8月20日の午後は何もできなかった。夏の高校野球決勝、駒大苫小牧と早稲田実業の対戦。15回延長の末の決勝戦再試合は、1969年以来2度目ということだ。
7回当たりからテレビに釘付けになった。駒苫・田中、早実・斎藤の一投ごとに、見ている体全体が力んだ。12回に入ったころには、どちらも勝ってほしいと思った。テレビから躍り出る甲子園の熱気と歓声。私も家内も血が沸騰した。
夏の高校野球、歴史に残る名勝負だった。見られたのは幸せだった。私の生存残年数では、こんな名勝負を見られる機会が次にあるかどうか、わからない。
十代の子どもたちでさえ、日本の夏の空を興奮と感動の渦に巻きこむ力がある。人には、誰にでもそんな力が秘められている。私は興奮の渦の底で、そのことにも感動した。人にそなわる力に、希望を持った。