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【小説】竹根好助の経営コンサルタント起業5章 中小企業を育てる 2 誠意を持った対応

2024-07-26 12:03:00 | 【連載小説】竹根好助の経営コンサルタント起業

  【小説】竹根好助の経営コンサルタント起業5章 中小企業を育てる 2 誠意を持った対応 

 
■ 【小説】 竹根好助の経営コンサルタント起業 
 私は、経営コンサルタント業で生涯現役を貫こうと思って、半世紀ほどになります。しかし、近年は心身ともに思う様にならなくなり、創業以来、右腕として私を支えてくれた竹根好助(たけねよしすけ)に、後継者として会社を任せて数年になります。 竹根は、業務報告に毎日のように私を訪れてくれます。二人とも下戸ですので、酒を酌み交わしながらではありませんが、昔話に時間を忘れて陥ってしまいます。
 これからコンサルタントを目指す人の参考になればと、私の友人が、書き下ろしで小説風に文章にしてくれています。 原稿ができた分を、原則として、毎週金曜日に皆様にお届けします。
【これまであらすじ】
 竹根好助は、私の会社の後継者で、ベテランの経営コンサルタントでもあります。
 その竹根が経営コンサルタントに転身する前、どのような状況で、どの様な心情で、なぜ経営コンサルタントとして再スタートを切ったのかというお話です。

 1ドルが360円の時代、すなわち1970年のことでした。入社して、まだ1年半にも満たないときに、福田商事が、アメリカ駐在事務所を開設するという重大発表がありました。
 角菊貿易事業部長の推薦する佐藤ではなく、初代駐在所長に竹根が選ばれました。それを面白く思わない人もいる中で、竹根はニューヨークに赴任します。慣れない市場、おぼつかないビジネス経験の竹根は、日常業務に加え、商社マンの業務の一つであるアテンドというなれない業務もあります。苦闘の連続の竹根には、次々と難問が押し寄せてくるのです。
 日常業務をこなしながら、アテンドという商社マンにつきものの業務を自分なりに見つめ直す竹根です。

◆5章 中小企業を育てる
 商社マンは、商品を輸出すれば良い、というのが、それまでの商社の生き方でした。
 はたしてそれで良いのか、疑問に纏われながらの竹根好助でした。その竹根が、何とか現状で仕事をしながら活路を見いだそうと考えていました。
  ※ 直前号をお読みくださるとストーリーが続きます。
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◆5-2 誠意を持った対応
 現地駐在員というのは竹根ひとりであり、直接、ここで収益が上がる業務ではないので、秘書はひとりだけである。
 毎月4~5組程度の来客があり、その大半を本社指示によりアテンドすることになる。竹根の真面目な性格から、自分の仕事をできる限り秘書に代わって処理してもらうようにしている。朝、早く出勤して、秘書に指示書を作成、もちろん現地人ですので、英語で指示書を書く。前日から解っている作業は前日中に指示書を作成しておき、朝出勤して、本社から入っているテレックスをもとに指示書に追記してゆく。
 それだけではなく、新聞やテレビで日本のニュースを見つけるとそれを切り抜いたり、メモをとったりしておく。それから来客者のホテルに迎えにで向かう。中には、朝食のとり方が解らないという人もいる。その場合には、一階だけはホテルのレストランに連れて行って、好みを聞いた上で、何を食べたら良いのか、どの様に注文したら良いのかを教える。それにより、翌日からは自分で朝食を採ることができるようになる。
 毎朝、ホテルの朝食では、金銭予算のあるだろうからと、コーヒーショップに連れて行って食べさせることも多い。多くの来客者にとって、コーヒーショップの方が気が楽らしい。たしかに、ホテルの朝食は決まったようなメニューに限られ、1ドルが360円換算にすると、飛び出るような金額であるから、日本から来たばかりの人にとっては大きな出費である。
 食事の時に、事前に用意していた日本情報を提供する。アメリカに何日か滞在していると、日本の状況をつかめないでいる人が大半である。現地の新聞は、当然英語で記述されているので、英語が多少できる人でも、見出しを読む程度で、記事本文まで読む人は少ない。英字新聞の見出しは、慣れない日本人には、単語の意味はわかっても、その見出しで何を言っているのかわからないことが多い。文法的にも、受身態表現が少なく、自動詞を使った文章で簡略表記されている。文法を重視した、日本の英語教育の文法では、意味が通らないのである。
 そのために、日本で今何が起こっているのかを話してやると大変喜ばれる。アメリカでは、日本に関する情報提供が非常に少ない。3日遅れで届く日本の新聞を手渡すと、非常に喜ばれる。朝食を採るのも忘れて、隅から隅まで目を通しているようにすら感じる。
  <続く>

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