2006年8月28日付朝日新聞(大阪本社)夕刊記事「戦争 未完の裁き⑮」粟屋教授の調査証言のノートです。
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粟屋憲太郎立教大教授(62)は1983年、ワシントンの米国立公文書館で、日本陸軍の「支那事変ニ於ケル化学戦例証集」をみつけた。中国でひそかに毒ガスを使っていた証拠だ。
毒ガス戦は、中国山西省で多かった。学者グループが1999年から翌年にかけて中国人被害者の聞き取り調査をした。
「山地のゲリラ戦に毒ガスは有効なんです。洞窟に撃ちこむ。相手は防具を持っていなかった。洞窟を飛び出して苦しむところを刺し殺す」と粟屋さんが言う。
東京裁判では、細菌戦研究や人体実験をした石井四郎の731部隊も不問に付された。米軍に研究情報を提供する見返りという。
「日本軍の人肉食も、米国やオーストラリアの遺族にとって衝撃が強すぎると取り上げなかった」