8月6日朝日新聞(大阪本社)の読者投稿欄「声」から、広島県の主婦・下村さん(32)のものを転載します。
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障害者自立支援法の施行から4カ月。重度障害児である6歳の長男の介護サービス利用に1割の応益負担がかかるようになった。
寝返りができない。全介助のプール利用、公園、図書館などへの外出介護には危険が伴うためヘルパー2人の対応が必要で、1割負担といっても、406円(1時間分)×2人分×時間数がかかる。
長男が少しでも自立するためには、筋力をつけるプールや社会参加のための外出は欠かせない。また生活に必要な食事や入浴の介助をヘルパーに依頼する。
介護のために共働きできる状況ではなく、次男、三男の学費貯蓄に加えて住宅ローンの返済もある。
介護費用の月間の上限は3万7200円だが、家計からひねり出すのは容易ではない。本当に必要な自立のための介助だが、費用のことを考えると法施行前と比べて利用回数を減らさざるを得ない。社会参加の機会を奪われ、自立からは遠ざかる一方だ。
5年間の小泉政治は社会の格差を拡大させ、医療・介護の首を絞め、生活保護世帯を苦しめる。我が家の生活は変わった。
8月6日朝日新聞(大阪本社)の読者投稿欄「声」から、滋賀県の保育園理事長・下村さん(66)のものを転載します。
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政府の規制改革・民間開放推進会議は中間答申で、認可保育所の入所先を親が自由に選んで契約できる直接契約制に改めるよう答申したが、この改革は福祉の制度を根本から崩すことになる。
この問題は以前から論議されてきたが、保育現場の反対で見送られてきた。保育分野に競争原理を導入するこの制度は、親の選択権以上に保育所が子どもや親を洗濯する権限を認めることになる。
現在、保育所への入所決定権は市区町村にあり、多くの待機児童の中からどの子を優先すべきか、全体の希望状況などを総合して行政が判断している。
だが、行政を介さないこの制度が導入されたら保育所側の立場が圧倒的に強くなる。子どもを入れてもらう立場の保護者が、対等な立場で契約を結べるはずがない。
その結果、保育に困難が多い障がいを持つ子、ひいては経済的に低位な家庭の子どもたちが敬遠されることになろう。そうした差別が派生するなら、保育所はもはや福祉とは呼べない。
現行制度は、そのようなことを防ぐためにも崩してはならない仕組みだ。
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派遣社員を一般化する法改正が行われてから、幾年月が過ぎました。この立法の大義名分は、「労働市場の自由化により、求職者の利便に資する」ものでした。しかし、現実は、正規社員雇用が減り、臨時雇用身分の低賃金労働者が増えて、社会問題化しつつあります。
選択の自由は、強い位置にある者に許され、弱い位置にある者は選別される側に陥ります。