初心者の老人です

75才になって初めてVISTAを始めました。

スチール写真

2009年02月03日 18時30分31秒 | Weblog
  映画全盛の、繁華街の映画館に、主演俳優さんの似顔絵を描いた大きな看板や、ショーウィンドウに映画の中身をうかがわせるキャビネ版の写真が貼り付けてありました。その写真のことをスチール写真といいました。映画は活動写真ですから、それに対してスチールと言ったのでしょう。あの写真は映画会社が作って映画が配給される時に一緒に配られました。
 映画のスタジオで1シーン撮り終わると次のシーンの準備で休憩があります。そのときすかさず、スチール係の写真師さんが、

 「ここで、おにぎりひとつ…」

と声をかけます。おにぎりとは当時スチール写真に使用するカメラが、キャビネ判の組み立て暗箱で感光材料はキャビネ判のガラス乾板でした。カメラのソルントンシャッターのレリーズが、ゴム球で、それを「おにぎり」と称していたからです。
 乾板は引き伸ばしせず密着プリントですから俳優さんのしわなどを写真師さんは簡単に修正を施します。そして、配給される映画館の数だけプリントしますから、大変な量になります。
 キャビネ暗箱でのスチール写真はスローシャッターで撮りますから、動きのない写真になります。それでは、面白くないと、黒田誠忠録(松竹下加茂作品)のとき、写真家の木村伊兵衛氏がライカでスチール写真を担当したと聞きました。仕上げの枚数が大量ですから、木村氏の35ミリネガをキャビネ乾板に複写して大変だったと思われます。その後、また、キャビネ暗箱撮影になりましたから…。
 黒澤監督作品で、組み立て暗箱ではなく普通のカメラでスチール写真を撮ったときいたことがありました。

 テレビのドラマや教養番組がVTR収録になりました。完パケにします。頭のタイトルから終りのエンドマークまで一本にまとめられた完全パッケージ作品を言います。テレビの営業が各局に完パケ販売することを番組販売略して“番販”といいます。
 そのときに、新聞の番組紹介の記事の写真としてスチール写真のようなものが必要になります。テレビの場合は、放送局に出入りのキャメラマンが普通のカメラで撮影して、キャビネ判に引き伸ばして番販係に渡しています。