ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

個人差が大きくいろいろ面白い味覚

2017-05-06 10:33:48 | 自然
毎回の食事で味わっている味覚について少し書いてみます。

色々な味については、舌の表面にある味蕾(みらい)の中の受容体によって感知することはわかっていましたが、最近になり細かいことも解明されてきたようです。

味覚は「基本味」とされる5つの味質、すなわち甘味、塩味、酸味、苦味、うま味に分類されています。このうちうま味は比較的最近基本味に加えられたもので、2000年ぐらいに味蕾の受容体の中にうま味受容体があることが発見され、基本味として国際的にも認知されるようになったようです。

私はこれ以外に辛味が基本味に入っていると思っていましたが、辛味は生理学的には味蕾で感じる味ではなく、痛覚を刺激して感じる味のようです。私は辛いものが苦手ですが、普通より痛覚が敏感なのかもしれません。

その他渋味もありますが、これも味覚ではなく触覚として扱われ、三叉神経によって伝わるものとされています。食物を味わうときは味覚だけではなく、嗅覚、触覚、温度感覚などが関与し、それらを総合した感覚を「風味」と呼んでいるようです。

このように味というのは、色々な感覚の総合判断で感じるものですので、個人差が非常に大きくなるということになります。口に入れた食物の分子は、唾液によって味蕾の表面の味孔という部分に入り、味細胞によって感知されると、味覚神経によって延髄の孤束核という部分に伝わります。この段階ですっぱいものに顔をしかめるなどの反射的な反応が起こり、栄養か有害かの判別が行われるようです。

この延髄を中継して味の情報が大脳皮質に伝わると、嗅覚や触覚の情報と合わさって、食欲をつかさどるホルモンの分泌や好き嫌いの判断、味の記憶形成が行われるようです。

味蕾の数は歳とともに減少し、味覚が鈍くなると言われていますが、味蕾のピークは予想外に早い時期にあります。乳児期には約1万個あり、赤ちゃんは頬の内側や唇にも存在しているようです。成人ではこれが7,500個ほどになり、高齢になると約3,000個まで減少します。

基本味の五味にはそれぞれ役割があり、甘味はエネルギー源である糖の存在を知らせ、塩味は体液のバランスに必要なミネラル分の存在を、うま味は体を作るのに必要なタンパク質の存在を知らせるとしています。

一方酸味は食物が腐敗している、果物などが未熟であることの警告の意味があり、苦味は危険を知らせる毒物のシグナルの役割を持つようです。

その他一般的にウシやウサギなどの草食動物の舌には味蕾が多く、ライオンやトラなどの肉食動物では少ないようです。以上のように味覚については面白い事項が多いのですが、かなり複雑な感覚の総合として味を検知しているメカニズムなどまだありますので、どこかで続きを書くかもしれません。