブ・アップ

11/26 ヴァイオレット・エバーガーデン Carmen (スペイン映画) 11/27 Coda 

12/2 グレン・グールド

 

NHKFMで聴いた特集。若い頃グールドのレコードを持っている友人も多く、ゴールドベルグ変奏曲は注目の
レコードでした。もう一人の友人はブラームスの間奏曲集を教えてくれました。この記念の年にもっとグールドについて
知りたくなりました。

 

 
映画『グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独』

2009年/カナダ/HD/16:9/英語/カラー/108分
監督:ミシェル・オゼ、ピーター・レイモント
出演:グレン・グールド、ジョン・ロバーツ、ウラディーミル・アシュケナージ、コーネリア・フォス
   ローン・トーク、ペトゥラ・クラーク、ロクソラーナ・ロスラック、フランシス・バロー
   ハイメ・ラレード、フレッド・シェリー

解説 孤高の天才ピアニストとして没後も圧倒的な人気を誇るグレン・グールドの最新ドキュメンタリー。
これまで製作されてきたドキュメンタリーと異なり、彼の日記や、友人、恋人の発言を通して、“エキセントリック“と
称さることの多かったグールドの素顔と、彼が音楽を通じて伝えたかったもの、彼のこれまで語られなかった側面を
描き出していく。

ストーリー カメラは孤高の天才ピアニスト、グレン・グールドを愛した女性たちを捉え、彼女たちの証言から彼の
知られざる本質と謎を解き明かしていく。また、彼を知る人々のインタビューや未公開の写真、日記などから伝説の
人物としてではなく人間としてのグールドに迫る。

 

とても興味深いドキュメンタリーでした。

グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独

 

グレン・グールド 27歳の記憶

ほんとうはこのドキュメンタリー映画を借りたかったのですが、ありませんでした。ドイツ映画。

 

Glenn Herbert Gould, 1932.9.25-1982.10.4

映画では彼の言葉、友人?や仕事を一緒にした人たち、音楽家、伝記作家、彼を愛した女性たちの言葉から
グールドという人間に近づいて行きます。

アスペルガーと言われた彼の孤独で音楽に対して熱い生涯が語られたドキュメンタリーでした。
コンサートの舞台から31歳で引退して、録音に没頭した彼ですが、聴衆を嫌っていたが音楽が人の心に
届くことを願っていて、彼の音楽を聴いて救われたと話す人達の言葉にいやされたということがわかり
ました。彼の音楽はボイジャーに乗って宇宙のかなたまで運ばれているとか・・・ 本当に宇宙的
レベルの人です。

借りてきたDVDには特典がついていてインタビューがたくさんあり、興味深かった。
特に彼の尊敬する音楽家の妻で画家であり、良き相談相手、そして家族と一時なったコーネリア・フォスの
インタビューをさらに聞くことができ、よかったです。

演奏中の彼は超越していた。恐れや世俗的な感情を忘れさせてしまう。自分を森羅万象と融合させることができた。
自分をとりまく宇宙と一体化して、人間としての存在を深めていくことができる。

 

映画の中の気になった言葉をメモしました。

グールドの言葉
音楽は私を世俗から守ってくれる。世俗から距離を置いた生活ができるのは芸術家の特権。

人付き合いが苦手。人嫌いではないが孤独。
芸術家 創造性、オリジナリティがなければならない。

自然で明快なBach

求めていたのは
人々の心の糧になる音楽を届けたい。

ガラスのように繊細で、ユーモアがあり、チャーミングで知的。

演奏だけでなく、生き方が人々を魅了した。

作品、作曲家の内面に突入して、反対側に出て作品を個性的な自分のものにした。
作品を乗っ取ったと語っていた人がいた。
コーネリアは作品を分解してパーツを使い組み立てなおしたと説明していました。

生演奏から引退して、ラジオ番組を制作。「北の理念」で自分を見つめなおす。
このラジオ・ドキュメンタリーは自伝的要素が強いと言われている。

主流から外れた孤独。理解を拒む人を遠ざけて小さな世界を築く。それが現実からの逃避か
どうかは誰にもわからない。その世界で安らぎが得られなけばあとは破滅でしかない。

派手なものが嫌いで、動物を愛したグールド。

その後録音技術の進歩に貢献したグールド。
(リアルタイムで知っていた時のグールドはモーツァルト全曲に挑み、録音を続け完成させていた
記事を日経新聞で読んだことがありました。山また山の道のりだったと語っていました)

