
ベートーヴェンを聞きたくなるなんて30年ぶりくらいです。
私がその昔好きだったのがピアノ協奏曲第3番(ブーレーズ/エッシェンバッハ)です。この曲は大好きで毎日のように聞いていた若い時代があります。いつだったか軽井沢で夏を過ごしていた時、毎年ホテルで音楽祭があり、木々の奥からかすかにこの曲が聞こえてきたことを覚えています。ベートーヴェンのチェロソナタ、シンフォニーなら7番が好きでした。ピアノ・ソナタの「悲愴」はアシュケナージのコンサートで初めて聞き、その立ち登るような美しさに溶け込みました。
最近はシューマン、ブラームス、モーツァルト、ショパン、バッハ等を聞くことが多く、まったく聞く気がしなかったベートーヴェンを聞きたくなったのは昨年YWCAのチャリティー・コンサートでわずか12歳の少女がピアノ・ソナタを弾いてのけたことです。小林愛実ちゃんという女の子はこの年でパリやNYカーネギーホールでもコンサートをしたことがあるとのことです。
その後、円熟したゲルハルト・オピッツという正統派のピアニストで「テンペスト」と「ワルトシュタイン」をコンサートで聞くチャンスがありました。渋くてすばらしかったです。
再びベートーヴェンの音楽に魅力を感じ始めています。
昨年より寝る時によくかけるのが内田光子のベートーヴェン最後の3つのピアノ・ソナタです。
この曲はグレン・グールドのCDでも聞き比べましたが内田光子のはその微妙な強弱といいすばらしい世界です。グールドの解説のところに「プロの演奏家でも躊躇する曲」となっていました。内田光子は若い頃より注目の演奏家でしたが、演奏より、書いている方が好きでした。モーツァルトだったかサントリーホールに聞きに行ったことがありますが、なんとなく神がかっているようで... 演奏家としてはこのベートーヴェンで大変感動しました。生の演奏では無いのですが..
ベートーヴェンってなんて優しいんでしょう。