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カイコ冬虫夏草から新物質を発見

2021-03-18 10:30:12 | 
「冬虫夏草」という言葉がどの程度一般的なのか分かりませんが、古来不老長寿の妙薬として珍重されてきました。

岩手大学発のベンチャー企業であるバイオコクーン研究所は、養蚕技術を活用して得られたカイコ冬虫夏草から新規物質「ナトリード」を発見し、マウスへの投与で認知機能のひとつである空間記憶の回復が認められたと発表しました。

研究所によると老化を促進させたマウスにナトリードを経口投与した結果、空間記憶に加え神経細胞の成長促進や抗炎症作用、体毛の回復が確認されたとしています。

冬虫夏草は虫や蛹になどに寄生して育つキノコの一種で、いろいろな薬効があるとされています。研究所は養蚕技術を生かして、カイコのサナギとハナサナギダケを用いて冬虫夏草を生産しています。

この冬虫夏草については子供のころ読んで以来(たぶん漫画ですが)、ずっと興味を持っていました。実際東洋医学では、鎮静、鎮咳薬として病後の衰弱、肺結核などに用いられてきました。

冬虫夏草はキノコが昆虫などに寄生し、体内に菌糸の集合体である菌核を形成し、昆虫の頭部や関節部などから棒状の子実体を形成したものの総称です。この名の由来は冬は虫で、夏になると草(キノコ)になると信じられたことから冬虫夏草という名がつけられたといわれています。

余談ですが、キノコ(担子菌)は薬などに対して動物と類似の代謝機能を示すことが知られています。動物に薬を投与すると有機化学的には合成が難しいような代謝物ができることがあります。

これをある程度の量作るために、キノコ(担子菌)を培養しそこに薬物を加えるという方法で、この代謝物を作る研究をしていました。ところがこの培養の時、子実体(いわゆるキノコ)ができてしまうと、薬物の変換がうまくいかなくなるのです。

この培養条件の検討の時、部下が冬虫夏草ができないかの実験をしてくれました。昆虫は何であったか忘れましたが、そのサナギに担子菌を植え付け子実体ができるかを調べたのですが、いわゆる冬虫夏草的なものができたのですが、それをどうしたのかは覚えていません。

サナギの首のあたりからキノコらしいものが出てくるという、かなり気持ちの悪いものという記憶があります。

さてこれまでの研究で、冬虫夏草が脳内で記憶や学習機能を担う海馬を修復させる作用を発見しています。ナトリードの活用で、認知症予防や症状改善につながる可能性を期待しています。

研究グループは認知症を改善する希望として、メカニズムの解明に繋げたいとしています。このナトリードの構造的な情報は全くありませんが、どんな化合物なのか興味深い知見と言えます。


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