ごっとさんのブログ

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ワクチンの混合接種は本当に危険か

2017-05-19 10:41:48 | 健康・医療
最近品川区のクリニックで医師が、複数のワクチンを混合して接種しているという事件が報道されています。

この医師は何回も注射をするのはかわいそうなので、保護者の了解を得てやったとしていますが、不安になった保護者から保健所に問い合わせがあり発覚したようです。今回は麻疹・風疹ワクチンと水痘、おたふく風邪などを勝手に混ぜて接種していました。

この方法によって今年4月までの5年間に358人に接種していますが、今のところ健康被害などの報告はないようです。品川区はこの期間に接種を受けた希望者には、再接種や免疫を十分に獲得しているかの抗体検査を行うとしています。

今回の事例を受けて子供の予防接種に詳しい専門の医師は、同時に複数のワクチンをそれぞれ3センチ以上離れた場所に打つ「同時接種」は問題ないが、あらかじめ混ぜて打つことは未知の副作用や効果の低下につながる恐れがあるとしています。

この医師は、居酒屋でビール、ワイン、焼酎などをそれぞれ飲むのは問題ないが、混ぜてしまったら変な飲みものになるのと同じという、変な例えをしています。私はこの意見にはかなり疑問を持っています。

ワクチンは性質を安定させるために厳しい成分管理の下で、様々な条件をそろえて作られています。従ってこの医師の言うように、混ぜることによって酸性度や浸透圧が変わるとは思えません。確かに混ぜることによって、全くデータのない混合物となるわけですが、ほぼ同じ作り方をしているワクチンですので、何かが変わるとは考えにくい気がします。

何種類かの不活化ウイルスが一度に体に入るため、すべてのウイルスに対して抗体ができるのかという問題があるのかと思いましたが、同時に別々に打つ「同時接種」が可能であるならば、その心配もないことになります。

家の猫たちには予防接種をしていますが、そのワクチンは少し前まで猫エイズや白血病(ウイルス性)などの3種混合でした。それが現在では4種混合になり、すでに5種混合ワクチンも出ているようです。

人間と猫では基本的な免疫システムは同じですので、混合接種の見本があるようなものです。ただ猫のワクチンは製造業者が混合していますので、若干違うとも言えます。しかし海外では人間も混合ワクチンが使われているようですので、製造業者が混合した場合の安全性を確認して、この方向に進んだ方が良いような気もします。

この勝手に混ぜて接種した医師は、何らかの処分をされるのでしょうが、子供の負担を軽くするという善意でやったことですので、軽くて済むことを願っています。