コーネリアが去った後、音楽制作を一緒にしたソプラノ歌手は彼に家庭を教えようとしたと
話していました。周りの人たちからも最も幸せだった時期とコメントがありました。

グールドは明かりや色を嫌っていて、夜仕事をしていたそうです。
朝は希望の兆しの背後には暗雲があると・・

最後に再びゴールドヴェルグの録音を行い、デビュー作とは全く違うものを作りました。
曲を再び分解して組み立てる。グールドはその曲に「最良の光を当てる」と語っていました。

あなたの音楽に救われたとのファンレターにとても喜んだそうです。
彼は演奏だけに安らぎを感じていた。その安らぎが人々の心を癒し、自分の心も癒した。

最後のゴールドベルグ変奏曲は思慮深さと美しさが深まったと評されました。

グールドは50歳で死ぬと話していたとコーネリアがインタビューで答えていました。彼は子供(連れ子)や
日常生活を愛し、普通の人でしたと・・ 多くの神話は彼の奇行を大げさにしていたと・・

50歳で突然の病死。彼の遺産は救世軍と動物愛護協会に寄付されたという彼らしい最後でした。

グールド・イヤーに彼を偲びました。

 

コメント (2)
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CODA (2021)

2022-12-07 23:58:46 | movie

11月27日にTsutaya Discas で借りていた映画「DODA]を見ました。

「CODA」は「Child of Deaf Adults」の意味

映画『コーダ あいのうた』
原題:CODA
2021年製作/112分/PG12/アメリカ・フランス・カナダ合作監督・脚本:シアン・ヘダー
出演:エミリア・ジョーンズ、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、トロイ・コッツァー、マーリー・マトリン
第94回アカデミー賞(2021) 作品賞、助演男優賞、脚色賞
サンダンス映画祭 グランプリ ほか多数受賞

 

Audition at Berklee / CODA (2021) + Official Trailer

 

久々に感動的な映画を見ました。家族の中で⼀⼈だけ“健聴者”である主人公が家族のために苦労して高校に通いながら
みつけた夢を一度はあきらめたけれど家族の大きな愛に包まれて再び自分の世界に飛び出していく話です。
ストレートで飾り気のない映画です。

昔「愛は静けさの中に」という同じ耳の聞こえない世界を扱った映画を見たことがありましたが、お母さん役はその時
出ていた女優さんだったとか。俳優たちも皆耳の聞こえない人たちだったとのこと。

圧巻の入学試験でのBoth Sides Nowのシーンでは涙が目の周りにたまりました。ジョニ・ミッチェルのこの歌は
学生時代に大好きな歌で歌詞を手帳に書いていました。あの頃はBeatles のIn My Lifeも好きで、手帳に同じように
歌詞を書き留めていました。

Bows and flows of angel hair
And ice cream castles in the air
And feather canyons everywhere
I’ve looked at clouds that way

But now they only block the sun
They rain and snow on everyone
So many things I would have done
But clouds got in my way

I’ve looked at clouds from both sides now
From up and down and still somehow
It’s cloud illusions I recall
I really don’t know clouds at all

Moons and Junes and Ferris wheels
The dizzy dancing way you feel
As every fairy tale comes real
I’ve looked at love that way

But now it’s just another show
You leave ‘em laughing when you go
And if you care don’t let them know
Don’t give yourself away

I’ve looked at love from both sides now
From give and take and still somehow
It’s love’s illusions I recall
I really don’t know love at all

Tears and fears and feeling proud
To say “I love you” right out loud
Dreams and schemes and circus crowds
I’ve looked at life that way

Oh but now old friends are acting strange
They shake their heads they say I’ve changed
Well something’s lost but something’s gained
In living every day

I’ve looked at life from both sides now
From WIN(give) and LOSE(take) and still somehow
It’s life’s illusions I recall
I really don’t know life at all

 

[和訳]You're All I Need To Get By (Duet Ver.) - Emilia Jones & Ferdia Walsh-Peelo

 

Like the sweet morning dew,
I took one look at you,
And it was plain to see you were my destiny.
With my arms open wide, I threw away my pride.
I'll sacrifice for you dedicate my life for you.
I will go where you lead always there in time of need.
And when I lose my will you'll be there to push me up the hill.
There's no, no looking back for us, we got love sure 'nough, that's enough.
You're all, you're all I need to get by.

Like an eagle protects his nest for you I'll do my best,
Stand by you like a tree, dare anybody to try and move me.
Darlin' in you I found strength where I was torn down
Don't know what's in store but together we can open any door.
Just to do what's good for you and inspire you a little higher.
I know you can make a man out of a soul that didn't have a goal.
'Cause we, we got the right foundation and with love and determination.
You're all, you're all I want to strive for and do a little more.

 

 

心が洗われるような映画でした。

 

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