渡仏する以前は、生まれてこのかた、数年間を除いて、ずっと東京住まいでした。でも、どれくらい東京を知っているかというと、自分が生まれ育った地域以外についてはほとんど何も知らない、ということを、今回の東京滞在は気づかせてくれています。
変な言い方ですけれども、今頃になってはじめて、「フツー」の東京のあるごく一部を発見しつつあります。メッチャ面白い。と同時に、ふるえるほど、カナシイ。今、「カナシイ」って、カタカナで書きました。そう、「悲しい」ではないから。「おもしろい」と「カナシイ」が一緒になると、私的語感としては「愛おしい」になります。
山の手育ちの良家の「お坊っちゃま」(ワテ、ホンマニ、ソウナンデッセェー。このカタカナ部分、ちょっとフランス語的に発音シテクンナマシ)的な上から目線ではなく、そして、「ワタシィー、ニホン、ダイスキデスゥー」みたいな「ガイコクジン」にありがちな過剰な感情移入もなく、ただただ、「ああ、みなさん生きていらっしゃいますね。ありがとうございます。いろいろあると思いますけど、どうかお幸せに」という、願いにも似た気持ちが、自分にとって未知で非観光的な「トーキョー」のある一部を、今日も、走り回り、歩き回っていると、沸き起こってきたのです。
あっ、そっか。こう書いて気づきました。こんなカンジョーも、結局、他人事的で、現実的視点不在の、ただひたすらセンチメンタルな目線なんだよなっ、と。
カクテ我レ振リ出シニ戻レリ。誠ニ我ガ人生ハ双六ノ如キ哉。
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