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生命の起源につながる発見か

2017-05-18 10:44:38 | 自然
原始の地球で最初の細胞が誕生した仕組みを明らかにする、新発見がもたらされたという書き出しの記事を見ました。

生命の起源については、かなり前にこのブログでも触れましたが、オパーリンというロシアの学者の説がいまだに支持されているようです。なにしろ1924年というもう100年も前の学説がそのまま残っているというのは、生命の起源がいかに難しいことかを表しているような気がします。

この学説は原始の地球で、大気中の成分から合成された有機物がいくつも集まり、海中で「液滴」と呼ばれる形態になり、膜はないものの袋状の構造を持つ液滴が生命となり細胞となったというものです。

しかし液滴が細胞に至るまで、どのような成長・分裂・増殖の過程を経たのかは、これまで誰も説明できませんでした。また生命の定義にあるように、外界と独立するための膜がなければ細胞は発生しないという異議も出ていたようです。

ドイツのマックス・プランク物理学研究所と同分子細胞生物学研究所の研究グループが、この液滴についての新たな発見があったと発表しました。液滴が細胞の大きさまで成長すると、まるで細胞の様に分裂する傾向があったということです。

実験では、細胞の分裂などに関わり、液滴と似たふるまいをする細胞小器官である「中心体」をモデルとした模型を使用しました。この中心体というのはあまりよく分かりませんが、自然発生的な液滴とはやや違っているようです。

内部に含まれているタンパク質は、エネルギー源があると逆反応を起こし、水溶性の物は不溶性になり不溶性の物は水溶性となるようです。このあたりも具体的にどういう現象かはよくわかりません。

液滴は直径数十~数百ミクロンに成長したところで、分子の流出入がつり合い成長が止まるようです。この辺りは研究グループによれば、原始の地球では太陽光が液滴を成長させる原動力になったとしています。

液滴の大きさは安定しているものの形状は不安定で、不溶性のタンパク質の分子が過剰に流入するとその方向に僅かに膨らみ、中央部がくびれ、最終的には2つの液滴に分裂しました。この単純に分裂する液滴が原始生命に進化した可能性があるとしていますが、私の感じではこの現象は単なる有機物の集合離散のような気もします。

研究グループはこれ以外にもタンパク質の代わりに合成ポリマーを使った中心体などの実験を行っています。今回の結果と液滴の生命への進化には程遠い感じはしますが、こういった地道な研究が生命の起源に迫る近道かもしれません。