内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

日本語で考えるための小論文演習

2020-11-04 09:16:27 | 講義の余白から

 昨日から始まった修士二年の演習(全六回)は、その名も « Technique d’expression écrite » である。約二ヶ月間で2000字の小論文を書かせる。長くはないが、その分何度も推敲させる。テーマは、自分の修士論文の問題系から、学生たち自身が自分で選んだ一つのよく限定された問いである。
 まず、準備中の修士論文から引き出した問いをそのまま問いの形で私に送る(最も速い学生は、演習直後に送ってきた)。それがOKだと、その問いに相応しい論文のタイトルを自分で考える。それをまた私に送る。学生が考えるタイトルは、往々にしてそのままでは使えないぎこちない表現が多いので、より小論文に相応しいタイトルを私から提案する。
 次のステップとして、学生は全体プランと最初の400字を書いて今週末までに私に送る。それを添削した上で、来週中にZOOM を使って個別面談を行う。一人20分から30分。9名いるから、こちらとしては結構な拘束時間になるが、添削はやはり個別でないと効果的ではない。遠隔は、面談前後の移動時間もなく、お互い都合のいい時間に最小限の拘束時間で済むし、画面共有しながら添削について話し合えるから、とても便利だ。
 添削と個別面談との結果を踏まえて、二週間後の次回の演習を行う。そこで、学生たちの文章に見られた表現の問題のうち、共有するに値すると私が判断した点について解説する。それに加えて、本多勝一『日本語の作文技術』、木下是雄『理科系の作文技術』、村上紀夫『歴史学で卒業論文を書くために』などからの摘録を一緒に読み、表現の問題について考えていく。
 参考記事:2019年11月19日